はじめての福島・真野川(岩場解説あり)
クライミング日:2025年11月22日(土)~24日(月・祝)
今回のクライミング
モトハシさんが以前から、「この岩場はかなり良さそうなんだよね」と言っていた真野川。この男はマイナーな岩場でも、どこからともなく情報を見つけてくる。
ということで、勤労感謝の日の三連休に行ってみることに。
岩場解説
概要

福島県の南相馬市にある岩場。南相馬といえば、2011年の東日本大震災の際、毎日のようにニュースで耳にした地名だ。
真野川の岩場も、それほど福島第一原発から遠くなく、震災後しばらく訪れるクライマーはいなかったものの、最近は徐々に活気を取り戻しているようだ。
薄被りの石灰岩で、中には30mスケールのロングルートもあり、アプローチも近い。
小さいながらも、メインルートが並んでいる付近に平らな広場があり、居心地も良かった。
車でのアクセスと駐車スペース
Google Mapで、南相馬市にある立石を検索し、その通りに行けばOK。
東京北西部にある僕の自宅からだと、休憩を除いて約4時間15分。白河不動岩が2時間45分くらい、大日岩でも3時間半弱なので、それなりに遠い。白河は福島の玄関口だが、真野川は宮城との県境に近い。長時間運転してくれたモトハシさんに感謝。
常磐道でも東北道でも、あまり時間は変わらないが、うちからだと東北道で行った方が圏央道を走る区間が短くなるので、高速代が安い。また、Google Mapでは福島市を経由するルートで案内される場合があるが、ずっと手前の二本松ICで降りても、時間はそれほど変わらない。
なお、岩場の近くにはコンビニがなく、二本松ICで降りた場合、30分ほど手前の場所がラストコンビニになるので要注意。

車はゲートをふさがないように路肩に止める。6~7台くらいは無理なく駐車できそう。少なくとも現時点では、それほど混雑する岩場ではないようなので、止められない心配はあまりないと思う。

アプローチ

駐車スペースから川へ続く階段を下りる。川の上流側に20~30mほど歩き、石の橋を渡る。

橋を渡り切ったところから、そのまま上へ登っていく踏み跡があり、我々はそちらに入り込んで最初迷ってしまった。
正しくは、橋を渡ったところから川沿いを下流側に歩き、立石の横を通り過ぎる。

立石からさらに数十mほどトラバースし、そこから上へ登っていく踏み跡を辿るとメインウォール。
駐車スペースから徒歩5分ほど。アプローチは御前岩よりもさらに楽。
宿泊
岩場周辺には特に泊まれる場所はなさそう。
今回我々が宿泊したのは、南相馬市内のビジネスホテル、レスト・パルというところ。なんと朝・夕の2食付きで一人一泊¥3,300。ベトナム並みの物価。
プレハブのような建物(震災後の仮設住宅を改装したのかな?)だが、部屋にはテレビ・冷蔵庫・ユニットバスがあり、ごく普通のビジネスホテル。掃除もちゃんとされていて清潔。
食事は朝はバイキング、夜は定食。味は?だが、夜もご飯だけでなく、なんとおかずまでおかわりできるので、たくさん食べる人にはいいかも。コンビニも目の前にあって便利。
岩場までは車で30分弱。
シーズン
春はわからないが、今回行った11月はベストシーズンだと思う。
北向きの岩場で、陽射しは1秒たりとも当たらないが、標高が高い訳ではないので、体感温度は御前岩の北面と同じくらいだろうか。
泊まっていたビジネスホテルは、海(太平洋)からそう遠くない場所で、滞在中の気温は東京とほとんど同じ。
岩場は少し山の中にあるためか、朝はそれなりに気温が下がるが、日中は寒がりな僕でも焼き石なしで問題なく登れた。初日は風が強くてそれなりに寒かったが、2日目と3日目は休憩中も快適だった。
染み出しは大きな心配事かもしれない。このツアーのしばらく前から、東京はずっと晴れが続いて空気もカラカラだった。太平洋側の南相馬も同じような天気だったのではないかと思うが、壁はところどころ濡れていた。
GWに行ったら、雨の翌日でもないのに壁全体ビッショリで、全く登れなかったという話も聞いた。下の方でも書いているが、壁が全体的に土で汚れているのも、上からの流れ込みが多いからなのかもしれない。
ルート

