【瑞牆・小川山】2025海の日の3連休・3連登

きい

クライミング日:2025年7月19日(土)~2025年7月21日(月・祝)

今回のクライミング

久しぶりの祝日。毎年、海の日の3連休は梅雨が明けるかどうか微妙なところ。

梅雨末期の大雨になることもあれば、梅雨明け後の晴天が続くこともある。今年は後者だった。

結果的に最終日の午後は雷雨になったけど、晴れマークが並んだ3連休。

日差しと混雑を避けてクライミング。

瑞牆・おいぼれランド(Saturday)

初日は2回目となるおいぼれランド。エリアの概要などは、1回目の記事参照。

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チップの駐車場はキャパが小さいので、満車を警戒して朝7時頃に行ったらガラガラだった。3連休なのに意外。この時期はボルダラーが少ないからかな?

✅ハナタレフガフガ(5.12a), 3go(計2d7go)

前回の宿題。ルート概要などは、前回の記事参照。

西面で午後からは陽が当たるので、涼しい午前中にトライ。

前回、ムーヴは作れていたんだけど、約1年前で覚えていないので最初から。

アップ抜きだったこともあるかもしれないけど、再度ムーヴを作るのに結構苦労した。時間はかかったけど、1便目でバラし、2便目はフォール。この日の3便目でなんとかRP。

かなり体幹にくるルートだ。やはり碧眼ジャイアン(5.12b)より難しく感じる。

決して得意なタイプではないけど、ホールド配置が絶妙で、良いルートだと思います。

女性のイイヅカさんは得意系だと思ったけど、意外にもムーヴを解決できず。リーチによって大きく難易度が変わるのかもしれない。

❌じぇーんぶじぇーんぶじぇーんぶで2個で50ルピー(5.13a), 2go

じゃーんぶ…をトライするモトハシさん

一字一句すべて覚えるのは大変だけど、一度聞いたら何となく頭に残るルート名。

かなりの強傾斜の中、左上クラック沿いに登るルート。長さはあまりなく、紐付きボルダーに近い。

写真では伝わりづらいが、かなり被っている

序盤が核心。地面が近いので、思い切りも必要。ビレイヤーと体重差がある場合は特に要注意。

その後も楽なムーヴはなく、終了点直前までどこでも落ちられる。短いながら、繋げる難しさもしっかりある。

特別保持が悪いホールドはないけど、とにかく向きが悪い。アンダーホールドが連続するにも関わらず、スタンスが乏しく、体幹の強さが問われる。

1便目で一通りムーヴは作れたが、それで体幹が終わってしまった。2便目はほぼ何もできず。

モトハシさんはビクトリーホールド取りでフォールし、2撃こそ逃したものの、3便目でしっかりRP。

取り付きがザレザレで大変だけど、1日を通してほぼ陽が当たらず、フリクションを除けば夏向きのルート。

ルンゼ状の場所にある

❌みんなが私を探してる(5.12c), 1go

みんなが私を探してる(5.12c)

新しい瑞牆本にも載ってなくて、ロクスノで小さく紹介されていたルート。

野良猫岩から尾根に向かって急登を上がって行き、尾根を乗り越えた反対側にある。踏み跡はほぼなし

見上げて思わずカッコイイと感じた岩。長さも20mくらいあるだろうか。

序盤が少し難しいものの、そこからしばらくはガバが続く。

終盤で縦に伸びる綺麗なクラック。ここはフェイス上にホールドがほとんどなく、ジャミングの技術がないと難しいと思う。

そこからクラックは向きを変え、水平に近い角度で右に繋がっていて、スローピーな持ち感のホールドが続く。

そして最後はリップへの距離出し。そこだけやると難しくないけど、繋げてきたらこの一手で落とされることが容易に想像できる。

この日は夕方に1便だけだったが、縦クラックの部分は、繋げて出来そうなムーヴは作れなかった。

岩が脆いようで、ボルト間隔はかなり近め。グルーで固められているホールドが多い。

壁の向きは北西面?陽の当たる時間は短そう。

小川山・サイコロ岩(Sunday)

