【有笠山】はじめてのジ・アーチ:天然記念物Day1

きい

クライミング日:2025年11月15日(土)

今回のクライミング

近年はずっとこんな感じの気もするが、残暑が収まったと思ったら急に寒くなり、体が追いつかない。天気予報には晴れマークがずらりと並び、雨の日は珍しくなった。

先週末、長い花崗岩シーズンにようやく別れを告げた。これから本格的に寒くなるまでの短い秋の間、行きたい岩場は山ほどある!

この日は有笠山のジ・アーチへ。以前一度、下見に行ったことはあるんだけど、その時はボルトの状態を見て、登るのを見送っていた。マチダさん達のリボルトに感謝。

ジアーチは、2025年4月、JFAによってリボルトされている。有笠山は大半のエリアでリボルトが進み、これで残るは奥壁のみ?

下から見上げたアーチ

エリア解説

アプローチ

東口の駐車スペースから、30分弱といったところだろうか。アップダウンもあるし、有笠山のエリアの中では、やや大変なアプローチ。

踏み跡・ケルン・テープは結構あるけど、この時期は落ち葉で踏み跡が見えづらいこともあり、初めてだと少し迷うかも。あと倒木が多くて、いちいち跨ぐのが大変だった。

サボって全然写真撮ってないけど、個人的な備忘録程度のメモ。

  1. 駐車スペースからフェアリーとは反対方向に下りて行って川を渡る
  2. 沢沿いにずっと登って行きそうになるが、早めに沢の左側に上がる
  3. ボルトも打たれている、大きな壁を左に見ながら急登を上がる(FIXあり)
  4. 2つの小さな尾根を右から左に移り、しばらくトラバース
  5. 最後は登って下りて尾根を越えると到着

居心地と陽当たり

エリアは斜面の中にあるが、平らなスペースがあり、数パーティーくらいなら快適。雨が降っても濡れないような、大きな洞穴もある。

ジ・アーチ

みかけだおし(5.11c)などが引かれている、斜面の上から見てアーチの表側が南西面だろうか。アーチの左側の柱に引かれた、2本の5.10dはよく陽が当たるようだが、右側の柱付近はあまり陽が当たらない。

ちなみに、右側の柱付近にあるFIXロープを上ると、簡単にアーチの上に行ける。上側を歩くことも可能。アーチの上は陽当たり抜群で、寒い日には日向ぼっこが気持ち良さそうだが、滑落には注意。

アーチ上部
アーチの上側

✅みかけだおし(5.11c), mOS

斜面の上から見て、アーチの右側の柱を登るルート。下部3ピンは天然記念物と共通。3ピン目は60cmスリングで伸ばした。

3P目までは5.10前半くらいのアプローチ。ノーハンドレストを挟んで、ここからが本番。

ルート名の通り、傾斜は強いものの、ホールドは基本的にガバ。しかし、たまにガバじゃないやつが混じっていて、そこが難しい。天然記念物から分岐して割とすぐの5P目?付近で、左にトラバースする部分が核心だろうか。

最後まで終了点が見えず、上部で右の大喰王(5.11b)の終了点に吸い込まれそうになるが、信じて直登。終了点直下もやや難しい。簡単なマントルを返すと、眼下に綺麗な景色が広がっている。

全体的に被っているものの、傾斜は一定ではなく、中間部のやや傾斜が死んだところでかなり休める。

左トラバースの核心がやや危なかったが、最後はやや余裕を残してmOS。5.11cとしては、やや登りやすめかな。

❌天然記念物(5.13a/b), 3go

ルート解説

天然記念物のライン

ジ・アーチの看板ルート。国内では超貴重なアーチクライミングだ。

アーチクライミングというと、スペイン・ロデジャーのEl Delfin(7c+)が有名だろうか。

ロデジャーのEl Delfin(7c+)

El Delfinは登れていないものの、少しだけトライしたことがあるが、意外に核心に難しさが集中している印象だった。

一方の天然記念物は、このグレードとしては特別難しい部分はなく、持久力が問われるストレニルートだ。アーチの景観はロデジャーに敵わないが、ルートの内容は天然記念物の方が圧倒的に面白いと思う。

ライン取りはアーチ底面を、左に行ったり右に行ったり。両側のカンテを使うことで、より立体的なクライミングが楽しめる。これもアーチが太くて幅がある、El Delfinにはない要素だ。