石灰岩の岩場だが、二子山や御前岩とはまた違った感じ。
コルネはあまりなく、スレート状の岩が逆層気味に折り重なったような見た目をしている。
この見た目から想像するのは、右に左にレイバックし、アンダーと悪い足で体を引き上げるクライミング。実際、5.11台はそういうルートもあるが、5.12以上に関しては、エッジの立ったカチの保持が求められる場合が多い。
傾斜は概ね薄被りといったところ。それなりに長いルートもあり、リードクライミングらしく、持久力が要求される好ルート多数。
5.10以下はそれほど数がないので、中級者以上が楽しめる岩場かな。5.13後半以上はないが、グレードに関わらずブラインド気味のホールドが結構あり、上級者もオンサイトトライは充実すると思う。
グレードは、5.11以下は割と標準的な印象だが、5.12以上は甘め。
岩質
全体的に結構脆い。ここ最近でも、主要ルートのホールドが何度も欠けているそうだ。
出だしは簡単なルートが多いが、その場合は大体1ピン目が高いので要注意。
しばらく登られていなかった岩場ということもあり、壁は全体的に汚れている。壁の上には、木が割とたくさん生えているところを見ると、雨が降ると土が流れ込むのかもしれない。
人気ルートで使うホールドは比較的綺麗だが、少しスメアすると、シューズにたっぷり土埃が付く。
ボルトはカットアンカー、グージョン、ケミカルなど様々だが、特別腐食が進んでいるようなものはなかった。
トポ
100岩(北海道・東北)に一通りルートは載っている。
あと、現時点で最新号のロクスノ108号「ナイスミドルな岩場」でも紹介されている。100岩と同様、イラストに全ルートが番号付きで描かれている他、主要ルートはコメントあり。これが実際に登ると「なるほど、確かに!」と思うものばかりで、オススメの記事。
なお、特に地方の小さな岩場にありがちな、ルートがあみだくじ状態になっていたり、隣のルートとラインが近過ぎたりといったこともなく、トポがあればお目当てのルートを見つけるのに不自由はない。
Day1(Saturday)
日の出IC付近のモトハシさんちを4:30に出発。那須高原SAで1回休憩、二本松ICで降りてからコンビニで買い出しを済ませ、8:45頃に駐車スペースへ到着。
見覚えのある八王子ナンバーの車が、1台ポツンと止まっている。今回、たまたま我々と同じ日程で真野川に行くと言っていた、マツムラさんの車だ。
我々と同じく、東京北西部からの遠征だが、自宅を3:30に出てきたとのこと。
気温が低くて風も強く、寒い一日だった。岩場はずっと日陰なのに、川を挟んで反対側の山肌には一日中陽が当たっていて恨めしい。笑
❌一番登り(5.11a/b), 1go
まずは手ごろなグレードでアップ。
下から見上げると結構被っているように思えるが、登ってみればそれほど傾斜はなく、下半分はホールドもガバでアプローチといった感じ。
中間部でカンテから右に出る部分のスタンスが悩ましいが、ここもまぁ問題ない。クラック状のアンダー取ってから核心部。
恐らく標準的なムーヴは、右手で悪い縦カチを持ち、左手でブラインド気味のガバへのデッド。
しかし、縦カチを持った瞬間、「5.11前半でホントにこれ!?」と躊躇し、別のホールドからデッドしたもののフォール。
なんとアップから落ちてしまった。笑
また翌日にやることにして、ムーヴだけ確認してこの日は宿題に。
✅ミクロコスモス(5.13a), 4go
初めての岩場ではあまり難しいのはやらずに、色々なルートを触ることが多いのだが、このルートは見るからに核心部に難しさが集中している。
つまり、できる場合はすぐできるし、できない場合はできない。という訳で、いきなり5.13aにトライ。
前半は見た目通り難しくない。ややスローピーなホールドもあるけど、凹角登りなので、足位置を工夫すればかなり体重を殺せる。
核心は左手でカチを持ち、右手で遠いカチを取るムーヴ。この左手カチが外岩特有の複雑な形状をしていて、ホールディングが悩ましく、足位置もポイント。さらにそこから右手を送り、左手でクリップホールドの縦カチを取るまでの2手も強度が高い。

