【小川山】マラ岩・妹岩でクラック&スラブ特訓

きい

クライミング日:2025年8月9日(土)

今回のクライミング

今回は計8人の大所帯ということで、色々なルートがあるマラ岩・妹岩へ。

このエリアは、イエロークラッシュ(5.12a)やノーモアレイン(5.12b)などの人気スポートルート多数だが、僕はすでに結構登ってしまっている。

ということで今回は、今後に向けて今より難しいマルチにトライすることも見据え、クラック&スラブ特訓。

お盆休みの初日となる人も多いこの日、帰省ラッシュ渋滞を避けるため、4時過ぎに自宅を出発。

廻り目平には7時前に着いたが、キャンプで前泊した人も多かったようで、林道側の駐車スペースはすでにギリギリだった。

クレイマーの数はそれほどでもなかったけど、ハイカーやキャンパーの数が普段より多かった印象。

✅龍の子太郎(5.9), OS

左側のクラックが龍の子太郎(右はカサブランカ)

僕がはじめて登ったクラック(トラッド)は、小川山レイバック(以下の記事参照)。

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シングルピッチのルートとしては、この日が2回目のクラックだ。小川山レイバックはまずトップロープで練習したが、今回はじめてオンサイトでリードトライ。

クラックのジャミングする部分は若干フレア気味のところもあるが、クラックの奥が細くなっていて、序盤はC1,2あたりがよく決まった。C5,6も持って登ったが、結果的にC4までしか使わなかった。

しばらくはハンドジャム、フットジャムがしっかり決まる。クラックの左側が顕著に膨らんだ部分があり、そこでレイバックに移行。

そこから傾斜が落ちる部分に乗り上げるところが核心のようだが、僕はリーチの関係で、右上のガストンカチに楽に右手が届いた。

終了点まではまだ少し登るが、あとは難しくない。

はじめてのカムを決めながらのオンサイトトライは緊張感があり、決して楽勝ではなかったが、割と安定して登り切れて嬉しかった。

ハンドジャムは小川山レイバックよりやや甘いものの、小川山レイバックの序盤のような細かいクラックは出てこない。傾斜も龍の子太郎はやや寝ている。グレード通り、小川山レイバックよりはやや簡単だと思う。

✅愛情物語(5.8), OS

こちらもオールナチュプロのルートで、龍の子太郎に続いてオンサイトトライ。

左上するクラックに沿って登っていく。過去に大きな事故もあるらしく、確かにクラックはフレア気味で、カムセットに関しては龍の子太郎より難しかった。

しかし、傾斜が緩く、クラックもレイバックの体勢でガバホールドとして持てる。フェイス面にフットホールドは少ないが、これは明らかに龍の子太郎より登り易い。クラックのグレード感はまだよくわからないが、龍の子太郎に比べると2グレードくらい易しく感じた。

クラック練習のため、手も足もなるべくジャミングしようとしたが、傾斜が緩くて逆に難しい。レイバック多めで登った。

ルート長が長いのはGood。

❌カサブランカ(5.10b), 1go

クラックを始める前から、その存在は知っていた。超有名ルート。この長く美しく伸びるクラックは、見た目だけでもインパクト抜群だ。

グレードはさておき、プロテクションがシビアで、過去にグランドフォール事故もあったと聞く。いつも混んでいる印象だが、トップロープでやっている人が多い?

まだ僕には早いかなと思い、元々この日はトライするつもりはなかった。しかし、龍の子太郎と愛情物語をビレイしてくれていた師匠ゆきりんから、「安定して登ってたし、やってみていいんじゃない?」とのお言葉が。

おまけに、この日はいつもの混雑が嘘のように、ほとんど誰も触っていない。色々な方向からクラックを眺めて、今の自分自身の実力とリスクを天秤にかけ、やってみることにした。

ビレイポイントから1段上がり、斜めのテラスに立ってカムを決めてからスタート。クラックはフレア気味のところが多く、どこでもカムが決まる感じではない。ルート下部で地面も近いので、かなり緊張する。

