【鳳凰三山】名峰に囲まれた美しい砂浜の稜線(オベリスク登攀の下見)

山行日:2025年7月12日(土), 13日(日)
今回の登山
元々は登山がきっかけで始めたクライミング。ここ数年は特に夢中になり、季節を問わず岩登り。
そのクライミング熱も、ほんの少しは落ち着き?、外岩がローシーズンの夏くらい、また山登りをしたいなと思っていた。
そんな中、クライミング仲間のハナダテ姉妹の妹、さやてぃーが最近登山デビュー。しかし、交通機関の問題もあり、専ら低山ハンターになっているという。
そこで、姉のゆきりんと計画し、さやてぃーを初のアルプスに連れ出すことに。
大好きな鳳凰三山
アルプスデビューに良い山はどれだろうか?
体力的・技術的にキツくなく、それでいて景色が美しい山がいいだろう。あと個人的には、単純な登山口と山頂の往復より、ぜひ3,000m級の縦走を体験して欲しかった。
クライマーなので、アルプスデビューといっても岩稜帯は特に問題ないだろう。槍・穂高も考えたけど、縦走しようとすると、基本的には2泊3日になる。できれば1泊2日以内にしたい。
そこで思い付いたのが、僕自身のアルプスデビューの山でもある、南アルプスの鳳凰三山。
初めて登った時に大好きになり、これまで計4回登っている(夏1回、秋1回、冬2回)。
1回目は紅葉の最盛期。天気も最高で、こんなアルプスデビューだったら、そりゃハマっちゃうよね。



僕が鳳凰三山を気に入っている理由は色々ある。
槍・穂高のような岩稜帯はないので、歩きはやや単調かもしれないが、これは言い換えると歩きやすいトレイルということになる。
登山口の標高が低く、夏は登り始めの暑さが厳しいが、マイカーで登山口まで入れるのは大きい。バスなどの時間を気にしなくて良いのは気が楽だ。
展望のない樹林帯歩きが長くなってしまうが、ドンドコ沢コースは計4つの滝が点在し、見どころがあって楽しめる。
前置きが長くなってしまったが、要するに僕自身がまた鳳凰三山に行きたかったのだ。笑
山行記録
Day 1
アクセス
当日の朝、6:30過ぎに高尾駅でハナダテ姉妹をピックアップ。北アルプスだったらありえない集合時間で、アクセスの良い鳳凰三山ならでは(もちろん教科書的にはもっと早く登り始めた方がいいけど)。
韮崎ICで高速を下り、コンビニで2日分の行動食を購入。
今回の登山口は青木鉱泉。過去4回はいずれも御座石鉱泉からだったので、今回が初めてとなる。
Google Map通り、甘利山の山頂近くを通る道で青木鉱泉に向かったけど、細いクネクネ道が長く続いて大変だった。
多少遠回りで、未舗装区間が長くなるけど、車高が高い車であれば御座石鉱泉側から向かった方が楽かもしれない。
青木鉱泉(登山口駐車場)

まだ梅雨明け前とはいえ、最終的に晴れ予報となったこの土日。
駐車場の満車は密かに心配だった。実際、8~9割くらい埋まっていたが、キャパがある駐車場で、まだ10台分ほどの空きスペースがあった。
とはいえ、無料で止められる御座石鉱泉に対し、有料の駐車場であるにも関わらず、やはり滝のあるドンドコ沢コースは人気のようだ。
青木鉱泉で、2日分の駐車料金¥800×2=¥1,600を支払う。

登山開始
9:30過ぎに登山開始。
青木鉱泉の標高は約1,100m。都内に比べるともちろんマシだが、やはり歩き始めは暑い。


何度か渡渉(靴は脱がずにいけた)があり、水で冷やした手ぬぐいを首にあてる。
下調べの際、ドンドコ沢コースにはヒルがいるという情報があったけど、少なくともこの日は見かけなかった。
南精進ヶ滝
青木鉱泉から2時間弱、11:30頃に最初の滝に到着。

登山道沿いから見える立派な滝。
鳳凰の滝
2つめの滝は、登山道からやや離れた位置にあるらしい。

ゆっくり出発の今回は、それほど時間に余裕がないのでパス。
白糸の滝
13:15頃、3つめの滝。ところで、白糸の滝って全国にいくつあるんだろう?

この滝もなかなかスケールが大きいけど、あまり近くまでは行けないようで、木の隙間から見える感じ。おまけにガスってきた。
五色の滝
14時前、最後の滝に到着。良いタイミングでガスも晴れてきた。

五色の滝は本当に圧巻!登山道から5分くらい離れていて、急登を下りる必要があるけど、滝のすぐ近くまで行ける。
特等席で休憩しつつ、撮影を楽しんだ。
鳳凰小屋

五色の滝を過ぎると、鳳凰小屋までは残り1時間ほど。相変わらず展望はないが、苔の森が美しい。

そして15時半頃、ようやく鳳凰小屋に到着!青木鉱泉から約6時間。のんびり休憩しながらだったけど、割といいペースだったかな。

鳳凰小屋は、昨年の2024年に建て替わったばかり。新館は真新しくて、明るい雰囲気だった。

我々が宿泊の予約をしたのは、約1ヵ月前の6月中旬。鳳凰小屋の予約開始は4月1日。
ほとんどの週末はすでに埋まっていて、この7/12(土)~7/13(日)も電話した時点で満員に近かったが、辛うじて旧館に泊まることができた。
1泊2食付きで¥13,000だが、旧館だったので、¥500引きの¥12,500。

