【二子山】小鹿野クライミング協会のボルト調査に参加
クライミング日:2024年12月14日(土)
二子山・弓状/広場エリアのボルト調査
先日、ベースキャンプでユージさんと話した際、「小鹿野クライミング協会で二子山のボルト調査をやるんだけど、よかったら参加しない?」とお誘いいただいた。
二子山に限った話ではないが、ボルトの劣化が進み、安全性の面からリボルトが待たれる岩場は全国にたくさんある。実際、リボルト要請の声は多いものの、JFAだけでは対応が追いつかないのが現状のようだ。
そんな中、地元のクライマーを中心に、自分達で岩場を守っていこうと発足したのが小鹿野クライミング協会。僕もその活動に賛同し、二子山に通い始めてから、ささやかながら毎年会費をお支払いすることでサポートしている。
話を元に戻すと、今回のボルト調査は、まず「今のボルト状態をできるだけ把握しましょう」というのが趣旨。二子山にはたくさんのルートがあり、一度に全てのルートのリボルトを行うことはできない。そのため、優先順位を決める必要がある。
僕にはリボルトに関する技術や知識はないけど、何かお手伝いできることはあるかもしれない。
ということで、寒風吹きすさぶ12月14日(土)、二子山へ行ってきた。
調査登攀
当日の朝、まずは調査するルートによってグループ分けが行われた。今回の調査は、基本的に協会社員や理事の方によって実施されている。僕は、弓状エリアの右端、および広場エリアを担当するグループのお手伝い。
この周辺は、比較的短いルートが多いため、可能な場合は地上からボルトの確認を行う。担当エリアの全てのルート、全ての支点に対し、使われているボルトの種類や数、サビなどの状態が細かく記録されていた。
僕はグループの中で若手ということもあり、地上から確認できない部分のボルトを、実際に登ってチェックするという役割。
ケミカル・グージョン・RCCなど、同じエリア内で様々なボルトが使われている。同一ルート内で、数種類のボルトが混ざっている場合も少なくなかった。
この3種類に加え、カットアンカーくらいは知っているが、パッと判別できなかったり、名前がわからないボルトもあった。その度にロープにぶら下がりながら地上に質問して、時間がかかって申し訳ない思いだった…。
明らかに腐食が進んでいるものは、その旨を上から伝達するが、見た目が大丈夫でも、実際には危険なボルトもある。恥ずかしながら僕には判別がつかないので、レンチでボルトを叩く音を他の人に聞いてもらったりしながら、作業を進めていった。
ということで、今回はあくまでもボルト状態をチェックするために登った訳だが、どれも触ったことがないルートだったので、せっかくなので記載。
❌友達クラブ(6b), Re
これは今回のボルト調査とは関係ないただのアップ。この日は気温が低く、風もあって特に朝は極寒。
先週もアップで登った(以下の記事参照)ルートなんだけど、なんと3テンくらいで辛うじてトップアウトという体たらく。寒さで体も頭も停止してしまった。
それにしても、やっぱり6bにしては難しくない!?まぁただ弱いだけか…。
ちなみに、この友達クラブは二段岩壁の下部に引かれたルート。二段岩壁は2022年に協会によってリボルト・整備され、以前に比べて安心して登れるようになっている。
また、下部にいくつものアプローチルートが引かれたことで、以前は取り付く人が稀だった蛇の道は蛇(7b)・ブロースト!(7c+)などにも、今はたくさんのクライマーがトライしている。
✅バカ犬(5.10c), mOS
広場エリアの右の方にあるルート。せっかく弓状に来るなら長い持久系ルートをやりたいと思っているので、ショートハードにも興味はありつつ、広場エリアで登ること自体が初めて。
最初は落ちないけど、1P目がRCCボルトなので、嫌でも慎重になる。2P目のカットアンカーにクリップ後、ライン取りが悩ましい。
5.12bくらいで出てきそうなカチを全力保持して何とか突破。あとから聞いたところ、めっちゃ悪いムーヴを選んでしまっていたらしい。笑
