【小川山】ガマスラブ周辺の前傾壁(+水曜日のシンデレラ)

takusuku

クライミング日:2024年7月7日(日)

アプローチなど

今回のクライミング

メンバーはみずかみさん、モトハシさん、かいてぃー、僕の4人。

都知事選が行われていたこの日、バッチリと期日前投票を済まし、もちろん岩へ向かう。

今回は初めてとなるガマスラブ(スラブ状岩壁)周辺へ。とはいっても、お目当てはスラブではなく前傾壁

4人で一つのルートに取り付くのは効率が悪い。ひとまず、みずかみさんとかいてぃーはレベッカへの鍵(5.12c)、モトハシさんと僕はバック・トゥ・ザ・フューチャー(5.12c)に向かう。前傾壁ではないが、水曜日のシンデレラ(5.11a)はすごく人気があるそうなので、こちらも登りたい。

アプローチ

バック・トゥ・ザ・フューチャーがあるのは、ガマスラブ2階と呼ばれるところ。廻り目平の林道終点に車を止め、林道を5分くらい歩き、右手にガマスラブ1階が見えたらその左端を上がっていく。右にトラバースしていき、突き当りがバック・トゥ・ザ・フューチャーの取り付き。車を降りてから、10分もかからない楽なアプローチ。

ここからレベッカへの鍵、水曜日のシンデレラがあるマガスラブに向かう時は少しわかりづらい。まずは左にトラバースして来た道を戻る。そこからすぐ上に登れそうにも見えるが、さらに左にトラバースしながら尾根を越える。そこからやや急登だが、明瞭な踏み跡を上がっていくとマガスラブ。

ガマスラブ2階から7~8分くらい。下りなら5分程度かな。みずかみさんとかいてぃーは、マガスラブからガマスラブ2階に向かう際、迷って30分もかかったとのこと。尾根がポイント。ちなみに林道から直接マガスラブに行くこともでき、こちらは至ってシンプルだ。

天気とコンディション

前日の午後から降り出した雨は夜には止み、この日は快晴。関東では40℃を超えた場所もあったそうで、夏でも涼しいはずの川上村でも30℃オーバーだった。

しかし、一日中ヌンチャクがぶん回されるほどの強風が吹いていたため、日差しと気温の割にフリクションは良かった。

エリア解説

ガマスラブ 2階

バック・トゥ・ザ・フューチャーの取り付き(かつビレイポイント)は狭いながらも完全にフラット。もろに南向きだが、木陰があって休憩中とビレイ中は涼しい。ただし、フラットな木陰は数人分しかないため、複数パーティーが重なると居心地が悪いかもしれない。

バック・トゥ・ザ・フューチャーの隣に、ステップ・オブ・ザ・フューチャー(5.12a)というルートもあるが、ボルトが怖過ぎてトライしなかった。

他は恐らくスラブルート。アップが悩ましい。

マガスラブ

最初聞いた時は「ガマスラブ」の言い間違いかと思ったけど、マガスラブはガマスラブの近くにあるものの別のエリア(読んでいてもややこしいw)。

木陰が多く、荷物が置ける場所はたくさんあるものの、全体的に傾斜している。昼寝に快適な場所は少ないかもしれない。

レベッカへの鍵と最近流行りのがしゃどくろ(5.13a/b?)は、ケイブ状になった部分に引かれているため、一日を通してあまり陽は当たらなそう。

こちらも南~東?向きのため、その他のルートは日当たりが良い。

講習会などでも使われるエリアのようで、この日も水曜日のシンデレラには、常にトップロープがかかっていた。

やはりスラブルートが中心のようだが、モトハシさんがやっていたマガハング(5.10c)はアップに良さそう。

スラブエリアにあるハングの5.10cということで、ソラマメハング(5.10c)を思い出した。

各ルート解説と成果

✅バック・トゥ・ザ・フューチャー(5.12c) 1d3go

ルート解説

水平に走るクラックを挟み、下部はスラブ、上部は前傾壁。

メンバーの中で、唯一まともな花崗岩スラブ経験があるみずかみさんによると、スラブの難易度は5.10a/bくらいではないかとのこと。例によってピン間隔が遠く、グランドフォールに注意。

クラックでカム(C2)を使用した。万が一のロングフォールを防ぐためというのもあるけど、ここでクリップしておかないと、前傾壁でのフォールの際にロープへ足が引っ掛かりやすいかもしれない。

前傾壁のホールドはどれもポジティブだが、スタンスが悪く、ボルダリーなムーヴが要求される。短いながらも休みどころがなく、ストレニ要素もある。マントルも悪く、最初から最後まで気が抜けない。

