マッターホルン挑戦記:観光と旅の振り返り
この記事は、2023年9月に行った、マッターホルン登山について書いたものです(全4回のシリーズ)。
ツェルマット散策
日本人にも人気の観光地。「日本人橋」という呼び名の橋もあるくらいだ。
オススメはなんといってもトレッキングだ。試験登山編で書いた、ヘルンリ小屋往復やゴルナーグラート鉄道沿いのコースは、特に登山装備がなくても楽しめる。
ツェルマットの街自体は、とてもコンパクトにまとまっていて、主要所は数時間もあれば見て回ることができる。
駅周辺には、スーパー・本屋・薬局なども立ち並んでおり、日用品は徒歩圏内で手に入る。山岳リゾートだけあり、色々なアウトドアメーカーのショップも。日本のモンベルは、駅前の一等地にあった。
山がとても近く、ヴィアフェラータ(「鉄の道」という意味で、ワイヤーロープやはしごが設置されたコースを登る)などのアクティビティもある。
雨の日には、マッターホルン博物館(Matterhorn Museum)がオススメ。初登頂までの歴史など、山好きにとってはとても興味深かった。
もちろんレストランも色々とあり、世界各国の料理を楽しむことができる。我々は行かなかったけど、日本食の店もあった。
スイス料理といえば、チーズフォンデュだろうか。確かに美味しかったけど、本場のチーズフォンデュはパンとジャガイモだけ。というか、他のスイス料理も基本的にジャガイモとチーズの組み合わせで、焼くとか煮るとか調理方法の違いしかない。僕はすぐに飽きてしまった。笑
ベルン観光
ツェルマットから一番近く、ある程度規模があるのはヴィスプ(Visp)という街だが、ここは観光スポットはそれほどなさそうだ。
イタリアのミラノまでは、電車で片道4時間ほど。ミラノで1泊するなら悪くないと思うけど、日帰りには少し距離がある(中にはツェルマットから日帰りで行く人もいるので、可能は可能)。
首都のベルン(Bern)は、ツェルマットから電車で片道2時間ほど。中世の面影がある旧市街は、世界遺産にも登録されている。
マッターホルン登頂断念の翌日、実はITOさんが高熱を出して寝込んでしまった。僕はその2日前に、同じように高熱でダウンしたので、恐らく風邪か何かを移してしまったようだ。
伊藤さんには申し訳なかったが、ツェルマットの天気もよくなかったので、一人でベルンへ日帰り観光に出かけることに。
電車のチケットはネットで購入可能。ハーフフェアカード*使用で、往復CHF75≒¥12,375。
何をする訳でもないけど、カメラを持って散歩するだけも楽しい。ただ僕の場合、こういう場所は半日もいられれば良い方かな。笑
旅費と物価
今回のツアーにかかった費用は、ざっくり以下の通り(一人分の金額)。
Active Mountainパッケージ*:¥935,000
航空券+トランジットホテル:¥236,000
現地費用(食費など):¥100,000
* 現地での交通費、ホテル/山小屋、ガイド料、ヘリ代など
合計約127万円。ちなみに、ツェルマットに滞在した2023年9月のCHF(スイスフラン)のレートは¥168くらい。これが2020年には¥120くらいだったので、この間のレート変化だけで、30万円以上の差が生まれたことになる。円安怖ろしい…。
ちなみに、世界一ともいわれるスイス物価だが、やはり高かった。(特別高級ではない)普通のレストランでパスタと飲み物を頼むと¥4,000~¥5,000といった感じ。
翌年の2024年GWに、スペインへ行った際もやはり円安だったが、外食はさて置きスーパーなどは、日本と比べてもそう高くなかった。
スイスでは、食事をスーパーの総菜的なもので済ませても、¥2,000くらいかかってしまう。
スイスの人々と治安
ヨーロッパの中では、比較的日本人と近いといわれるスイス人。確かに、割と静かでおとなしい印象だった。いわゆるラテン系のノリとは違う(もちろん人によるけど)。
一般的に言われている通り、治安は良いと思う。特に危険を感じるような場面はなかった。
ところでスイスでは、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語と4つの公用語がある。ツェルマットはドイツ語圏だが、フランス語やイタリア語の影響も受けている(らしい)。
国内で複数の言語圏があるためか、英語の通用度はかなり高い。
振り返り
ツェルマット到着後の数日間は天気が良かったんだけど、後半は不安定な天候で、残念ながらマッターホルン登頂は果たせなかった。
4,000mを超える山の天気は予想が難しく、コンディションは目まぐるしく変化する。その時の状況に合った山や、遊び方を選択する柔軟性も重要だと思う。ツェルマットはマッターホルンだけでなく、多くの4,000m以上の名峰に囲まれている。
しかし、マッターホルンの存在感は別格で、やはり「この山に登りたい」と思った。
日本に帰ってからも、モヤモヤした気持ちはしばらく続いた。この記事を書いているのは、渡航からちょうど1年後くらい(当時はこのブログ自体始めていなかった)だが、再び悔しさがこみ上げてくる。
もちろん再挑戦したい気持ちはあるが、実際にまた行くかどうかはわからない。かかる時間やお金は決して少なくないし、次も登れる保証はないのだ(だからこそ登れた時に嬉しいのだろうけど)。
また、帰国後も山にはほとんど行っておらず、相変わらずモチベーションはフリークライミングに向いている。実際、翌年2024年のGWには、登山ではなくスペインでのクライミングツアーに出掛けた(以下の記事参照)。
フリークライミングツアーの場合、1つのルートだけを目標とする特殊な場合を除き、様々なルートが登れたり登れなかったりする訳だ。気温や湿度、染み出しの量が多かったり少なかったりはあると思うけど、登れるルートが全くないというケースは稀だろう。
このスペインツアーでは、目標だったルートの内の1本は登れなかったけど、目標全体としての達成度は90%くらいだっただろうか。100%じゃないにしろ、率直に満足したし、ただただ楽しかった思い出だ。
これが特定の山の登頂を目的とした登山となると、極端ではあるが、満足度は0か100の2つに1つしかないように感じる。もちろん今回のツェルマット滞在でも、試験登山自体も楽しかったし、ヘリ登山ではあったが他の山に登ることもできた。
しかし、マッターホルンに登れなかったという事実一つで、全てが悔しい思い出に塗り替えられてしまった。
天候が良かったとしても、登頂できたという確証はないけど、登山の成否はかなりの部分を天候に左右される。フリークライミングでも、岩のコンディションの良し悪しはあるが、実力でカバーできる余地がある。
コストパフォーマンスの話をするのはナンセンスかもしれないけど、フリークライミングツアーの方が費用も総じて安い。
ごちゃごちゃと書き散らかしたけど、そういう訳で、しばらくはフリークライミングを楽しみたいと思います!笑
海外登山は、またモチベーションがそちらに向き、行きたい気持ちが自然に湧いてきたら行こう。その時、またマッターホルンが良ければ再挑戦(もしそうなったら、アイガーもセットで登りたい!)するし、他の山になってもそれはそれで良いと思う。