ベトナム・Huu Lungロックトリップ:前編(参考情報)

この記事は、2025年9月に行った、ベトナムはフー・ロンでのクライミングツアーについて書いたものです(長いので前編と後編に分けています)。
- 前編:参考情報(本記事)
- 後編:旅とクライミングの記録
今回のクライミング
インスタでたまたまその存在を知り(実際に見た投稿)、以前から気になっていたHuu Lung(フー・ロン)の岩場。
ベトナム大好き、マイティーが誘ってくれて、運良く行くことができた。
簡単なVlog作ったので、雰囲気だけ味わいたい方はこちらをどうぞ。
ツアー計画
日程
シーズンからは外れるが、今回はメンバーの都合もあり、9月のシルバーウィークを利用して行ってきた。
9/19(金)~9/23(火・祝)の4泊5日。金曜と月曜は有休を駆使。
初日と最終日は移動のみで、クライミングは3日間の予定。
航空券
2025年6月に購入。行きも帰りもVietJet Air(ベトジェットエア)。
初めて使った。ベトナムのLCCらしい。
行き
5h35m
帰り
5h35m
チケットの種類によっては、受諾手荷物が預けられないので注意。20kgまで預けられるチケットで、¥60,975だった。
80mロープにヌンチャク20本、さらにはドローンや三脚なども持って行ったので、渡航直前にスーツケースの重さを測ると、余裕で重量オーバー。追加料金¥7,625を支払い、30kgまでに変更。
機内食もシートモニターもなし、さらには座席間隔も結構狭かったが、まぁ5時間半くらいなら耐えられる(機内食は有料で購入可能)。
行きも帰りも、定刻というかやや前倒し気味に搭乗が始まったので、予定時刻よりも早めに到着した。時間にはキッチリしている印象。
宿泊
フー・ロンはかなりの田舎町にあり、特に観光地という訳でもないため、ホテルなどは皆無。ホームステイ(ドミトリーだと思っておけばOK)が唯一の選択肢となる。
ホームステイ先はいくつかあるが、マイティーが予約してくれたのは、一番メジャーなMao Homestay。ホームページの”Contact Us Now!”から連絡すれば良いらしい。
3食付きで1人1泊450,000VND(約¥2,500)。冗談みたいに安いが、下の方で書いている通り、食事も美味しく快適なので安心して欲しい。この円安時代にありがたいベトナム物価。
送迎
ハノイ空港からフー・ロンまでは、車で約2時間。公共交通機関で行くことも可能ではあるそうだが、かなり難易度高そう。ハノイでバイクをレンタルし、自分で運転していったという強者もいるようだが、荷物の量を考えると修行系だろう。
空港ではタクシーの運ちゃんが、嫌というほど向こうから声をかけてくるが、フー・ロンでは帰りに乗せるお客さんがいなくて断られるのではないだろうか。
ホームステイを予約した際、車をチャーターするのが無難。往復で4,000,000VND(約¥22,000)。これはベトナム物価を考えると、かなり割高だが、今回は4人だったので1人あたり¥5,000ちょっと。
現地の人を除き、クライマーくらいしか行かない場所なので仕方ない。
持ち物
クライミングギア
ロープはできれば80mを持って行きたい。
ピン間隔が近いので、1つのルートでヌンチャクは15~20本くらい使う(中には40mで28ピンなんてルートもある)。ロープの流れを考えると、長ヌンを基本とするのがオススメ。
コルネや大きな穴など、ニーバーが使える場面が多い。僕はニーパッドを2つ持って行った。