夕食は2回目の18時からだった。
消灯は20時。夜型の我々にとって、普段では考えられない就寝時間。笑
Day 2
出発
朝食は5時半から。お弁当にした人が多かったようで、食堂は空いている。
この時期は日の出が4:30頃と早いため、稜線上でご来光を見ようとすると、3:30くらいに出発しなければならない。
基本的にのんびり屋なので、小屋で暖かいご飯をいただいてから、6時過ぎに出発。
鳳凰小屋から上も、しばらく樹林帯が続くが、徐々に視界が開けてくる。


足元は白い砂浜のようで、アリ地獄よろしく体力を奪われる。笑
日も照りつけて朝から暑いが、天気は最高だ。下界には雲海が広がっている。
地蔵岳
鳳凰小屋を出発してから約1時間、7時過ぎに地蔵岳に到着。本当のピークはオベリスクの先端だが、広くて平らで気持ちの良い山頂だ。




360°絶景で、シャッターを切る手が止まらない。甲斐駒のバックには、例年より残雪が多い北アルプスが見え、槍ヶ岳のトンガリも確認できる。
オベリスク登攀の下見
しばらく休憩し、ザックをデポしてオベリスクへ。


簡単なアスレチックで上部まで行ける。さらに左から回り込み、狭いトンネルをくぐり抜けると、細いクラックが目の前に。

ここまではほぼ歩きで来れるのだが、最後の5mほどは本格的なクライミングだ。クラックのグレードはよくわからないが、5.9くらいだろうか?
上からロープ(というか細引き)が垂れているが、さすがにこれに命を預ける訳にはいかない。
クラックにカムは決まりそうだったので、トラッドの経験が一番豊富なゆきりんが、必要そうなカムサイズをチェックしてくれた。
我々がオベリスクから引き返す時、大学の山岳部だという若者達が、ハーネスとクライミングシューズを履き、登攀の準備をしていた。
僕たちも今度来るときはギアを持参し、オベリスクの頂上に立ちたい。
観音岳
地蔵岳でかなりのんびりしてしまったが、ようやく縦走開始。



白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)も目の前に。周囲は百名山だらけだ。

アカヌケ沢の頭から下り、鳳凰三山の最高峰、観音岳への登り返し。ここは急登だが、登り切ればこの山行の登りは実質終了だ。

そして9:15頃、観音岳(2,840m)に登頂!

薬師岳
観音岳の山頂は比較的狭いので、長居せずに薬師岳に向けて縦走再開。
観音岳から薬師岳へと続く縦走路が、個人的には歩いていて一番楽しい部分だ。

とても広い稜線で、アップダウンもほとんどない。目線の先には富士山。まさに天空の散歩道。
薬師岳の山頂は、どこがピークかよく分からないくらい、広くてフラット。相変わらず晴れて暑かったので、岩陰でパンとコーヒーブレイク。
中道(下山路)
楽しかった縦走もこれでおしまい。徐々にガスも上がってきた。10:30頃、青木鉱泉に向けて下山開始。
登りで使ったドンドコ沢コースと違い、中道は特に滝などの見どころはない。その代わり、大きな登り返しもなく、どんどん高度が下がる。
最後は車が通れる道幅の林道歩き。標高が下がって気温は上がってきたが、幸い林道は日陰なので、クールダウンにちょうどいい。
少し汗も引いてきて、これで終わりかと思いきや、最後に日差しを遮るものがない舗装路!

この橋から青木鉱泉までのわずかな登りが、とても長く感じられた。

13:20頃、青木鉱泉の駐車場に到着!薬師岳からの下りは黙々と歩いたので、3時間もかからず。
川の冷たい水が気持ち良かった。
青木鉱泉
汗でベトベトなので、青木鉱泉で日帰り入浴。1人¥1,000。
お風呂は広くはないが、車に乗る前に汗を流せるのはありがたい。少しぬるめのお湯も、疲れた体にはちょうど良かった。

ふりかえり
5回目の鳳凰三山。やはり素晴らしい山だった。
色々な山に登るのももちろん良いけど、好きな山には何度登ったっていいと思う。
天気も最高で、絶景の稜線歩きを堪能。さやてぃーも忘れられないアルプスデビューになったんじゃないかな。
ここ数年はフリークライミングばかりだったけど、やっぱり登山も楽しい。クライミングと違って成果も求めなくていいし。
ちなみに、ほぼ登りだけだった1日目の疲れはさほどなかったんだけど、下山翌日はとんでもない筋肉痛。笑
冬から春にかけて、バックカントリースキーで山はたくさん登ったけど、帰りは滑るだけ。下るための筋肉は、すっかり落ちてしまっていたようだ。
また体力つけないとな~。あとコロナ前と違い、今の山小屋は予約ありきなので、来年は春からちゃんと計画した方が良さそう。
とりあえず次に鳳凰山に来る時は、クライミングギアを持参して、オベリスクのてっぺんへ!