【小川山】ゴジラ岩・サンキストRP!

きい

クライミング日:2025年10月18日(土)

今回のクライミング

昨シーズン、ちゃびんば(5.13b)を登って以来、約1年ぶりのゴジラ岩。

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今回はサンキスト(5.13b)を狙う。

ゴジラ岩のテラスからの景色、縞模様の紅葉が綺麗

✅サンキスト(5.13b), 3go

ルート解説

サンキストのライン

ゴジラ岩の5.13b三部作(そういう言い方があるのかは知らないけど)の内の1本(残りの2本はちゃびんばと黄河)。

そもそもマイナーエリアではあるのだが、三ツ星のちゃびんばに比べると知名度は低いものの、サンキストと黄河も小川山本では二ツ星。

持久系のちゃびんばに対して、サンキストはボルダー要素の強いルートだ。

あっこカンテⅡのスローパートラバースを半分くらいまで登り、棚の上に立ち上がって一旦大レスト。

中間部のガバで休めるものの、その前後に強度の高い核心がある。

トライ

基本的にルートはいずれも5.12以上で、アップが悩ましいエリア。歩いて終了点まで行き、上からサンキストのヌン掛けをし、いきなり取り付いてみる。

1便目

朝一でのあっこカンテ下部はとにかく怖い。テンテンでなんとか抜ける。

あっこカンテでの苦い思い出

2シーズン前にあっこカンテⅡにトライした時のこと。スローパー棚のヒールフックが抜けて不意落ち。グランドはしなかったが、ビレイヤーは当然ロープを流す余裕はない。落ちる姿勢をコントロールする間もなく、つま先をしこたま壁にぶつけてしまった。骨折などはなかったものの、右足親指の爪は内出血し、かなり腫れてしまった。アドレナリンが出ていたのか、最初はそれほど痛くなく、その次の便でRPしたものの、夕方になって猛烈に痛みが増してきた。ただでさえ遠いゴジラ岩。足を引きずりながらの下山は、いつも以上に長く感じた…。

棚に立ち上がり、最初の数手はガバカチだが、そこからのライン取りが悩ましい。

右にガバカチの棚が見える。僕のリーチだとなんとか届くものの、スタンスがほとんどない。

直登ラインで、左手を斜めカチ、右足ハイステップで水平外傾カチを取りにいくのが良さそうだ。止まりはしなかったが、なんとかなりそうな感触だったので、とりあえず上へ。

スローパーでやや悪いクリップして、一旦ガバでのレスト。ホールドは良いが、スタンスがしっくりこなくて思うように休めない。

終了点前で急にホールドが少なくなる。一般的なムーヴではなさそうだが、僕はリーチを活かしたランジをチョイス。取り先のガバカチが完全にブラインドだが、少なくともバラシでは、それほど難しいランジではない。2回目で止まった。

チカコさんは終了点のやや左から、かなり細かいスタンスで、悪そうなホールドを繋いでいた。

小川山本に書かれている、「ボルト4本目のアンダーホールドからの数手」が恐らくこの部分だと思うが、アンダーそのものは特にキーホールドという訳ではなさそう。

5.13bの1便目としてはかなり好感触で、2撃も狙えそうな感じ。あっこカンテパートが一番悪い!?

2便目

あっこカンテのスローパートラバースはなんとか抜けたが、めちゃくちゃパンプしてしまった。棚に立ち上がってレストするが、絶妙にノーハンドにならない。パンプが抜け切らないまま上へ。左手斜めカチからの右手外傾カチ取りでフォール。

その後、バラシで何度もこのムーヴを試すも、止まりそうで止まらない。手も足もそれほど悪くないのだが、位置関係が悪い。

右足がかなり高い位置にあるので、お尻が壁から離れてしまう。かと言って背が低い場合、取り先の外傾カチが遠いだろう。

探っている途中、スローパー棚から立ち上がってすぐに使っていたカチが剥がれてしまった。他の人が使っていた様子もないし、グレードには特に影響ないと思います。ゴジラは岩の中身は硬いらしいけど、表面は結構脆い感じ。