自分の得意系なので贔屓目もあるけど、とてもオススメなルート。

初登時の発表グレードは5.12bのようだが、初登者である杉野保さんのブログによると、ホールドが欠けて難しくなっているらしい。

杉野保さんのブログより

2007/5/7

10年前に初登した小川山の「Back to the Future」のホールドが欠けてしまったため再RP。★がひとつ増えたかな。オススメです。グレードは少し上がって12cかd。

成果と進捗

1便目
アップ & ルート全貌チェック

モトハシさんが先にマスタートライ。それほど苦労することなくムーヴを解決していて、早くもRP体勢だ。

下部スラブは意外に難しそうだったので、僕は2P目までプリクリしてトライ。そうすると、本当に1~2P目の間で落ちた(笑)。

前傾壁も一手一手が難しい。A0しつつ、とりあえず終了点まで抜ける。ブランクパートが複数残った。

2便目
ムーヴ作り

モトハシさんがサクッと2撃。得意系だとは思ったけど、やはり強い。

僕も今度はプリクリなしでトライ。スラブでの落ちどころは、1P目と2P目のちょうど中間部くらい。落ちてもギリギリグランドはないと判断。幸い今度は落ちなかった。

1便目で指は暖まったと思うので、本格的にムーヴを探るが、やはり強度は高い。一応ムーヴは決まった。前傾壁中間部ガバへのフラッギングデッドだけ、バラしても止まらなかったが、なんとかなりそうだ。

指皮の消耗が激しいので、探り過ぎは禁物と判断し、次の便にかける。

3便目
まさかのRP

モトハシさんには申し訳なかったが、30分だけレストさせてもらい、泣きの3便目。正直、この便でのRPはかなり厳しいと思っていたが、登れなかった場合もヌンチャクを回収すると決めてトライ。

スラブは割と無難にクリア。前傾壁を登り始めると、明らかにさっきまでよりホールドが持てる。アップは1便だけだと不十分だったようだ。

マントルはかなり危なかったけど、咄嗟のアドリブで突破。自分もモトハシさんもビックリのRP。会心のトライだった。

クライミングのパートナー

ほとんどのクライマーにとって一生遊べる、二子山や御前岩などと違い、小川山や瑞牆は小さなエリアが点在している。同じくらいの便数で登れるパートナーがいればいいが、実力が同程度で、なおかつ同じルートに興味がある人なんて簡単には見つからない。パートナー間で実力差がある場合、片方のクライマーは宿題だらけになりがちだが、デメリットだけではない。というのも、「この日、あるいはこの便で決めなければ、もう同じエリアに一緒に来てもらえないかもしれない」というプレッシャーの中でのトライは、実力を突き上げてくれると感じている。自分より強い人と登れることは、むしろありがたいことだと思う。

グレード感

プレッシャーが良い方向に働いて3撃できたが、これは得意系であることを加味しても出来過ぎだ。

ノーモアレイン、ブラックホール(ともに5.12bで、4便目にRP)を最近登ったが、この2本よりも難しく感じた。

同じ5.12cでいうと、ゴジラ岩の「無職の夏休み」がタイプとしては近いと思う。どちらもカチ主体の前傾壁ショートルートだ。

ただし、無職は垂壁に近い前傾壁といった感じだが、バック・トゥ・ザ・フューチャーはしっかり被っている。その分、無職はホールドが悪くてややジワジワ系。

無職を登ったのは約1年前なので比較が難しいが、バック・トゥ・ザ・フューチャーの方がやや難しいと思う(ちなみに無職を登った時は、難し目の5.12bくらいに感じた)。

ということで、元々5.12bだが、小川山本の5.12cが適切じゃないかな。

ちなみに、モトハシさんの体感グレードは5.11cらしい(笑)。代表的なところでいうと、NDDは5.11d、金のわらじは5.13cという男なので、彼の体感グレードは全く当てにならないw。

