はじめての冠着山・坊抱岩(岩場解説あり)
クライミング日:2026年5月9日(土)~10日(日)
今回のクライミング
5月6日(水)に、約2週間のスペインツアーから帰国。その3日後の9日(土)、冬の時期にお世話になっている、斑尾高原のスキー宿で、「ACL再建ニキズミーティング」(僕にとってはスノーシーズンの打ち上げ的なイベント)が開かれた。

これに参加するために長野まで行くので、「せっかくなら、宿の近くの岩場を探してみよう」という話になった。
調べてみると、千曲市に坊抱岩という岩場があることがわかった。斑尾からは、それほど近い訳ではないが、行きと帰りに寄り易い位置にある。
ということで、帰国から中2日の週末、坊抱岩で登ってきた。
このプランは、GW前から計画していた。坊抱岩のトポを見ると、手頃なグレードが多いし、「海外ツアー後のエンクラにちょうど良いかな」くらいに考えていた。
しかし、いざ坊抱岩への出発のタイミングになると、まだ荷解きもままならない状況で、「帰国直後の週末くらい、家でのんびりするという選択肢はなかったのか?」と自問自答してしまった。笑
岩場解説
概要

長野県・千曲市の冠着山(姨捨山)にある岩場。
坊抱岩と涼み岩、この2つが主なエリア。岩質は凝灰岩で、垂直からやや被ったルートが中心。
標高約1,000mに位置していて、坊抱岩は稜線上にあるため風が良く抜け、涼み岩は木陰が多く、涼しさには定評がある。
坊抱岩からは千曲市内の街並みも見渡せ、展望も良い。

車でのアクセスと駐車スペース
一般的なアプローチは、坊城平いこいの森(キャンプ場は廃業?)からとなる。細かい分岐が多いけど、Google Map通りに行けばOK。
細い林道を通るが、最後まで舗装された道なので、最低地上高の低い車でも特に問題はない。しかし、落石が非常に多いので、パンクには要注意。

東京北西部にある僕の自宅からだと、関越道→上信越道経由で、休憩を除いて約2時間45分。小川山が2時間半くらいなので、そこまで遠くない。日帰りも十分可能。
坂城ICで高速を下りる。岩場までにいくつかコンビニがあるので、買い出しには困らない。

元キャンプ場?ということで、数十台くらいは止められそう。満車の心配はまずないと思う。
綺麗な仮設トイレが設置されていた。もしクライマー有志で設置されたのなら、とても素晴らしいこと。
アプローチ

途中までは、山頂に向かうハイキングコースを歩く。↑のマップを見ると、入り口が2カ所あるようだが、ここでは我々が使ったルートを紹介。




↑の「登山道・頂上へ」の標識まで、駐車スペースから10分強。ここからさらに10分ほど稜線上の踏み跡を辿ると坊抱岩。踏み跡は終始明瞭なので、あまり迷う心配はないと思う(途中で何度か車が通っていたと思われる道と交わるが、ハイキングコースを行けばOK)。
駐車スペースから坊抱岩まで、徒歩20分強といったところ。特別急登という訳ではないが、ずっと登りなので、割としっかり歩く。

なお、涼み岩へ行くには、「登山道・頂上へ」の標識のすぐ裏から降りて行く。坊抱岩とは違い、稜線からやや下がった位置にあるので注意。
わずか50mほどだが急坂で、こちらは踏み跡もかなり不明瞭。あまり登られていないのかもしれない。
また、坊抱岩から涼み岩へ移動する場合、途中にキャンプ場とは反対側から伸びる明瞭な踏み跡がある。最初我々は、この踏み跡が涼み岩に続くのかと思ったが、どうやら別の駐車スペースからのアプローチ道のようだ。
シーズン
今回訪れた5月中旬は、寒がりな僕にとってはやや肌寒かったが、フリクションを考えるとベストな時期だと思う。
しかし、岩にはチョーク跡が全くと言っていい程なく(単純に直前の雨で流れたのかもしれないが)、クライマーが通い始めるのはちょうどこれからのようだった。
今回一緒に登った、松本在住のジャッキーさん(本人曰く広義のジモティー)によると、この時期の長野クライマーは、まだ佐久志賀メインらしい。
稜線上にある坊抱岩は露出しているので、陽が当たる時間帯は結構暑い。しかし、風の通りは抜群なので、曇れば夏でも割と涼しそう。
木々に囲まれた涼み岩は木陰が多いが、稜線よりも少し下がった場所にあるので、逆に風はそれほどない。
ルート

看板ルート「コズミックワールド(5.11b)」を含むイレブン三部作がある坊抱岩西面は、約15mほどの垂壁。
掛かりの良いガバ・カチが中心だが、斜めにスパッと切れたような面もよくホールドとなり、ポジションを作って効かせる必要がある。

