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【武能岳】スティープ体験?武能沢バックカントリー

きい

山行日:2026年2月14日(土)

今回のBCスキー

約1ヵ月ぶりの投稿。

序盤はどうなることかと思った、25-26スノーシーズン。近年は小雪にも慣れてしまったが、昨シーズンが記録的な降雪に恵まれただけに、年明け頃まではやきもきした気持ちで過ごしていた。

しかし、1月中旬以降は立て続けに寒気が入り、積雪も順調に増えた。今シーズンの積雪傾向として、日本海に近いところと内陸側とで、例年以上に差があるようだ。関越沿いでいうと、八海山のあたりはかなり積もったが、群馬側は少ない印象。

車がこんな状態になる日も多かった

ここ最近は、妙高・斑尾エリアなどで滑っていた。降雪のタイミングと週末が重なることが多く、気温も安定して冷えていて、ずっとパウダーコンディション。しかし、視界がなかったり、風が強いことが多く、なかなか大きい斜面に行ける日がなかった。

バフバフのツリーランも楽しいが、そろそろアルパインも滑りたい!そう思っていたら、ここにきて急に晴れの日が続くように。

今週は、水曜に南岸低気圧により、標高の低いところ以外は雪。木・金は晴れたが、そこまで気温は上がらなかったので、場所を選べばパウダーが残っているかもしれない。

行き先に選んだのは、ずっとサクライさんが行きたいと言っていた武能沢。三浦大介さんの、「中部山岳スティープスキー100選」に収録されているルートだ。

当日土曜は晴れ予報で、春のような陽気になるらしい。武能沢はわずかに北にうねっているものの、概ね東向き。雪がまだ生きているかは心配だが、降雪3日後ということで、雪崩リスクの面では悪くない。

そもそもスキーがそれほど上手くないということもあるのだが、普段は特別スティープ好きという訳ではないんだけど、今回は僕にとって、ちょっとチャレンジングな斜面を滑りに行った話。

トラッドはさておき、スポートクライミングの場合、実力が伴っていればグレードが上がっても、そこまで大きくリスクは変わらないと考えている(高グレードの方がランナウトする傾向はあるけど)。一方、BCスキーの場合、やはり斜度が上がると基本的には雪崩リスクも上がるだろう。もちろんスキーが上手い方が安全ではあるが、自分の技術だけではコントロール仕切れないリスクがあると思う。

Vlog

今回も簡単なVlog(写真と動画を繋いで音楽付けただけ)作ったので、雰囲気だけサクッと味わいたい方はこちらをどうぞ。サクライさんのカッコイイ滑走シーンもあります。

ルートと所要時間の記録

水色の線が今回のルート(紫は昨年行った芝倉沢)
  • 06:19 スタート(土樽側の除雪終了点)
  • 08:21 尾根への取付
  • 09:52 稜線に出る
  • 11:10 武能岳山頂
  • 11:54 滑走開始
  • 12:10 滑走終了(湯檜曾川との合流地点)
  • 12:48 芝倉沢との合流地点
  • 13:02 一ノ倉沢出合
  • 13:25 車道に出る
  • 13:31 土合駅地上階
  • 13:40 土合駅ホーム
  • 13:41 乗車
  • 13:49 土樽駅到着
  • 14:07 ゴール(土樽側の除雪終了点)

山行詳細

今回は、土樽側の除雪終了点に車をデポし、土合に滑り下り、電車で車を取りに戻るというルートだ。

もちろん事前に時刻表をチェック。本数が少なく、午後だと13:41発の次は、16:51発。朝ゆっくり目に出発し、16:51発を狙うことも考えたが、除雪終了点の駐車スペースが埋まってしまわないか心配だ。頑張って早起きし、13:41発を目指すことに。

飯能市のサクライさんの家に、3:30集合。湯沢ICで下りてコンビニに寄り、6時頃に除雪終了点に到着。

サクライさんと僕は、いつも基本的に朝はのんびり出発なので、こんな早朝からスタートすることは珍しい。笑

除雪終了点の駐車スペース

準備している内に明るくなってきた。シールを貼り、林道を歩き始める。

土樽パーキングエリアの建物

スタートから15分ほどで、土樽パーキングエリアの裏側を通過。奥に見える山の山頂付近が、朝陽で輝いている。

足元の雪は、紛れもないブレイカブルクラスト。上に行けば良くなるのだろうか…。

振り返って湯沢方面

ほぼ平坦な沢沿いを歩いていく。湯沢の山々にはすでに陽が当たっているが、谷川連峰の西側に位置するこの場所は、朝は日陰となる。日中はかなり気温が上がる予報だが、現時点では放射冷却で結構寒い。シェルを着たままのハイクアップ。