終了点前は掛かりの良いカチが続くが、繋げるとキツそうな右手ガストンでの左足ハイステップ。ここは辺戸岬のクリスチキンを思い出すムーヴ。
1便目で一通りムーヴは解決。
2便目は簡単な下部でもたつき、ややヨレてしまったが、ギリギリで核心を抜ける。しかし、最後の左足ハイステップが上がらずフォール。やっぱりここかーい!
3便目で下部はほぼノーダメージになったが、核心で慎重になり過ぎてしまい、右手送りの距離がわずかに足りず…。
まずい流れになってしまったが、気持ちを切り替えて4便目でRP。左足ハイステップの前に攻めのレストを入れ、今度はしっかり繋がった。
リーチ差は出やすいルートだけど、5.13aとしてはかなり登りやすい。体感グレードとしてはSoft 5.12dくらい。
ムーヴが面白いというタイプのルートではないが、こういうシンプルに保持って引くクライミングは嫌いじゃないです。笑
❌野生の勘(5.12c), 1go
今回のツアー直前に、JFAのホールド欠損情報を見て知ったルート。
欠けたところの上部がガバになっていて、僕のリーチだと実質影響なし。元の状態はわからないが、小柄な人にとっては、やや距離出しが必要になったかもしれない。
特別難しい部分はないが、逆に楽勝といえるところもなく、一定の難しさが続くエンデュランスルート。
顕著な左カンテ沿いを登る。ライン取りやホールドは色々と選べるので、力業でも突破できるが、そうするとワンテン地獄が待ってそう。
この日は1便のみ。それほど苦労せずにトップアウトしたが、もう少しムーヴを効率化しないと繋がらなそうな感じ。
Day2(Sunday)
7時頃にホテルを出発し、7:30頃駐車スペースに到着。
この日もマツムラさん夫婦と我々だけかと思っていたが、東北のクライマーも登りに来ていて、計5パーティーほど。真野川としては、大賑わいだったと思う。
朝は寒かったが、日中は登っていると寒くも暑くもなく、ベストコンディション。
✅一番登り(5.11a/b), 1go(計2d2go)
昨日落ちてしまったので、再びアップで。
核心は恐らく一般的なムーヴではないが、左手で四角いカチを持ち、右手で遠いガバを取った。思ったより距離が出なくて、また落ちたかと思った。笑
一手ものに近いので、グレーディングは難しそうだが、スラッシュなしの5.11bでもいい気がする。
強度が核心に集中し過ぎていて、アップには不向き。笑
✅野生の勘(5.12c), 2go(計2d3go)
この日の1便目で一応狙ってみるが、やはりムーヴの完成度が低く繋がらない。時間をかけて最適化。
2便目は途中まで楽勝ペースだったが、途中で覚えていたはずのムーヴが飛んでしまってアドリブ発動。危なかったが、それでも多少余裕を残してのRP。
僕はレストポイントを見つけられなかったが、マツムラさんとモトハシさんは、右サイドと左足カンテヒールで結構休めていた。
登れた時の印象としてはSoft 5.12cだったものの、上手く休めれば5.12bくらいかもしれない。
ムーヴが決まれば登りやすいが、ムーヴを最適化することに難しさがあるルート。
ホールドの向きや形状が豊富で、特にカンテの使い方がポイント。ムーヴ作りが楽しくて、リードクライミングらしく、繋げ核心の好ルート。