数は多くないが、マルチピッチやトラッドもある。
その他の持ち物
岩場があるイエンティン村では、基本現金しか使えない。両替はハノイ空港か、ハノイの街中で。
ホームステイ先にアメニティ類はないので、タオル・シャンプー類は要持参。
あと夏の時期に行く場合、蚊除けスプレーとムヒは必須(あっても刺されるけど無いよりマシ)。
岩場解説
フー・ロン地区にあるイエンティン(Yen Thinh)という小さな村にある岩場。
ロクスノ104号で紹介されて以降、日本人クライマーも行き始めたようだ。
ハノイでジムを経営している、VietClimbによって開拓されている。その歴史はまだ浅く、2012年頃からボルティングが始まり、今もまだ新たなエリアやルートがどんどん増えている。
ルート
岩の種類は石灰岩で、新しい岩場の割には新たにホールドが欠けるといったこともさほどなく、岩質は安定している印象。
ロングルートが多く、30m超は普通で、25mだと短い部類だ。
フー・ロンには数多くのエリアがあり、今回登ったのはその内のほんの一部なので多くは語れないが、コルネを中心に垂壁でも大きなホールドが豊富。そのため、グレードはフレンチの6台が中心で、初中級者にとってルートは選び放題。
しかし、エリアによっては強傾斜もあり、7台を中心に登って遊ぶことも十分可能。8台はまだ数が少ないが、高グレードも今後徐々に開拓されそうだ。
何より、フー・ロンは見渡す限り岩だらけで、このエリアのポテンシャルは計り知れない。
新しい岩場ということで、ボルトはケミカルが中心で安心感がある。あと、よく言われているように、外岩としてはボルト間隔はかなり近め。
少なくとも人気ルートに関しては、持久系で質の高いものが多く、石灰岩の本場?スペインと比べても、決して遜色ないと思う。
トポ
VIETNAM CLIMBINGという紙のトポがオススメ。岩の写真に各ルートが点線で引かれていて、お目当てのルートを見つけるのに不自由はない。
星の数は1つ(☆ありorなし)しかないが、人気ルートかどうかも判別可能。各ルートには長さとピン数が書かれており、全てではないが簡単なルート解説があるルートも多く、トポとしての完成度が高い。
フー・ロンの他、カットバ島、ハロン湾など他のエリアも収録されている。

Mao Homestayの本棚に置いてあるので、好きな時に読むことができるが、僕は気に入ったのでその場で一冊購入。500,000VND(約¥2,800)だった。割高にはなるが、事前に予習したい人は、Climb Europeでも購入可能。
一部エリアのみだが、ロクスノ104号でも写真付きのトポが載っている。
theCragはほとんどのエリアを網羅しているようだ。一部ルートの写真もある。文字がかすれている場合も多いが、基本的に各ルートの取り付きにルート名が書かれているので、theCragだけでもなんとかなる。

なお、theCragでは各エリアの位置情報をGoogle Mapで見ることができ、これは非常に役に立った。
あとはスペインでもお世話になった、スマホアプリのVertical-Life。まだトータルのアッセンド数は多くないが、各エリアでアッセンド数順にルートを並べることで、人気ルートが大体わかる。

なお、エリアによってはあまり携帯の電波状況が良くないので、オンラインサービスの場合は必要に応じてスクショを取るなどしておくとよい。
体感グレード
トポによって結構違うのだが、紙のVIETNAM CLIMBINGは辛めな場合が多い。
Vertical-Lifeのグレードは、スペインのロデジャーとかに近いと思う。日本だと、二子山・弓状エリアのフレンチだと思って登ればしっくりくる。
東南アジアのクライミングというと、タイのクラビが一番有名だろうか。クラビのグレードは甘めという声も聞くが、フー・ロンは決して甘めということはない。
シーズン
これは正直、冬の岩場と言っていいと思う。
東南アジアの多くの地域は、1年を通して気温が高く、タイのクラビなどはいつ行ってもそれなりに暑そうだ。
ベトナムは南北に長く、ホーチミンがある南部は常夏だが、ハノイがある北部に位置するフー・ロンには四季がある。
今回訪れた9月下旬は、東京だと最高気温が30℃を下回る日が多いが、フー・ロンは35℃近くまで気温が上がる。
湿度も異常に高く、汗で濡れたTシャツはいつまで経っても乾かない。地形的に、それほど風も期待できなそうだ。僕はあまり汗をかかない方だが、毎日ビショ濡れになったハーネスを宿で干す必要があった。
11月~4月頃が乾季にあたるようで、雨の心配も少なそう。
今回行った時季は、雨季の終盤頃のようで、実際に毎日雷雨があった。ただし、これは東南アジアの典型的な天気で、長時間降り続くことは少ない。岩が被っているエリアを選べば、雨でも登ることは十分可能。
また、雨季の終盤の石灰岩ということで、染み出しを心配していたのだが、これが驚くほど少ない。コルネが発達していて、上には木が生えているエリアも多くていかにも染み出しそうなのだが、本当に不思議。
アプローチ
フー・ロンは、村のあちこちに岩が点在していて、それぞれのエリアの近くまではオートバイでアクセスするのが一般的だ。
オートバイを止めてからのアプローチ時間は、歩いて数分~10分程度の岩場が多いようだ。
なお、オートバイについてはいくつか注意点があるので、下の方で書いてます。
ホームステイとフー・ロンでの生活
Mao Homestay