一方の涼み岩は、下部はオーバーハング、上部は垂壁で、個性のあるルートが並んでいる。
今回は★の多いルートを選んでトライしたこともあると思うが、持久力が要求される、リードクライミングらしい好ルートが多かった。
5.12以上はそれほど数がなく、5.11以下が中心なので、初級~中級者向けの岩場と言える。ルートの質は高いので、上級者もオンサイトトライは充実する。
基本どのルートも1便ずつだったので、グレードに関してはあまり自信がないけど、概ね標準から気持ち辛めくらいだと思う。
岩質とプロテクション
全体的にやや脆い印象だ。人気ルートでも不安定な部分があるので、ビレイヤー共々注意が必要。
ボルトは一部ケミカルやグージョンに打ち替えられているが、古いカットアンカーが多いので、最低限のリスクマネジメントは心がけたいところ。
なお、坊抱岩の雨後の乾きの早さには、かなり定評があるようだ。この週末も、金曜夜にまとまった雨が降ったようで、地面はかなり濡れていたが、岩はカラカラだった。
トポ
今回は100岩(伊豆・甲信)を使ったが、一通りのルートは載っているようだ。
ROCKTOPOでも各ルートのラインが確認可能。
Day1(Saturday)
自宅を5:30過ぎに出発。ゆきりんと合流して関越へ。
GW明けの週末なので、高速はかなり空いている。坂城ICで高速を下り、コンビニで買い出ししてから岩場へ向かう。
途中で道を間違えてしまい(Google Mapをちゃんと信じれば大丈夫です)、似たような獣除けゲートに迷い込み、スバル車もビックリの泥々ダートに入ってしまった。

途中でおかしいと気づき、引き返して今度は正しいゲートへ。8:30過ぎに駐車スペースへ到着。
我々の他には車ゼロ。松本から来るジャッキーさんと岩場で合流。あとからもう1組クライマーが来たが、坊抱岩を通り過ぎ、さらに上のエリアに向かったようだった。
この日はACL再建ニキズミーティング参加のため、夕方には斑尾に着く必要があるので、14時過ぎで早上がりの予定。
✅ピナクルダッシュ(5.10c/d), mOS

まずは5.10台でアップ。ピナクルダッシュは、坊抱岩本体とは分離した、小さな岩の塔を登るルート。
概ねガバとガバカチで構成されているが、しっかり被っていて強度がある。スラッシュなしの5.10dでいい気がする。
10mもないが、最初から最後まで気が抜けず、内容は面白い。
✅コズミックワールド(5.11b), mOS

イレブン三部作が並ぶ坊抱岩西面、そのド真ん中の緩いリッジ沿いに登るルート。
一定の難しさが続く持久系で、色々なムーヴが出てくる。見た目、内容ともに納得の看板ルート。
スペイン帰りで持久力が仕上がっていたこともあるが、垂壁の中で時折しっかりしたガバが出てくるので、パンプする前に腕を戻すことができた。チョーク跡はほぼなかったが、余裕をもってオンサイト。
でも5.11bとしては少し悪めかもしれない。
✅ダークゾーン(5.11d), mOS
下部核心。それなのに2ピン目と3ピン目が離れていて、かなりの緊張感
細かいカチが出てきて、純粋な保持力が要求されるが、得意系だったこともあるのか、5.11dとしてはやや登りやすく感じた。
イレブン三部作に共通して言えることだが、最後の2ピンくらいはウイニングラン。
✅アッサーⅡ(5.11c), mOS