✅レベッカへの鍵(5.12c) 1d3go

ルート解説

左に有名な「水曜日のシンデレラ」、右に最近流行っている「がしゃどくろ」、よくトライされている2本の間にあるルート。

小川山本にボルト状態がよろしくないといったことが書かれているが、2024年6月、初登者のジャック中根さん自身によってリボルトされている。

「レベッカへの鍵」というルート名自体、聞いたことはなかったのだが、かいてぃーがジャックさんのインスタで見つけて行ってみることに。

下部は岩が脆いので要注意。このパートは結構被っているが、 凹凸に上手く体勢を合わせればそれほどヨレない。

ハングを越えて上部の凹角へ。ここもホールドは基本的にガバで、見た目ほど難しくない。さらに凹角ではステミングでかなり休める。

核心は終了点直下。ホールドは割とポジティブで、 スタンスも色々選べるが、カンテの処理がややバランシーノースマウンテンを思わせるホールドと体勢で終了点にクリップ。

ケイブ状の場所に引かれたルートなので、あまり陽は当たらないが、午後は最後のカンテ部分で太陽が眩しい時間帯がある。

成果と進捗

1便目
フラッシュ狙い失敗→ムーヴ確認

午前中にかいてぃーとみずかみさんがRP。そのままヌンチャクを借りて登る。先にモトハシさんがトライしてオンサイト!彼にとって5.12cのオンサイトは2本目だが、国内では初。いよいよ手が付けられなくなってきた。

僕も一応フラッシュを狙うが、終了点前の最終クリップ後、核心部のカンテが上手く処理出来ずにフォール。その後、ムーヴをバラしてトップアウト。次の便で登れそうだ。

2便目
まさかのフォール

最終クリップまで難なく到達。ステミングでしっかり休んで核心部へ。最後の一手(終了点ガバへの遠いデッド)を残し、かなり余力があったため、より確実にいこうと足位置を変更。しかしこれが裏目に出てしまい、バランスを崩してフォール。やってしまった…。

3便目
RP

1便目で決めておいたムーヴに戻して無事RP。2便目で余計なことするんじゃなかった…。

グレード感

最近トライしたカントリーロード、ムーランルージュ(どちらも5.12a)と比べて同じくらいか、むしろ若干易しく感じた。

特に限定などもなさそうだし、極端にラインから外れた登りもしてないと思うんだけどな。

ムーヴやライン取りは仲間から聞いたり見たりしたので、何も情報がないとムーヴの組み立てが難しいのかもしれない。

✅水曜日のシンデレラ(5.11a) 1d2go

ルート解説

よくその評判を耳にする人気ルート

最初はガバガバのアプローチ(5.7くらい?)だけど、1P目がめっちゃ高いので、地面と1P目のちょうど中間あたりでカム(C1)を使った。残置ハーケンもあったけど、かなり位置が低いので、これだけだと結局1P目付近までいってフォールすると地面まで落ちる。

ボルトの3P目?までは引き続きガバガバで、実質ここから。ほぼホールドがないスラブを右にトラバースするのだが、僕にとってはこの数メートルにグレードが付いているようなものだった。ムーヴは色々とあるらしい。スラブを走ってコーディネーションで、トラバースした先にあるホールドを取りにいく人もいるとかいないとか…。

トラバース後は、割と大きなホールドのフェイス。しかし意外にスローピーだったり、アンダーをスメアリングで効かせたり、変化に富んでいて面白い。

最後はダイクに立ち込み、高度感のあるトラバース。これは確かに四つ星

ヌンチャクの回収がちょっと大変だけど、フォローではなく、振られに気を付けながら終了点からロワーダウンで回収した。

ケイブ状の場所に引かれたレベッカへの鍵と違い、南~東?面のフェイスなので、午後の遅い時間まで陽が当たる。

成果と進捗

1便目
フラッシュ失敗→ムーヴ確認

モトハシさんが先にマスターでトライ。当然楽勝でオンサイトだと思っていたが、どうも様子がおかしい。ノーハンドトラバースの前で行ったり戻ったりを繰り返している。10分くらい迷い散らかした末、ヒールフックでほぼ体が真横になる突拍子もないムーヴを繰り出した挙句フォール。さらにその後、なんとバラシでやっても出来ない。ここをA0で抜け、その後は問題なく終了点へ。

内心「さっき5.12cオンサイトしといて何やってんだか…」と思いつつ僕の番。しかしモトハシさんと同じく、ノーハンドトラバースで行き詰まる。僕も散々迷った後、やけくそに近いダブルダイノを試みたが惜しくもフォール。バラシでやっても良いムーヴが思い付かず、もう一度ダブルダイノしたら今度は止まった。これ成功率何%くらいあるのかな…。とりあえず終了点まで残りのムーヴを確認して下りる。

2便目
RP

お互い実質ブランク区間を残したまま2便目。まずはモトハシさんだが、ノーハンドトラバースをめっちゃ下の方にあるサイドホールドを激保持して突破。僕にプレッシャーがかかる。

ダブルダイノは最終手段として、何か良いムーヴはないかと再度探る。さっきは右足をとにかく先に送ろうとしていたのだが、ふと左足をクロスで出すと難なく突破できた。

5.12cを2本登った日に、5.11aが登れませんでしたでは格好が付かない。2人ともなんとか登れて、胸を撫で下ろした。

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ABOUT ME
きい
きい
登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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