下りてくる時、青い目のセリーヌ(5.12c)など、近くのルートのボルト状態も確認。緩んでいるものは、とりあえずその場で増し締め。ハンガーが回ってしまい、適切な角度になっていないものについても対応した。
✅クールダウン(5.10a), TR
広場エリアの左端にあるルート。最近は良くも悪くも?実力がつき、このあたりのグレード感はよくわからない。特に悪いところはなく、登りやすかった気がする。
リボルトを行う際は、どこに打つかももちろん重要になる。協会メンバーは、小柄な女性がマスターでトライする場合なども考慮し、色々と話し合っていた。
正直、僕のリーチや現在の実力だと、どこでもクリップできるルートなので、自分には目から鱗な内容だった。
クールダウンは1P目と2P目がやたら近いんだけど、説明を聞くと納得。いかに自分の想像力が乏しいかを思い知らされる。笑
✅ビッグ・モモ(5.11c), mOS
弓状エリアの右の方、広場に近い場所にあるルート。見た目ガバっぽいので、グレードも聞かずにトライ。
一手一手距離があるけど、中盤過ぎまでは思った通りガバ。余裕をかまし、ボルト状態を下に伝えながら登っていると、終盤で行き詰まる。
チョーク跡を見る限り、直登と右回りの2種類がありそうだが、いずれにしても下部から一転、ホールドはかなり悪い。
行ったり戻ったりしている内に、だんだん腕が張ってきた。意を決し、直感を信じて直登。
左手サイドから、右手を遠いスローパーに飛ばす。さらにそこから細かい左カチ→右カチだったかな?かなり危なかったけど、なんとか突破。
途中からボルト調査という目的を忘れ、ただの奮闘オンサイトトライ。完全にみんなの作業を遅延させていた。笑
100岩のルート図を見る限り、右隣りの一反木綿(5.11c)と終了点が共通だけど、実際には別々に終了点があった。ちなみに、一反木綿は1P目のRCCボルトが完全に死んでおり、トライはオススメできない。
ふりかえり
もはや手伝っているのか、足を引っ張っているのか分からなかったが、協会メンバーは何も知らない僕に、色々と丁寧に説明してくれた。
当日はボルト調査の他に、おしるこ配布や景品付きのじゃんけん大会、意見交換などが行われた。ボルトの種類や、それぞれのメリット・デメリットなどに関する説明もあり、とても勉強になった。
今回調査に参加させてもらったルートの中にも、トライするには勇気がいるような状態のボルトが何本かあった。その全てをすぐにリボルトすることは難しいため、まずは自分自身で判断やリスクマネジメントをすることが重要だ。それがオウンリスクということなのだろう。
今は昔と違い、人工壁(ジム)からクライミングをはじめる人の方が圧倒的に多く(かくいう僕もその一人だ)、ボルトについても「安全を確保されたもの」という認識がされがちなのかもしれない。今一度、自然の岩を登る上での心構えについて考える、良い機会になった。
なお、今回のボルト調査はもちろん、実際のリボルトなどについても、協会の活動は全てボランティアで行われている。会費はボルトなどの資材に使われるが、交通費や弁当代などもすべて自腹とのこと(その上、協会メンバーも会費を支払っている)。
協会メンバーの多くは現役クライマーであり、それぞれ仕事を持っている。ユージさんも言っていたが、クライマーってやっぱり時間があれば登りたいものだと思う。
その中で、岩場の保全や自治体・地元住民との交渉、その他諸々に時間を割いてくれている。僕のような何もしていない人間からすると、全く頭が上がらない。
もちろん協会メンバーも人間なので、良かれと思ってしたことでも、全てが100点満点ということはないだろう。違う立場の人からすると、場合によっては余計な事に見える時もあるのかもしれない。一部の活動に対して、実際に批判の声があることも知っている。
それでも、登りたくて仕方がない気持ちを我慢し、自分達でクライミングエリアを守るための活動をしていくという姿勢は、リスペクトされるべきなんじゃないかと思う。