連休中日はサイコロ岩。2週間前に初めて行ったエリア(以下の記事参照)。

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この日が1番混みそうだったので、マイナーエリアをチョイス。

しかし、兄岩方面へ渡渉しようとしたところ、川が見たことない水量。2週間前に渡った丸太橋も、流されてしまっていた。

上流側に約100m、下流側にも100mほど歩き、なるべく水量が少ないところを探す。辛うじて渡れそうなところで川を横切るも、膝のすぐ下くらいまで水に浸かる。

流れも速くて、岩で体を支えながら通過。川底はヌルヌルしていて緊張する。もちろん荷物を背負っているので、もし転ぶとかなり危ないと思う。

なんとか全員無事突破。渡渉がこの日の核心だった。

小川山の渡渉でここまで苦労したという話は聞いたことがないけど、直近でかなり雨が降ったのだろうか?

スリリングな渡渉

✅シュロス・アドラー(5.11c), 1go(2d2go)

ムーヴ探り中のさやてぃー

まずは前回の宿題。西面のルートなので、午前中は陽が当たらず涼しい。

アップも兼ねて登り、無事この日の1便目でRP。ムーヴが分かれば登り易い5.11cという気がする。でもやはり面白い。

✅ベル・ビュ(5.12a), 3go

ベル・ビュにトライ中のきい
かいてぃーのトライ

同じく西面のど真ん中を貫くルート。3つ重なった岩の内、中段の岩に難しさは集中している。

下から見上げると、全くホールドがないように見えるのだが、実は掛かりの良いカチが連続している。カサメリの十手持ち(5.11d)を思い出した。

下段からのルーフ越え、中間部のガストンからの一手、そして上段との間のリップへのデッド。

ボルトラインは岩のど真ん中なのだが、上段はまともに登るとホールドがなくなる。グレードを考えると、左のカンテを使うのが自然だと思う。

適度にストレニで、ボルダー強度と持久要素のバランスが取れた楽しいルート

2便目は中間部のクリップ前にバランスを崩し、あわや手繰り落ち。3便目で割と無難にRP。体感グレードはsoft 5.12a。

❌サイコロ・ルーフ(5.11b), 1go

サイコロ・ルーフのライン

午前中に西面の2本を登り、午後からは東面に移動。

普通にいけば、この日の内にサイコロ岩の5ルート全完登かと思われたが、思わぬ試練が待ち構えていた。

サイコロ・ルーフは、西面にある3本のうち、左側のルート。

1P目の位置が高いので緊張する。マスターは地獄

そして、1~3P目くらいまでずっと悪い。しかもこれは苦手系ではないと思う。得意のカチだけど、純粋に保持の強度が高い。ホントに5.11b?

中段から上段の岩に移る部分はスラブ。かなり岩茸が生えていて、あまり触られていない様子。

このスラブは徐々に傾斜が落ち、テラス状になっているのだが、それでも足元は外傾している。さらに、上段の岩がオーバーハングしているので、立ち上がると上半身がのけぞる形になる。

問題は、完全に立ち上がらなけば、次のボルトに手が届かないということ。1つ前のボルトは、足元よりかなり下。もし立ち上がる時、後ろにバランスを崩したら…。古いボルトがさらに不安を煽る。

まず落ちないのだろうけど、これは怖い!怖過ぎる!