寝室

男女共通のドミトリータイプ。一人一人に蚊帳が与えられているが、宿に関してはそれほど蚊は多くなかった(岩場は全く話が別)。
簡単な木造でエアコンはなし。9月下旬は日中だと暑いが、朝晩はそれなりに気温が下がる。扇風機があったので、寝苦しいというほどではなかった。冬は逆に寒さ対策をした方がいいかもしれない。
金属製のボックスが置かれていたので、小さい南京錠を持参して、これに貴重品を入れると良いかもしれない。僕は大きなスーツケースを持って行ったので、スーツケースに鍵をかけていた。
食事
3食付きが基本。昼はお弁当にできるので、岩場で食べられる。

朝食はバインミー(ベトナムのサンドイッチ)、麺類、あとはフライドライス?。好みがあれば、宿の人にリクエストしてもよい。それに東南アジアでよく見かける、フルーティーな小さいバナナが付く。
朝食の時間は7:30~8:00くらい。準備が出来たら呼んでくれる。

昼食の弁当は、朝ごはんを食べて、歯を磨いたりしている間に作ってくれる。
お米に野菜炒め、お肉など。3日間とも似たような感じではあったが、とても美味しかった。しっかり目の味付けも、運動中にはありがたい。

夕食は品数もボリュームも多い。とても美味しいのだが、残念ながら食べ切れない日が多かった。食後にはフルーツを出してくれる。
時間は18:30~19:00くらい。朝食と同じで、宿の人のタイミング次第。帰りが遅くなる時は連絡を入れたい。
3食付きで1人1泊450,000VND(約¥2,500)なのだが、日本だったらこの夕食だけでそれくらいしそう。ハノイのレストランで食べても安いと感じるが、それでもまだ観光客向け価格なんだろうな。
レストランで食べるのとはまた違った、田舎の家庭のベトナム料理。日本人の舌にもよく合うと思う。

ビールなどの飲み物は、冷蔵庫から勝手に取って机の上のノートに書いておき、最後にまとめて精算する。

値段はこんな感じ。近くの売店で購入し、冷蔵庫に入れて冷やしてそれを飲んでもOK。
水回り
近代的ではないが、よく掃除されていて不満なし。シャワーも水圧があり、ちゃんとお湯が出ます。



オートバイ
オートバイは、Mao Homestayで1台1日100,000VND(約¥560)でレンタル可能。

スクーターの形をしているが、スーパーカブと同じ自動遠心クラッチ。自転車に乗れる人であれば、その場で少し練習すればすぐに慣れると思うので、それほど心配はないと思う。バイク経験者が1人いると安心。
ヘルメットの着用義務はないそうなのでお好みで。フー・ロンはかなりの田舎なので、信号はまったくない。地元の人はバイク2台横並びでおしゃべりしていたり、スマホ触りながら運転していたり、かなり自由な感じ。追い越したりする時は、積極的にクラクションを使いたい。
日本と反対で、右側通行なのでそこだけは注意。道路は基本的に舗装されているが、ガタガタしている部分もあるので、スピードは出し過ぎないように。あと、エリアによっては田んぼの間の細道を通る必要があって大変。
実に東南アジアらしいのだが、貸してくれたバイクは日本だと整備不良で即捕まるレベル。スピードメーターは動かないし、4台中2台はヘッドライトが付かなかった(ヘッデン持ってたのでそれで対応)。
さらに、1台は2日目にエンジンがかからなくなり、そこからは3台体勢で、1台だけ2人乗りで対応した。今回はローシーズンだったが、ハイシーズンにはレンタルバイクの数が不足することもあるそうなので、その場合も2人乗りが必要かもしれない。
初日にバイクを借りた段階では、ほとんどガソリンが入ってなかったので給油所を探したが、見た目でそれとわかるガソリンスタンドはない。
町の人に聞いたりして、なんとか見つけた店?で給油できたので、Google Mapのピンを貼っておきます。


給油量を計っている気配はゼロだったけど、それぞれ満タンにしてくれて、1台50,000VND(約¥280)だった。
洗濯
夜、トイレの近くに置かれているカゴに洗濯物を入れておくと、勝手に洗って干しておいてくれる。
細かい料金システムはわからないが、柱に貼ってあるプライスリストには、50,000VND(約¥280)とだけ書かれてあった。飲み物と同じで、最後にまとめて精算。

この時期のフー・ロンは気温は高いものの、湿度もめちゃくちゃ高いので、1日だと綿のTシャツなどは乾かない。服は少し多めに持って行った方がよい。
寝室に持って上がり、扇風機の風を当てておけば、少しは乾きやすい。
買い物
宿が3食付きなので、他にはそれほどお金を使う場面はないが、岩場で飲む水などは町の中で簡単に手に入る。フルーツも安いので、買って岩場に持って行くのもよい。
小さな商店は、バイクで走っていると割とどこにでもある。