昨年4月、サクライさんが一人で同ハイクアップルートから白樺沢を滑った時には、渡渉があったそうだが、この日は雪で沢が埋まっている部分が多く、楽に渡ることができた。

谷沿いのハイクアップルート

次第に谷の両側の斜度が増してくる。雪崩リスクが高い時には通りたくない場所だ。サクライさんと間隔を空けて素早く通過。

途中でクライマーズライトの急斜面に取り付き、キックターンで広い尾根に乗り上げる。

広い尾根上のハイクアップ

表面は硬いが、このあたりから雪質はパウダー!3日前の南岸低気圧による降雪後、前々日と前日は晴れていたはずだが、あまり気温は上がらなかったようだ。これは滑走の期待が高まる。

尾根上のハイクアップ中に太陽がお目見え
テンション上がって珍しく自撮り

稜線の向こうから、太陽が上がって来た。天気は最高だ。

少し板が沈むものの、ラッセルというほどではない。この尾根はキックターンがいらない程度の斜度で、アップダウンもほとんどなく、効率良く高度を上げられた。

稜線に出たところから白毛門方面

稜線に出ると、目の前に白毛門や朝日岳が飛び込んできた。

稜線上の雪は風で飛ばされ、笹が出ている部分が多いが、この日は快晴無風。歩いているだけで楽しい。

奥に見えるのが武能岳

絶景を堪能しつつ、稜線上を武能岳の方に進んでいく。

途中からシートラ

大した斜度ではないが、足元の雪は笹に付いたエビのシッポで、氷っている部分もある。やや急になってきたところで板を担ぎ、アイゼンを装着。

山頂まであとわずか

稜線が再び平坦になると、山頂まではもう少し。踏み抜きが多かったので、最後にちょっとだけ、またシールで歩いた。

登頂!

そして11時過ぎに山頂到着!↑の写真の右奥に見えるのは万太郎?この山も気になる。

正面には、昨年滑った芝倉沢。実際に滑ると、プレッシャーを感じるほどの斜度ではないのだが、向かい側から見るとやはり急に見える。圧倒的な迫力だ。

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ポカポカ陽気だったので、写真を撮ったりしながら、他に誰もいない山頂でしばらくのんびり過ごした。これが後ほどしわ寄せになることを、サクライさんも僕もまだ知らない。笑

さて、武能沢へのドロップポイントだが、事前の情報収集では、山頂よりわずかにスキーヤーズライト(茂倉岳側)を想定していた(↓はYouTubeで見つけた、唯一の武能沢の滑走動画)。

山頂付近は雪庇が張り出し、さらには地形がノールしているので、稜線上からは滑る斜面が見えない。念のためドローンを飛ばし、ドロップポイントを確認してみる。

武能岳の山頂付近

すると、予定していたドロップポイントのすぐ下に、クラックが開いていることがわかった。そのかわり、スキーヤーズレフト(蓬峠側)は問題なくドロップできそうだ。その年によって、雪の付き方は変わるのかもしれない。

滑走シーンの撮影を想定したテストフライトも終え、まずはサクライさんがドロップ。実際に滑り出すと、スキーヤーのスピードは想定よりも速く、残念ながら核心部のシュートを滑っているところは撮れなかった。やはりまだまだ操縦経験が必要そうだ。

しかし、手元のコントローラーの画面に映るサクライさんの滑りを見る限り、雪は悪くなさそうだ。

サクライさんのシュプールが見える

撮影を終え、僕も滑走準備に入る。

思っていたほどプレッシャーのあるドロップではなかった。目の前にオープンバーンが広がる。雪はやや重いが、紛れもなくパウダー。フォー!後ろからスラフに追いかけられるが、大したことはない。

しかし、すぐに核心部のシュートが迫り、斜度が増してくる。日陰になっているスキーヤーズライト側でまずミドルターンを入れるが、予想と違って雪はアイシー。サクライさんのシュプールは、日射面のスキーヤーズレフトに向かっており、僕もこれに倣う。

日射面の雪はもっちりしていて、賞味期限間近といった感じだが、とりあえず柔らかくて日陰面より滑りやすい。しかし、スキーヤーズレフト側はさらに斜度があり、転ばずに滑るので精一杯。ジャンプターンでなんとか通過。

シュートを抜けると一気にバーンが広がり、斜度も少し落ちるが、まだまだ急斜面が続く。ここはサクライさんが滑った際、かなりスラフが落ちたようで、雪面が荒れていて滑りづらかった。

ようやくストレスのないバーンまで下りてきた頃には、すでに脚パンパン!サクライさんが待つリグループポイントまで、安全地帯がないので止まることが出来ず、長い一本だった。

滑った斜面(写真中央岩稜帯のスキーヤーズライト)を見上げる

ターンの度に雪質が変わり、簡単な滑走ではなかったが、上部は十分楽しめた。

中間部のチューブ地形

しかし、中間部から急にストップ雪に。まぁ予想はしていたが、先週末までずっと快適パウダーだったので、久しぶりの悪雪に脚が悲鳴を上げる。笑

湯檜曽川との合流地点手前(それぞれ太さの違う飛行機雲が印象的だった)