❌宇宙の三角(5.12d), 2go

この岩場で最も長いルート。下降は60mロープでちょうどくらい。上部の白いフェイスがとてもカッコいい。
下部は3つの宇宙シリーズ共通で、左上するクラックを登る。フットホールドは悪くないのだが、低い位置にあるので、クラックはハイアンダーになる場面が多い。手も足もガバなのに、ホールドの位置関係が絶妙で、手順を間違えると動けなくなってしまう。
中間部のテラスでノーハンドに近いレスト。後半の出だしはガバだが、傾斜があってノーダメージではない。
トラバースの終盤から徐々に強度が増し、ちょうど白いフェイスの中央部が核心で、左手2本指ポケットからの距離出し。
さらに窮屈なハイステップを挟み、ここから終了点までの小ガバ10手ほどが繋げるとキツイ。
しばらくトライされていないようで、下部のクラックはかなり土埃で汚れている。先にトライしていたかいてぃーと一緒に、掃除しながらムーヴ作り。穂高の三角(5.13b)にトライしている人がいたのか、上部は比較的綺麗だった。
1便目で一通りムーヴは作れたが、終盤は休みどころがなく、あまり繋がる気がしない。2便目で狙ってみるが、下部のクラックで落ちてしまった。時間の関係もあり、落ちた部分だけムーヴを確認し、この日はこれで終了。
ところで、宇宙の三角は終了点がよく分からず、最初は隣の宇宙のエッジ(5.13a)の終了点を使うのかと思っていた。

しかし、改めてロクスノを読んでみると、終了点は木にロープを回したものと書かれている。
地面から望遠レンズを使って終了点付近の写真を撮り、さらに拡大してみると、確かに木に巻かれたロープが。ロープは色がかなりくすんでいて、おまけに折れた枝なんかもぶら下がっており、最終中間支点から見てもわからなかった…。
終了点前は決して簡単には見えないし、何よりめちゃくちゃ岩が脆そう。実際のところは探ってみないと何とも言えないが、最終日に向けて大きな不安要素ができてしまった。
Day3(Monday)
この時期の日没は16時半頃。土日両方ともヘッデン帰りだが、夜はたっぷり休めるので、三連登だがそれほど疲れもない。
前日とは一部顔ぶれが違っていたが、この日も計5パーティーほど。「いつ行っても貸し切り」という話を聞いていたのだが、ロクスノで取り上げられたこともあるのか、思ったよりも登りに来ている人がいるようだ。
暖かい一日で、朝以外は休憩中でもダウンがいらないくらいだった。
三連休最終日で、早めに岩場を後にするクライマーが多い中、我々は当たり前のように暗くなるまで登った。笑
✅宇宙の三角, 2go(計2d4go)
まずはアップも兼ねて、最終中間支点までのムーヴを再確認。
そこから、まだやっていない終了点までのムーヴを探る。ここはボロ壁といった感じで、一手一手ホールドが剝がれそうで怖い。小ガバが続く感じだが、距離出しが必要で、繋げると十分落ちられる。
あまり繋がる感じはしないが、2便目(計4便目)で狙う。下部のハイアンダートラバースは落ちなくなったが、それなりにパンプする。中間部の棚で長めのレスト。
ここから最初の3~4ピンはガバだが、思った以上に力を使う。緩い凹角になった部分で、ジャミングが効くところをたまたま発見。ここでもしっかり休んだ。
その後もミスなく核心に到達。ここのクリップも力を使う。結構ヨレた状態で、左手2本指ポケットからの距離出し。手は悪いが足はガバなので、しっかり下半身から動く。なんとか右手が止まった!
だが、すでに前腕はかなりパンプ。終了点までの残り約10手は、叫びながら一手一手伸ばしていった。最後は小ガバが引けなくなって万事休すかと思ったけど、気合いで突破。
出来てしまった…。何度も諦めそうになったけど、気持ちで負けなかったことが嬉しい。終了点では、もう何も持てないくらいパンプしていた。
5.12以上は甘めに感じるルートが多い真野川だが、パンプ具合を考えると、宇宙の三角はしっかり5.12dある(と思いたい)。
穂高の三角(5.13b)は、上部の白いフェイスに対して下から入ってくるけど、岩の形状を考えると宇宙の三角の方がより自然だと思う。中間部でかなり休めるので、二部構成にはなってしまうが、ルートの長さを考えるとそれもちょうどいいかも。
大充実のロングルート。ルートの見た目、ライン取り、内容どれも素晴らしい。終了点直下の岩の脆さが玉に瑕だが、ぜひオススメしたい一本。
✅ドアノブ(5.12a), FL
このツアーで密かに目標にしていた、ドアノブの一撃。
結構人気のようで、毎日トライしている人がいた。すでに登ってるの見ちゃってるので、恥ずかしいくらいムーヴ聞いてからフラッシュトライ。
下から見ると、グレード以上に難しそうに見えるが、実は掛かりの良いカチが続いている。
中間部でレストできるものの、その他は一定以上の強度が続く持久系。
強いて言うと、上部の左手サイドアンダーから、右手で遠いカチを取る一手が核心。