3P目までは、みかけだおしと共通。3~5ピンは間隔が狭いものの、ルーフに近い傾斜。ここの3本のボルトは、ほぼ水平に見える。

一旦左カンテに出て、海賊船(5.13a)を思い出す強傾斜カンテ登り。ひたすら左足ヒールフックで、片足だけ疲れる。

8P目までで、5.11dくらいだろうか。

8P目の50cmくらい上にもボルトがあるが、ここではまとめて8P目として説明。終了点を除き、全部で10クリップ(みかけだおしとの共通部分含む)。

ここからリーチにもよるが、レストを挟みながらランジ3連発。最後の5手ほどは難易度が下がるが、ここも繋げると十分落ちられる。

3発のランジのうち、どれが難しいかは人によって変わりそう。いずれにしても、それなりのリーチがあれば、バラシだと特別難しくはない。あって2級だろうか。

第3ランジの発射で使う右手を除き、ガバか小ガバしか出てこない。繋げることに難しさがあるルート。それでいて核心ムーヴはダイナミックで、レストはトリッキーで休む技術も要求される。

岩がシッカーで固められた部分があるが、それを差し引いても四ツ星だと思う。

トライ

まずはヌン掛け兼ムーヴ探り。みかけだおしとの分岐直後から強度があるが、ピン間隔が近いため、とりあえず上まで抜けるのはそれほど苦労しなかった。

2便目で一通りムーヴは解決。レスト方法もなんとなく分かり、5%くらいだが、ワンデイの可能性を感じる。

1便ごとのダメージが大きそうなので、便数を出しても無駄撃ちになるだろう。しっかり休んでから、この日の最終便、3便目にかける。

それほどヨレずに8P目のクリップポイントに到達。ここはややホールドがスローピーだが、右足トゥフック(足ジャム?)、左足ヒールでレストすることができる。

レスト体勢のままクリップしようとするが、体が上がると手が抜けそうで怖い。モタモタしていたら、右足が抜けてフォール。やはりワンデイならず。

次回に向けて、3発のランジ(僕の場合は全てただのデッドに近い)を含め、上部のムーヴを最適化。

第一ランジ

レスト体勢から、発射体勢へのセットも難しい第一ランジ。

第二ランジ

第一ランジで止めたガバから、地面からもよく見える角ガバへの第二ランジ。ここは特にリーチによって大きく難易度が変わりそう。僕はこの第二ランジがダントツで一番簡単に感じたが、モトハシさんは第二ランジが一番難しいらしい。

第三ランジ

右のフェイス面にあるホールドも使ってレストし、幅のあるガバへの第三ランジ。ここはランジそのものよりも、発射体勢のセットが難しい。右手カチスローパーはかなり悪く感じるが、意外にポジションで体重を殺すことができ、コツモノのいった感じ。

ヌンチャク回収

モトハシさんの3便目は結構惜しかったが、結局ワンテン止まり。

フォール後、地獄のポンプアップで戻り、ヌンチャク回収してくれた。

この傾斜なので想像はつくと思うが、ヌンチャクの回収はなかなか大変。振られ止めのビナはたくさんあるので、下降時にも回収は可能だが、もしかしたらフォロー回収の方が楽かもしれない。

下降時にヌンチャク回収

ふりかえり

日本ではなかなか体験できない、超が付くほどの強傾斜クライミング。

ジムでもルーフは苦手だけど、最近は自分なりに頑張っている。その成果もあったのか、手応えは悪くなかった。傾斜としては得意ではないが、ムーヴやホールドの距離感は自分に合ってそう。

とはいえ、今日は最終便でなんとか3分割くらい。次回で1テンまではいけそうだが、1テンからRPまでが遠そうなルート。

この時期としては、やや暖かい日だったと思うが、天然記念物は右カンテを除き、一日中陽が当たらない。ギリギリ焼き石なしでもいけたが、休憩中は結構寒かった。帰る時、東口の駐車スペースには何台か車があったが、アーチは貸し切りだった。

今シーズン、もう1日くらい来れるだろうか。評判通り素晴らしいルートだったので、いずれにしても必ず再トライしたい。

夕食はいつも通り、カントリーロードフロム1に寄って帰宅。

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ABOUT ME
きい
きい
登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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