スキーシールの保管・メンテナンスから張り替えまで

バックカントリースキーを始めてから、かれこれ8年くらい経つ。年にもよるが、大体ワンシーズンで10~20日くらい山で滑っている。
最初の4年ほどはG3、ここ4年くらいはポモカのシール(クライミングスキン)を使っている。シールの粘着タイプには、いくつか種類があるようだが、G3とポモカはいずれもグルーを使った粘着方式だ。
最近、ポモカのシールが劣化してしまい、自分で張り替えを行った。逆に言うと、それまで大きな劣化はなく、最低限の注意と簡単な手入れで調子良く使えていた。
良い機会なので、普段の保管からメンテナンス、そして張り替え方法について書いてみたいと思う。
保管方法
オフシーズン
シールを使わない春~秋の間は、冷凍庫に入れて保管している。冷凍庫ではなく冷蔵庫派もいるが、恐らくどちらでも大差はないんじゃないかな。
シールをG3からポモカに変えてからは、冷凍庫に入れる時も接着面同士を貼り合わせたまま。それで特に問題はないけど、保管の時はクッキングシートに貼って畳んでおくという人もいる。
また、僕はシールを買った時に付いてくるメッシュの袋に入れて冷凍庫にしまっているが、ジップロックなどに乾燥剤と一緒に入れるとより良いらしい。シールは湿気を嫌うので、その対策なんだけど、冷凍庫の中の湿度がそれほど高い訳ではない。ということで、これも念のためといった所だろうか。
シーズン中
お世話になっているBCスキーのガイドさんいわく、シールは25℃くらいまで全く問題ないとのこと。
実際、冬の間は普通に部屋の中に置いている。ポモカは接着面同士を貼り合わせた状態で、購入時のメッシュの袋の中。
心配な場合は冷凍庫に入れてもいいと思うけど、山で登り始める時、シールを冷凍庫の中に忘れてきたことに気付いたという話はたまに耳にする。
よほど暖房の効いた場所や、ストーブの近くに置かない限りは大丈夫だろう。
メンテナンス
下山後
保管方法のところで書いた通り、シールは湿気を嫌う。とにかく仕舞う前にしっかり乾かす。シンプルだが、これに尽きるだろう。
シーズン中、シールの状態が特に悪くならない限り、他には特別何もしていない。
粘着力が落ちてきた場合
シールは使用を繰り返すと、徐々に粘着力が落ちてくるが、それでも最初の2シーズンくらいは特に問題ないと思う。むしろ、新品状態のシールは粘着力が必要以上に強く、特に女性は接着面同士やスキーのソールから剥がす時に苦労しているのをよく見かける。
残雪期のBCでは、落ち葉や土などが雪の上に落ちていて、どうしてもシールの端っこに引っ付いてしまう。僕は、シーズン終わりのタイミングで、できるだけピンセットで接着面のゴミを取り除くようにしている。
この時、多少グルー自体もゴミと一緒に取れてしまうが、後述のようにグルーの塗り足しをするならあまり気にしなくていい。あと、細かいゴミは取っても取ってもキリがないので、やめ時が肝心だ。笑
粘着力が落ちてきたなと感じたら、グルーのゴミをできるだけ取り除いた状態で、グルーの塗り足しがオススメ。グルーの粘着力が低下すると、ハイクアップの時に端から雪やゴミが入ってきてしまう。
ポモカの場合、以下のようなグルーチューブが販売されている

これはシールの張り替え用に販売されているもので、説明書にも塗り足すといった使い方については書かれていないのだが、僕以外にもやっているという人の話はよく耳にする。
塗る時にはヘラを使ってもいいけど、オススメは使い捨てのビニール手袋。これを着けた状態で、チューブのグルーを少しずつ手に取り、塗り広げていく。
シールの端がしっかりくっついていれば、中央部分の粘着力はそれほど必要ないので、いつも両サイドの数cmだけ塗っている。ただし、トップとテールの部分は歩いている時に剥がれやすいので、中央も含めて念入りに。
グルーを塗っていると、どうしても端から多少はみ出してしまうので、作業をする時は段ボールを敷いている。あとは換気。塗り終わったら、仕舞う前に一晩乾かす。
ちなみに、G3のシールを使っていた時は、ブラックダイヤモンドのゴールドラベル接着剤を使っていた。
ベトベトになってきた場合
グルーのベタつきは、経年劣化でも発生するのかもしれないが、よろしくない保管状態が原因となることが多いようだ。
グルーが手やスキーのソールに残る状態になったら要対応。最終的にはグルーの張り替えが必要だが、延命措置的な方法があるので紹介する。
用意するのはアイロンと紙。アイロンは何でもいいし、紙もこれじゃなきゃダメというのはないと思うけど、僕はクッキングシートを使っている。