宇宙の三角でかなりパンプしてしまったので、しばらく時間を空けてからトライ。
下部から順調。それほどダメージはないが、中間部のレストでしっかり休む。
余力を残して核心部に到達。左手サイドアンダーのホールディングに少し戸惑ったが、先にトライしていたかいてぃーに聞いていた通り、ワイドピンチっぽく持つといい感じに。ここはリーチや手の大きさの差が出やすそう。
最後はやや傾斜がなくなってガバ足だが、これまでの掛かりの良いホールドから一転、急に手が悪くなる。少し危なかったが、そこまでパンプすることなく終了点へ。
中だるみがなく、登っていて気持ちの良いルート。中間部のレストも、絶妙に完全回復は難しい。
5.12aとしては登りやすいけど、オンサイトトライだったら、核心部で落ちていた気がする。
ちなみに、ルート名の由来となっていると思われる、ドアノブ状のホールドはどれだか分からず。
✅DATSUN720(5.11d), FL
5.12以上に関しては、下引きのカチが多い真野川だが、このルートは岩の見た目通り、アンダーやサイドが連続する。
これもすでにかいてぃーのビレイをしていたのでフラッシュトライ。登っている最中も、ホールドの場所などを教えてもらう。
どこが持てるのか、見た目では分かりにくいホールドが多い。特別悪い部分はないが、ホールドを探っている間にヨレる感じで、これもオンサイトだと繋がらなかったかも。
とはいえ、5.11dとしては易しめで、5.11cくらいかなという気がする。
✅つぶれたベンチ(5.10d), mOS
ツアーの時間も残すところ後わずか。さすがにかなりヨレてしまい、5.11台は落ちそう。
ということで、この岩場では貴重な5.10台にトライ。
1ピン目が高いにも関わらず、出だし付近に明らかにホールド剥がれた跡が複数ある。念のため、隣のミクロコスモスの1ピン目にもクリップした。
ガバではあるが、ややスローピーで腕を使うホールドが続いた後に核心部。小ハングの上にあるホールドが下からは見えず、多少固める余裕がないと厳しい。ライン取りが難しく、最後のマントルも侮れない。
ヨレていたので自信はないが、これはしっかり5.10dある気がする。もう少し長さがあれば良いルート。
その他のルート
今回、僕自身はトライできなかったが、仲間が触っていたりして、気になったルートについてメモ。
サンキュー扇(5.10c)
真野川では貴重な5.10台で、割と人気のようだ。
メインウォール(下の壁)からザレた急登を数分ほど上がった先にある、上の壁に引かれたルート。
上の壁は下見のみ。下の壁に比べると、登る人が少なくて全体的に汚れている感じだったが、岩自体は高さがあって良さそうだった。
穂高喜ぶ(5.12c), 穂高の三角(5.13b)
真野川の中では、かなり傾斜が強い部分からスタート。終盤までホールドは悪くないが、核心のホールドが複数箇所欠けていて、わずかなヨレで繋がらなくなるらしい。
ミクロコスモス(5.13a), 野生の勘(5.12c)をそれぞれサクッと2撃したモトハシさんだが、穂高喜ぶ(5.12c)は珍しく苦戦。1便目で実質残りあと2手までいったものの、そこからずっと同じところでフォール(といっても6便くらいだが)。
最終的にはRPしていたが、バラせば何度でもできる核心が、繋げると化けるとのこと。最低でも5.13a以上はありそうな印象。