ブランクパートを残したまま上へ。そこから終了点前までは繋がったが、ランジでフォール。やはりここも落ちられる。

3便目

ゴジラ岩は南面なので、北風はテラスには入ってこない(終了点の上に立つと風が当たる)のだが、この日は南寄りの風。

午後からは雲が出て日差しもあまりなくなり、かなり寒くなってしまったが、フリクションは期待できそう。

あっこカンテのスローパートラバースは、冷えても結局ツルツルしているが、先ほどの便に比べると余裕を持って通過。棚に立ち上がった後のレストも良いバランスを見つけ、体感だとほぼ全戻し。

出だしの数手を無難にこなし、バラシでも出来ていない第一核心へ。

左手斜めカチ取り

この左手斜めカチは、そこまで悪い訳じゃないけど、ホールディングが難しい。でもさっきより持ち感がいい?

右足ハイステップ

窮屈なハイステップ。あれ、左手が引けて体がしっかり上がってる?

右手外傾カチ取り

めっちゃ手開いてるけど、ギリギリ止まったー!

この第一核心に関しては、繋げる難しさはほぼないとはいえ、バラシで何回やっても止まらなかったのになんで!?

フリクション?結局フリクションなの!?

外傾カチをマッチ

外傾カチをマッチし、スローパーを止め、クリップするまでも油断できない。

中間部のガバまで到達。まさかここまで繋がると思ってなかったので、レスト体勢は全く考えてなかった。どれくらい休むか迷ったが、このまま押し切れそうな気がしたので、一か八か数シェイクのみで上へ。

ガバからの数手も難しくない。チョークアップしつつ、第二核心へ。

ランジの発射体勢

左手斜めガバカチ、右手はアンダー。写真だとわかりづらいが、左足は良いフットホールドがないのでスメア。右足で強く蹴って飛び出す。

奥のブラインドホールドめがけて飛ぶ

落ちたと思ったが、右手がギリギリ引っ掛かった!

ギリギリ止まった!

でもかなりの甘掛かり!しかもランジを止めた後も、まともなスタンスがない。

気合いで左手をマッチ。なんとか耐えた!

終了点にクリップし、せっかくなので簡単なマントル返し。

登れてしまった…。ブランクパートがあったというのに、意味がわからない。

5.13bのワンデイは、たしかこれが初めて。突如訪れたチャンスを、そのまま上を繋げ切ってモノに出来たことが何より嬉しい。

体感グレード

第二核心の悪い部分を、ランジですっ飛ばせたことが大きかった。

それでも、無職の夏休み(5.12c)よりは難しい。雷火(5.13a)に比べると簡単に感じたので、5.12dくらいだろうか。

第二核心を標準的なムーヴでやった場合でも、そこまで繋げる難しさはなく、5.13aくらいだと思う。ちゃびんば(5.13b)はよりは明確に易しい

ただし、核心だけ比べると、ちゃびんばよりもサンキストの方が強度がある。サンキストは登れる人にはすぐ登れるが、登れない人にはボルダリーな核心が大きく立ちはだかるルートなのかもしれない。

ふりかえり

ここ最近、決め切れないルートが多くて悶々としていたが、久しぶりの会心トライ。

リーチが平均から大きく外れているので、高グレードでもハマれば少ない便数で登れることがあるが、こういう爆発力は大事にしたい。

ゴジラ岩の5.13b三部作のうち、これで残るは黄河。もともと3本の中で一番難しいと言われていたにも関わらず、ホールドが欠け、もはやグレード不明のようだ。知り合いの強者が何人かトライしているが、いずれも敗退している。

しかし僕の場合、特殊リーチが生む特殊ムーヴで解決できる可能性がある。

ゴジラ岩のメインエリアは、この5.13b三部作に加え、あっこカンテⅡ(5.12a)と無職の夏休み(5.12c)の計5本。黄河が登れたらコンプリート。

どこでエリアを区切るかにもよるが、意外とエリア全完てない。それがこの高グレードエリアで出来たら、さぞかし気持ち良さそう。まずは一度触ってみたい。

陽が当たっている写真中央下部がゴジラ岩のメインエリア

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ABOUT ME
きい
きい
登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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