次第に斜度が落ち、湯檜曽川と合流する。お互いに動画を撮り合ったりしながら、何ピッチかに分けて滑ったが、ドロップからここまでわずか15分ほど。5時間近く登ったのに、滑るのはあっという間だ。

もっと上手く滑りたかったという思いはありながらも、達成感を感じつつ、パンを食べながらしばし休憩。この時点でも、実はこんなにのんびりしている余裕はないことを、サクライさんも僕もまだ知らない。笑

湯檜曽川沿いのお帰りルート

ここからは、長くて退屈な平坦ルート。ストップ雪なので板が走らず、余計に疲れる。芝倉沢を滑った時も、土合までの帰り道は長く感じたが、今回はさらに長い。

芝倉沢との合流地点

山頂は快適陽気だったが、ここまで下りてくると暑い!汗をかきながら、まずは芝倉沢との合流地点に到達。ここで初めて、「これ電車間に合うの?」という焦りが。

こうして、クロスカントリー開始。ちょっとした登りや、一箇所だけ川にスノーブリッジがないところがあり、板の付け外しの時間がもどかしかった。

一ノ倉沢出合に着く頃には、時間が本格的にやばいことを悟る。頑張ってスケーティングで飛ばす。それなのに後ろから来るサクライさんは、のんびり写真を撮ったりしている。急げー!

ようやく車道に出る。サクライさんも、ようやくここで追いついてきた。芝倉沢の時は、ここからロープウェーの山麓駅に戻ったが、今回は土合駅に行く必要がある。

僕は土合駅が初めてで、場所もよくわかっていなかったので、経験のあるサクライさんについていく。

車道をのんびりと歩いて行くサクライさん。

きい
きい

ねぇサクライさん、こんなにゆっくりで間に合うの?

サクライさん
サクライさん

駅はすぐそこだし、土合駅の階段も5分くらいで下りられるので、たぶん大丈夫ですよ~。

現在時刻は13時26分。電車の時間は13時41分。どう考えても不安なので、スマホでGoogle Mapを見ると、土合駅までの車道歩きは10分ほど。

きい
きい

余裕ゼロじゃねーか!!!

なぜこの男はこんなに余裕なのだろうか…。サクライさんを急かして、走って土合駅に向かう。はじめてのモグラ駅、そしてはじめての電車でGO。写真撮ったりしたかったのだが、もちろんそんな時間はなく、機械から出てくる乗車証明書を取って例の階段へ。

この時の時刻は、13時31分。ホームへ続く462段。もちろん、サクライさんの「5分くらい」というのは、すでに全く信用していない。

階段を駆け下りるが、スキーブーツなのでスピードが出ない。13時41分の電車の次は、16時51分。こんな何もないところで、3時間も待つのはごめんだ。モグラ駅に、カンカンカンッというスキーブーツの音が響き渡る…。

体力の限界が近づいた頃、ようやく階段が終わった。ちょうどそのタイミングで、電車がホームに入ってきた。

ヘロヘロ
なぜかさっきまで余裕だった男

よかった!とにかく何とか間に合った!

ようやく安堵
電車の中で車掌さんにお金を払う

電車はあっという間に谷川岳の下を抜け、乗車時間8分ほどで土樽駅へ。

疲れましたね
土合駅で写真撮れなかったので土樽駅で

ここから除雪終了点までの車道歩き約15分が、疲れた足には地味につらかった。笑

出発時点では3台だったが、戻ってきたら8台くらい止まってた

維新でつけ麺食べて、駒子の湯で汗を流してから帰宅。

つけとん大盛

ふりかえり

はじめてのスティープライン。

ドパウなら楽しんで滑れた気もするが、賞味期限間近のやや難しい雪。僕の滑走技術だと、転ばないように滑るので精一杯だった。悔しさもあるが、まずは無事に下りてこれた安堵感と、達成感を味わえた。

武能沢は、スティープスキー100選で「三つ星ルート」と書かれていて、確かにスキー滑降に適した素晴らしい斜面だった。そして何より、そのロケーションは圧巻で、心に残る一本。最高の天気の中で滑れたことが嬉しい。

登りも特に大変なところはなく、湯檜曾川沿いの長い平坦と、電車の時間という制約がなければ最高なんだけどなw。それでも、土合駅の462段をスキーブーツで駆け下りたのも、後から振り返ると良い思い出。電車でGOもはじめてだったけど、滑り下りたそのままの格好で、板を持っての乗車も感慨深い。

ちなみにこの日、平標の登山口には路肩まで車がビッシリだったらしいけど、われわれは山の中では誰にも会わず。静かに絶景を楽しみ、自分達だけのシュプールを残し、とても贅沢な時間だった。

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ABOUT ME
きい
きい
登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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