核心部のフェイスはエリア随一のかっこ良さだし、ルート全体を通して内容も非常に面白そう。野生の勘、宇宙の三角、穂高喜ぶは「真野川三大トゥエルブ」と呼ばれている。最終日の午前中に宇宙の三角を登ったあと、コンプリート目指して穂高喜ぶをやろうかとも思ったけど、半日では厳しそうだったので今回はトライせず。
エクステンションルートの穂高の三角は、宇宙の三角で登る上部の白いフェイスに繋げるルート。恐らく穂高喜ぶの終了点で大レストできるが、そこから宇宙の三角と合流するまでの短いオリジナルパートにルーフ越えがあり、そこがかなり悪そうに見えた。
宇宙の眼(5.12c), 宇宙のエッジ(5.13a)
今回登った宇宙の三角(5.12d)と合わせて、宇宙シリーズと呼ばれている。
下部のクラックは共通。この部分は多少掃除したが、眼とエッジそれぞれの上部は、かなり汚れているようだった。
どれも高くまで登れて気持ち良さそうなので、また訪れる機会があればやってみたいが、その時までにトライする人が出てきて綺麗になってるといいな。笑
野馬追い(5.11c/d)
一番登り(5.11a/b)と並び、よくトライされているイレブン。
他の人がトライしているのを見ただけだが、DATSUN720と似ていて、アンダーやサイドが連続する感じだった。
ふりかえり
はじめての真野川。
岩が脆い部分が多いのが玉に瑕だが、ルートはどれも内容が濃く、とても楽しいツアーだった。
成果も十分。やはり僕はツアーに強い気がする。「今日登れなかったら当分来れない」というプレッシャーがあると、力が出るのかもしれない。普段からそれくらいの気持ちで登れば、もっと登れるのだろうか。笑
東京からはやや距離があるものの、徒歩でのアプローチはあっという間で、岩場の居心地も良い。今回のツアーで結構登ってしまったが、少なくとも、もう1ツアー分は登るルートがある。ぜひまた訪れたい。
今後もコンスタントにクライマーが来て、各ルートが綺麗な状態で保たれれば良いなと思う。
あと、今回はトライ順の関係もあり、オンサイトよりフラッシュでのトライが多くなった。
これまではフラッシュ狙いって何だか中途半端な感じがして、なるべくオンサイトを狙うようにしていた。だが、実際にやってみると、フラッシュにはフラッシュの面白さがある。
今後も、自分の実力だと、あまりオンサイトのチャンスがなさそうなルートに関しては、フラッシュを狙ってみるのも悪くないかなと思う。
ただし、フラッシュできてしまうと「オンサイトだったら登れてたかな?」と考えてしまう。もちろん答え合わせの方法はなく、オンサイトトライかフラッシュトライ、どちらか一つしか選べない。
いずれにしても、初めての岩場はすべてのルートがそのどちらかの対象になる。近くの岩場にはそれなりに通ったが、日本全国、そして世界には、まだまだ行ったことのない岩場がたくさん。
これからも積極的にツアーへ出かけたい。