イレブン三部作の最後の一本。この三本のボルトラインは、共通して使うホールドがギリギリない程度の距離感。この日の坊抱岩は貸し切りだったが、いずれも人気ルートなので、混雑した日は譲り合いが必要かもしれない。
アッサーⅡは、中間部をやや過ぎたところが核心。ダークゾーンよりもムーヴの組み立てが難しい。ブラインドホールドもあったりして、オンサイト難易度はこちらの方が高め。
シェイクを入れながら、何度も登ったり下りたり。迷い散らかした末にパンプして後がなくなり、一か八かで出したデッドでたまたまブラインドカチを捉えた。大充実のオンサイト。
5.11cとしては難しく感じたが、二撃だったゆきりんによると、ムーヴが決まればそこまで強度は高くないらしい。
Day2(Sunday)
昨晩は再建ニキズミーティングのイベントのあと、日付が変わった1時前には寝たんだけど、スペイン遠征の疲れを引きずっていたのか、斑尾の宿で目が覚めたのがなんと朝9時15分。笑
駐車スペースへの到着は11時半過ぎ。結局、2日目も半日クライミングになった。笑
気温が高くなる予報だったからか、この日はすでに5台の車が。1台を除き、あとは長野ナンバーだった。
前日に気持ちよくイレブン三部作をオールmOSできたので、今日は涼み岩へ行ってみる。昨日の帰りにアプローチの下見をした際はちょっと迷ったけど、そのおかげで今日は真っ直ぐ行けた。
みんな坊抱岩で登っているのか、涼み岩は貸し切り。
涼み岩には5.12、さらには5.13aまであるのだが、半日クライミングになってしまったこともあり、今回はイレブンサーキットに徹することにした。
✅龍君の鼻(5.10c), FL
寝坊したお詫びに、ゆきりんから先にトライしてもらったので、ヌンチャク掛かった状態でフラッシュトライ。笑
かなりオーバーハングしていて、迫力の見た目。それでいて、ホールドはガバではあるもののドガバではなく、しっかり強度がある。
核心はルーフを乗っ越すところ。ハングの上は砂や松の落ち葉が乗っていて、ホールドが分かりづらかったのもあるかもしれないが、5.10cとしては難しく感じた。
最後はランナウトしつつ、アルパインチックなイージースラブを抜けて終了点へ。
✅ザ・サル(5.11c), FL
龍君の鼻とルーフまでは共通で、乗っ越す部分が異なり、ここにグレードが付いている。
数字が1つ違うだけあり、こちらは乗っ越す部分のホールドも悪いが、良い場所にフットホールドがあるので、分かればそこまで強度は感じない。5.11cとしてはやや登りやすいと思う。
実質数手のボルダーだけど、ムーヴは面白い。
✅宇宙への旅立ち(5.11c), FL
ライン取りだけ見ると、直上する無名(5.10c)の方が自然だが、登ってみるとこれが秀逸なボルトライン。
下部はアプローチに見えるが、最初からバランシーなムーヴの連続。そしてこのテイストが最後まで続く。
ホールド自体は決して悪くないが、奇跡的な配置により、しっかりとポジションに入らないと進めない。
この岩場の中では長さもあり、終始適度な緊張感が続き、ムーヴが決まるたびに「なるほど!」と感じられる。
隠れた名作、というか傑作。コズミックも良いルートだが、今回トライしたルートの中では、断トツでオススメ。
それでいて5.11cという手頃なグレード。体感としても、ちょうどそれくらいだと思う。
この岩場に来る人の大半は、まず坊抱岩に行くと思うが、ぜひ帰りに涼み岩に寄り、宇宙への旅立ちを登ってみて欲しい。
❌七カ月後(5.11c), 2go
昨日と合わせて、ここまで7連続一撃。未だノーフォール。最後もしっかりmOSで決めたいところだが、そんなに甘くはなかった。笑
1ピン目が高い割に、そこまでが見た目ほどガバではなく、さらには岩も脆そう。加えて、少なくともマスターだと2ピン目のクリップホールドが悪く、それなのに1ピン目のボルトがサビサビという、なかなかの緊張感だった。
そこから今にも剥がれそうなアンダーを使い、ハングの上に見えるガバクラックを目指すのだが、ここで行き詰る。オブザベでガバカチだと思っていたホールドの当てが外れ、迷っている内にフォール。うーん、残念…。
そのあと探ってみるが、ハングの乗っ越しは普通に悪い。ゆきりんはキョンを使った良い感じのムーヴを作っていたので、分かればそこまで強度はないのかもしれない。
上部は縦に伸びる細いクラック沿いに垂壁を登る。クラックは開いているところは悪くないが、閉じている部分が多く、ややリーチが必要な印象。さらにはフェイス面のフットホールドがかなり悪くて、テンテンで終了点へ。
2便目はギリギリでハングの核心を突破したが、クラックパートへの入口で、雑な足置きによりスリップ落ち。
内容は面白いけど、ボルトと岩の状態が上で書いた通りなので、トライする場合はご注意を。
ふりかえり
坊抱岩と涼み岩、それぞれ半日程度のクライミングだったが、どちらのエリアもルートの質が高く、登り応えがあった。また、坊抱岩はそれに加えて、景色もGood。
はじめての岩場は、すべてのルートでオンサイトorフラッシュトライができるので、新鮮で楽しい。
しかも、GW中の雨のおかげ?か、チョーク跡がまったくと言っていいほどなく、真のオンサイトトライができた。開拓中の岩場とかでない限り、これってなかなか経験できない。
そんな状況でも、トライした8ルートの内、7本一撃。スペインツアーからの好調は続いているようだ。
坊抱岩ではイレブンサーキットを楽しんだが、来週からはGW前に通っていた有笠山のジ・アーチに戻り、あっぱれ(5.13c)のトライを再開する予定。できれば今シーズン中、梅雨入りまでに登れるといいなぁ。