シークレット(5.11c)とノー・アクセス(5.11a)のラインに逃げ、一旦サイコロ岩の頂上に上がってサイコロ・ルーフのヌンチャクを回収。

❌シークレット(5.11c), 1go

東面の中央に引かれたルート。サイコロ岩全完はなくなってしまったが、最後の1本を触っておく。

地面に岩が積まれていて、どうやらここに立ってスタートするようだ。出だしがいきなり悪いが、僕のリーチだと立った状態でガバに手が届いてしまった。

問題はそこから。ゴミのような手とゴミのような足の連続。

核心は中段の岩から、上段の岩との間のリップを取る前の数手。僕には人類がここを登れるということが、俄かには信じられない。

かいてぃーとさやてぃーも、午前中に西面の2本はそれぞれ2撃したものの、シークレットは核心が解決できない。

傾斜はわずかに寝ているものの、ほとんど垂直。ホールドは適正傾斜を無視した悪さにしか思えないのだが…。

午前中は気持ちよく2本RPしたのだが、午後から3人ともボコボコにやられてしまった。

帰りの渡渉もスリリングだったが、細かいホールドへの立ち上がりで疲れた足には良いアイシングになった。

小川山・キツネ岩(Monday)

海の日の祝日。三連休も最終日は人が減る傾向にあるが、もともと晴れだった予報が変わり、お昼頃から雨になりそうだ。廻り目平の駐車場は、前日までが嘘のように空いていた。

花崗岩でのまともな3連登は、指皮的になかなか厳しい。兄岩で低グレードのクラックをやるつもりだったが、前日の渡渉で懲りたので、初めてのキツネ岩へ。

小川山本では、アプローチ難易度が「高」になっているが、特に迷うことはなかった。ずっとそれなりの傾斜で登るので暑かったけど。

朝は雲一つない快晴だが、天気はいつまで持つだろうか。

スペースは広くないが、4人くらいまでならそこまで窮屈ではない

✔御座山はオグラサン(5.12a), 5go(PP)

キツネ岩の北面には、オールボルトのチャッカリどん兵(5.12b)と、ボルト&ナチュプロの御座山はオグラサン(5.12a)の2本が引かれている。

上部は薄被りのカッコいいフェイス。長さも20m弱くらいありそうだ。朝からずっと日陰になり、涼しくて心地良い。

この日は4人パーティーだったので、それぞれのルートに2人ずつトライ。

これまで、基本スポート(ボルト)のルートで、ランナウトした箇所で部分的にカムを使ったことはある。

オグラサンは、ボルトは3本のみで、ルートの大部分をナチュプロで登ることになる。しかし、トポによると、核心は上部のボルト部分で、ナチュプロ部分は難しくないらしい。

最近、クラックやマルチを始めたので、カムセットの練習にちょうど良さそうだ(と実際に登るまでは気楽に考えていた…)。

ジャミングは必須ではないが、縦に伸びるクラック沿いに登って行くので、サイドホールドが基本となる。ガバではあるが、序盤からバランシーなムーヴが多く、慣れないカムなので余計に緊張する。

3つくらいカムを決めながら登ると、一旦ノーハンドになれるテラス。5mほど上に、別のテラスが見えるが、その間が少し悪そうだ。

立っているテラスから手を伸ばし、なるべく高い位置にカムを2つ固め取り。意を決して登り出す。

弱点を突いて登ると、クラックのやや左側のライン取りになり、カムがセットできない。気づくと固め取った2つのカムは、足元よりずっと下にある。恐怖心で動きが硬くなってしまう。