序盤はプロテクションがシビアで緊張する

ルート全体の3分の1ほど進んだところにガバがあり、ここで一旦大レスト。

ガバでのレスト

このガバに立ち上がってカムを決め、ここから同じようなサイズのクラックが長く続く持久パート。

最初はフェイス面のダイクも使えるが、次第にクラック以外のホールドがなくなり、ごまかしが効かなくなる。

このあたりはまだダイクが使える
純粋なクラック登りが要求される

小川山レイバックの上部と比べると、ややジャミングの効きが甘い。

プロテクションも前半よりは取りやすいが、これも小川山レイバックほどの安心感はない。

頑張ってジャミングで登ろうとするのだが、少しでも手や足が抜けそうになると、レイバック気味になってしまう。その途端、一気にパンプする。

半分をやや越えたところまではいけたが、そこでヨレ落ち。カムのプロテクションでまともに落ちたのはたぶん初めてだが、しっかり止まってくれた。

その後、もう何度かテンション入れつつトップアウト。上部はフェイス力が使えるけど、あまりレスト出来ない感じで、繋げると十分落ちられる。あんまり惜しくはなかったな。

カムはC075,C1,C2は3セット持って行ったけど、それでもギリギリだった。あまり無駄打ちしたつもりはないけど、特に上部はもう少しカムの間隔を広げることで、持久力的にも楽になるだろう。当たり前だが、どこにカムを入れるかを決めるのも自分なので、そのあたりも悩ましい。

小川山レイバックと1グレード差とは思えないくらい難しく感じたけど、もうちょっとクラックのトレーニングすれば登れそうな気もする。

さすがにオンサイトは厳しかったけど、トライ出来たこと自体が嬉しい。ちゃんと出し切って落ちたし、充実のトライだった。

この1便で信じられないほど疲れたので、次のトライはまた今度。

✅屋根の上のタジヤン(5.10a), mOS

屋根の上のタジヤン

クラックの次はスラブ。

スペシャリスト(5.13d)がある岩の、上側を登るルート。

小川山本には、「完全なフリクションスラブではなく、細かいながらもポジティブなホールドが続く」と書かれている。まぁ確かにそうなのだが、たまに純粋なスメアでの立ち込みもある。

最初から一定の難しさが終盤まで続く感じ。小川山のスラブなので、ピン間隔は遠め。ただし、ボルト位置が絶妙で、ソラマメ(5.10a)に比べるとプレッシャーは少ない。

バックにはエクセレントパワー(5.13a)のライン。ロケーションが良い。

怖くてわーわーと喚きながら登ったけど、なんとかオンサイト。スラブも少しは成長してるかな?

✅イレギュラー(5.10d), mOS

最後にデザートで、クラックでもスラブでもない、得意のフェイスルート。

マラ岩には何度も来ているが、いつも混んでいたりして、まだトライしたことがなかった。

レギュラーよりルート長が長いのに、ボルトの数はレギュラーより全然少ない。

まずは大岩の上に立ち、壁に寄りかかるようにしてスタート。早速怖い。

ガバカチの中に、割とちゃんとした保持が求められるカチが混じっている。下から見るとどこが持てるのかわかりづらく、チョーク跡がなかったら危なかったと思う。ホールドの距離も全体的に遠め。

中盤で左手斜めカチから、右手出しの一手だけデッドになった。ここが核心かな?

上部はライン取りが悩ましい。終了点はブラックホールと同じ。直登も出来そうだったが、ランナウト(ブラックホールに比べるとマイルド)している割に悪そう。途中で右にトラバースし、ブラックホールを登った時のラインで登った。

「イレギュラーはボルトが少なくて精神的なプレッシャーが大きいけど、実質的な難易度はレギュラーと同じ」という話を聞いたことがあるけど、僕は普通にイレギュラーの方が難しく感じた。レギュラーはもっとホールドが大きくてポジティブだった気がする。

イレギュラーはちょっとしたガバカチでレストできる実力がないと、上まで持たない。オンサイトトライの1本のみ(あとシューズがマルチ用)だったので、断言はできないけど、5.11台の難しさだと思う。

ふりかえり

トラッドのオンサイトトライは、スポートルートとは別物の緊張感がある。登りはもちろん、カムセットもオンサイトな訳で、リスクマネジメントが難しい。

基本的に僕は慎重派で、できるだけケガしたくないタイプ(それはみんなそうか)だと自分自身では思っているけど、今日はトラッド3本をオンサイトでトライできて、とても充実感があった。

もちろん、初めてのトラッドだった小川山レイバックではそうしたように、最初にトップロープでカムセットを練習し、その後でリードトライした方が安全ではある。

しかし、それは最初からオンサイトの権利を放棄することになる。リスクマネジメントは重要だが、オンサイトトライでしか得られない充実感や経験値も大事にしていきたい。

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ABOUT ME
きい
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登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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