紙をグルー面に乗せ、アイロンで温めて紙を剥がす。これだけ。そうすることで、劣化したグルーが紙に移るという訳だ。アイロンの温度は中温に設定している。
ベタベタの程度が軽い場合、この方法でそれなりに改善するが、完全解決は難しい。
滑走に影響が出るほどグルーがソールに残るようになったら、シールを張り替える必要がある。
張り替え
張り替えのタイミング
僕はこれまで、G3が1本、ポモカ2本で計3本のシールを使っている。G3とポモカの内1本は、これまで書いた保管とメンテナンスで、4シーズン以上問題なく使えている。
一方、ポモカのもう1本は3シーズン目の頭に冷凍庫から出したところ、少しベタベタする状態になっていた。
2シーズン目の終わりに、北海道・利尻島へ行った後に乾かしてから冷凍庫にしまい、夏の間は一度も出していない。利尻で滑り終わった後、シールは他の道具と一緒にスキー宅急便で自宅へ送ったんだけど、その時に状態が悪くなったのだろうか?
3シーズン目は上で紹介したアイロンと紙を使った方法で応急処置。4シーズン目の頭に冷凍庫から出したところ、また少し劣化が進んだ感じだったので、いよいよ張り替えを行うことに。
ということで、張り替えのタイミングは、使用頻度や年数よりも保管とメンテナンスに大きく左右される。
専門ショップに張り替えを依頼する場合
僕は実際に張り替えを依頼したことはないんだけど、調べた範囲で紹介。
ググってすぐに見つかったのが、nice edgeの張り替えサービス。修理料金はグルー代込みで¥8,000。店舗への持ち込みの他、送料は自己負担になるが送ってもいいようだ。
僕も最初はこのサービスを利用しようと思ったんだけど、シールを冷凍庫から出したのは、BCツアーを約1週間後に控えた12月中旬。nice edgeのサイトを見ると、「ハイシーズンは1~2カ月かかる場合もある」と書かれている。
その他、ポモカのシールを購入したラッピーにも相談したことがあるけど、やはりシーズン中はかなり時間がかかるらしい。
ということで、ショップに張り替えを依頼する場合、とにかく時間に余裕を持った方が良い。
自分で張り替える場合
上で書いたような成り行きで、自分で張り替えざるを得なくなったので、なんとかやってみた。nice edgeのサイトにも説明があるし、youtubeでもわかりやすい動画があるけど、ここでは苦労したポイントなどについて記載。
準備したもの
①はnice edgeのサイトで4m分だけ買えるので、スキー板1セットにちょうど良い。幅は150mmと128mmの2種類があるが、スキーセンターではなく一番太い部分より長い幅を選ぶ必要がある点に注意。また、あまりに幅がピッタリだと貼りづらいと思うので、少し余裕を持った幅がオススメ。
なお、チューブタイプのグルーでも構わないが、塗り広げるのが結構大変だと思う。均一に塗るのも難しそうなので、恐らくグルーシートを使った方が楽。
②は古いグルーを剥がすために使用する。アイロン+普通のスクレーパーでもOK。正直、ただ熱くなるだけのヘラに¥8,250はかなり躊躇したが、作業効率がかなり変わりそうなので購入。なお、半田ゴテと金属板で自作している人もいるようだ。
③はガリウムのワクシングアイロンを使用したが、普通のアイロンでも多分問題ないと思う。
④は新しいグルーを張る時の圧着用だけど、これは専用のものは必ずしも必要ではない。僕は丸いビンで代用。
張り替えの流れ
まずは床が汚れないように、段ボールなどを敷く。ちょうど良い大きさに木の板をカットし、シールにテンションをかけられるようにした専用作業台を作っている人もいる。確かにその方が作業しやすそうではある。

次に、グルースクレーパーをコンセントに繋ぎ、十分熱くなったら古いグルーを剥がしていく。



一通りスクレーパーで古いグルーを剥がし終わったら、アイロンと紙を使い、残ったグルーをさらに取り除く。紙は何でもいいと思うけど、僕はコピー用紙を使用。アイロンは130℃に設定。


さて、ここからようやく新しいグルーを張っていく。まずはキッチンペーパーを敷き、その上に古いグルーを剥がしたシールを置く。
シールの上に新しいグルーシートをセット。僕は4mで購入したので、片方のシールのトップからテールまで貼って余りをカットし、残りをもう片方のシールに使用。

この後、アイロンで熱をかけてしっかりグルーを定着させるのだが、熱をかけなくてもグルーシートからシールにグルーは移ってしまう。
つまり、張り直しはできない。曲がったり、シワができたりしないように慎重に。グルーシートの幅に余裕がないと、貼る角度が少し傾いただけで、グルーが乗らない部分ができてしまう。全工程のうち、一番神経を使う作業だ。
グルーシートを置いたら、アイロンで熱をかけてグルーをシールに移していく。アイロンの温度は140℃に設定。熱をかけ過ぎてもダメらしいけど、熱が十分じゃないとスキーに張った時グルーがソールに移ってしまうらしいので、意識してかなりゆっくりアイロンを動かした。

さらに、熱いうちにローラー(または丸いビンなど)で押さえ、しっかりとグルーをシールに定着させる。


最後に、端からはみ出た余分なグルーを、ガムテープを使って取り除いて作業完了。ガムテープを剥がす時は、シールの毛の向きに沿って剥がすと剥がしやすい。



新しいグルーを張り終わったら、一度スキーに張ってから剥がし、問題ないことを確認する。ポモカの場合、粘着面同士を貼ってもOK。
なお、僕は初めての作業だったこともあり、全部で2時間以上かかった。
まとめ
スキーシールの普段の保管からメンテナンス、張り替えまで、僕がやっている方法を紹介させてもらった。
一番大切なのは、使った後はしっかり乾燥させ、暑い場所や湿気の多い場所で保管しないということ。基本的なことだが、使用頻度にもよると思うけど、これさえ守ればそれほど頻繁なメンテナンスは必要ない。
また、グルーの張り替えは費用も手間もかかるので、可能な限り避けたい。なお、自分での張り替えは、以下の場合を除いて正直オススメしない。笑
一回やってみた感想としては、かなり面倒な作業だ(笑)。
nice edgeのグルー張り替え料金は¥8,000(グルー代込み)。今回、僕が購入したグルーシートが¥5,500だったので、作業料は¥2,500ということになる。これは自分でやる手間を考えると、ハッキリ言って格安だ。
ということで、僕のようにシーズン直前に冷凍庫から取り出して焦ることのないよう、ぜひシールの状態は早めにチェックするようにしよう。