ここでなんとかカムをセットしにいくか、それともこのまま進むか。少し迷ったが、思い切って次のテラスまで進むことに。

テラスに向かって右にトラバースする部分がやや悪く、一気に心拍数が上がる。なんとかガバを取り、テラスに這い上がる。

そっとテラスに立つと、細いクラックではあったが、しっかりとカムが決まった。良かった、生き延びた…。目線を落とすと、先ほど固め取った2つのカムはめっちゃ下にある。

慌てて目の前にもカムを追加。なんて心臓に悪い遊びなんだろうか…

2つ目のテラスから数メートル登ると、ようやくボルトにクリップできる。ボルトの安心感素晴らしい…。

さらにやや小悪いムーヴが続き、2個目、3個目(最終中間支点)のボルトにクリップ。ここからボルダリーな核心部となる。

右手ハイアンダーから、左手で斜めガバカチを取りに行くムーヴが最大強度。フットホールドが乏しく、スタンスが悩ましい。背が低い人は、かなり遠く感じる一手だと思う。

左手で斜めガバカチを止めた後は、大きく分けて2種類ムーヴがある。

1つ目は、右手でスローピーなカンテ・リップを押さえるムーヴ。もう1つは、ガバカチをマッチし、左手をガバフレークにガストンするムーヴ。

僕は前者をチョイス。小柄な人は後者のムーヴの方が楽そう。

核心は完全にワンテンムーヴだが、時間がかかってしまったので、一旦下りる。ロワーダウン中、カムをセットし直し、大きくランナウトさせてしまった部分に1本足した。それでもまだランナウト気味だが…。

2便目のナチュプロパートは、ムーヴが分かっていたので、1便目よりかなり楽に登れた。しかし、テラスとテラスの間はカムがセットされていればクリップできるのだが、やはり登りながらカムをセットできる感じがしない。

3便目から狙っていく(カムは残したままピンクポイント狙い)ものの、上部の核心でフォール。2つ目のテラスで完全レストできるが、そこから核心までの間がノーダメージではなく、核心ムーヴがこなせない。

核心ムーヴだけでなく、その前後も手順を最適化。探れば探るほどシーケンスが改善されていく感じで、ムーヴ作りが楽しい。個人的には、核心は右足のヒールフックがポイント。

4便目は悪くなかったが、やはり核心でフォール。連登3日目。さすがに疲れている。雷の音も近づいてきていたので、トライ間隔も短めだった。

今にも降り出しそうだったが、我々の悪いクセで、「まぁまだ大丈夫でしょ」と言いながらヌンチャクは回収することなくそのまま。

すると、割としっかりと雨が降り出し、やむを得ずしばらく中断。30分ほどすると一旦止んだが、またいつ降り出してもおかしくない。

ルートは上部が被っているため、濡れてはいないように見える。問題は終了点目前のカンテ・リップ。ここはどう考えても雨が当たっている。

チャンスはあまりなさそうだが、ヌンチャク回収兼あわよくば便。下部はもはやアプローチに近くなってきた。上のテラスで一応しっかり休む。

これまでの4便でムーヴが洗練され、ほぼノーダメージで核心に到達。ようやく左手のガバカチが止まった!

そこから右手をカンテに送る。予想通り濡れているー!!

さらに右手を飛ばし、終了点のクリップホールドとなる頂点のガバへ。ここはさらにビショビショだったが、なんとか堪える。

なんと出来てしまった…。ピンクポイントではあるが、こういう状況で決められるのは嬉しい。雨による中断が良いレストになったのかもしれない。

使用カム

・C03, C04, C05×2, C075, C1×2, C2, C3(ビレイヤーのセルフ用)

C03~C3を1セットに加え、C05,075,1を持って行き、実際に使ったのが上のカム。小さい番号が使えるところが多い印象で、C03からフルで2セットあると弾切れの心配が少ないと思う。

体感グレードとしては、Hard 5.12a。ナチュプロパートが終わったところでテラスに立ち、完全レストできるため、ピンクポイントとレッドポイントの難易度は、あまり変わらないのかもしれない。しかし、上部の核心は強度が高く、テラスから核心までのわずかなヨレでさらに難しくなる。

ヌンチャクとカムを回収すると、また雨が降り始めた。今度は本降りだ。雨宿りしつつ、すっきりした気分で廻り目平に下りた。

ほとんどのクライマーはすでに撤退済みだった

ふりかえり

最終日の午後は雷雨になったけど、それまでは晴れて気温が高かった海の日の三連休。

日陰を選びながらも、メジャーエリアは外したことで、3日間とも貸し切りで楽しめた。

一方、ルート下部でのボルダームーヴ、増水した川の渡渉、超絶ランナウトなど、スリリングな週末だった。リスクマネジメントの重要性を改めて認識。

最終日、Roof Rockにて。この辺まで下りて来るとまた晴れるあるある。

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きい
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登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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