名寄・見晴岩ロックトリップ

この記事は、2025年8月に行った、北海道は名寄・見晴岩でのクライミングツアーついて書いたものです。
今回のクライミング
このブログでも、すでに何度も書いている気がするが、夏がクライミングのローシーズンだということはわかっている。
蒸し暑く、雨が多い時期には、ジムでトレーニングした方が効率的だという意見にも納得だ。
それでも結局のところ、僕は外で登りたいのです。岩が好きなのです。
とはいえ、夏の間、ある程度快適に登れる岩場は限られている。なんだかんだ、瑞牆・小川山になってしまう。
前年・2024年のお盆休みも、5泊6日で瑞牆・小川山だった(以下の記事参照)。

しかし、せっかくの長期休みなのに、普段の週末に行ける岩場というのもなんだかな、と思っていた。
例えば10月頃に夏休みが取れるといいのだが、僕が働いている会社では、お盆の時期に一斉休暇となる。仕方ない。
瑞牆・小川山よりも高い標高帯で登れるクライミングエリアというのは、アルパインはさておき、ほとんどなさそうだ。そうなると、北に行くしかないだろう。
北海道の岩場でよく聞くのが、天国列車(5.12b)のある赤岩青巌峡。しかし、天候が不安定で、せっかく行ったのに染み出しでほとんど登れなかったという話も少なくない。
一方、見晴岩というエリアは、そういった面でのリスクは比較的小さいという情報を入手。調べてみると、壁は高さがありそうで、この点でも個人的には赤岩青巌峡より興味が湧いた。
ツアー計画
航空券
見晴岩は、新千歳空港からだと車で3時間以上かかる。旭川空港からなら2時間弱。
羽田からの便だと早朝出発が可能で、到着した日から登ることができる。しかし、航空券を調べてみたところ、お盆シーズンということでめちゃくちゃ高い。
こちらも決して安くはなかったが、ジェットスターを使えば少しは費用を抑えられたので、成田から飛ぶことに。
さらに、有休を1日くっつけ、帰りの便をお盆休み明けの月曜日にした。これだけでも1万円以上違う。
成田からの場合、フライトが午後になるので、到着したその日は登れない。さらに雨で1日登れなかったとしても、最低3日は登りたいと思い、4泊5日の日程にした。
行き
1h50m
帰り
1h45m
実際に飛んでいる時間は1時間半もない。沖縄に比べると、北海道って全然近い。
ジェットスターでは、受諾手荷物にもお金がかかる。機内持込手荷物は7kgまで(最近は持込手荷物も実際に重さ計られるので要注意)。クライミングツアーではさすがに足りない。
いざという時に日付変更が可能で、20kgまで受諾手荷物が預けられる、Flex Plusというチケットにした。
LCCは座席間隔が近く、僕のようなリーチクライマーにはやや狭いが、Flex Plusだと足元が広い非常口座席が選べる。また、機内での軽食と飲み物も付いてくる。
1ヵ月半ほど前に予約し、往復で¥37,440。
宿泊
見晴岩があるのは、名寄市というところ。名寄市街地から岩場まで、車で20~25分。
小さな街で、あまり観光客が行くような場所ではないが、飲食店・コンビニ・入浴施設などは一通りある。
名寄市内にビジネスホテルもあるようだが、我々は名寄駅の一駅となりにある、ゲストハウス日進をチョイス。
楽天トラベルで予約し、4泊5日¥17,200(1泊1人あたり¥4,300)だった。ゲストハウス日進については、下の方で詳しく書いてます。
なお、旭川市内から岩場までは1時間半~2時間ほど。他の岩場にも行く予定があったり、観光も絡める場合は、旭川をベースにするもの悪くはないと思う。

レンタカー
旭川空港から名寄駅までバスと電車で移動し、名寄市内でレンタカーを借りるという手もあるが、電車は本数が少ない。旭川空港で借りるのが無難だと思う。
ジェットスターの航空券を購入時、レンタカーもセットにするとやや割安。
今回は2人でのツアーだったので、コンパクトカーをチョイス。バジェットレンタカーで、¥34,320(ガソリン代は別)。
なお、見晴岩の駐車スペースは、未舗装の林道を5分ほど走った先にある。瑞牆の不動沢・カサメリに行く林道に比べるとずっとフラットなので、極端に車高が低い車でなければOK。
ちなみに、僕たちのレンタカーはトヨタのヤリスだったが、特に問題なく行けた(地面の草はこすってたけど)。
岩場解説
100岩に収録されている中では、日本最北端の岩場のようだ。
車でのアクセスと駐車スペース
岩場の駐車スペースまでのアクセスに関しては、こちらのブログを参考にさせていただいた。
「駐車場のGoogle Map」のリンク先は、林道の入口あたりだが、ここからは1本道なので迷う心配はない。

駐車スペースは7,8台くらいだろうか。今回はガラガラだったが、ハイシーズンの混み具合は不明。

アプローチ
駐車スペースのすぐ反対側が、岩場へと続くアプローチの入口。ピンクテープあり。

ずっと緩やかな登りで20分ほど。踏み跡はとても明瞭で、途中にもピンクテープが貼られているので、迷う心配はない。
岩が見え始める頃、踏み跡が二又に分かれている。右の踏み跡を行くと、「見張塔からずっと(5.14a/b)」の辺りに出る。岩場の右端に近い場所で、壁はここから左へ左へと続いている。左の踏み跡は、アンジェラ(5.11c)の辺りに直接繋がっている。

特にアプローチ序盤は、嫌な高さの熊笹で両側が覆われている。こんなところで熊が飛び出してきたら、熊スプレーを持っていても対応できないかもしれない。
車を降りる前にクラクションを鳴らす、鈴・ホイッスルなどの熊対策をお勧めします。
シーズン
滞在中の名寄市の最高気温は、27, 28℃くらいだった。帯広などでは、40℃を超える日もあると聞くが、道北エリアはそれなりに涼しい。
しかし、近年はやはり温暖化が進み、名寄でも30℃を超える日がそれほど珍しくないとのこと。クーラーを設置する家も増え始めているそうだ。
街の気温としては、小川山がある川上村と同じくらいだと思っておけば良いだろう。
しかし、見晴岩は街とそれほど標高が変わらないため、瑞牆・小川山よりは気持ち暑いかなという感じ。
また、岩場は全体的に南向きで、晴れた日は長時間陽が当たる。我々が登った2日目は快晴だったものの、ずっと強風が吹き、コンディションは悪くなかった。曇り+風だと、やや肌寒いくらい。
休憩スペースやビレイポイントは木陰が多く、夏でも割と快適だと思う。
なお、昼と夜の寒暖差が大きく、朝晩は20℃以下になるので、夏でも薄手の羽織るものがあると安心。
お世話になったゲストハウス日進は、他のクライマーもよく利用しているのだが、6月と9月が最も多いらしい。ただし、北海道の秋は短い。シルバーウィークに行ったら、朝はダウンを着ていても寒いくらいだったという話も聞いた。
暑いの苦手じゃなければ、お盆の時期でもそれほど悪くないと思う。
ルート
今回は限られたルートしかトライできなかったが、5.12以上に関しては20m以上ありそうな、登り応えのある長いルートが多い。
トポを見ると、短そうではあるが、5.10以下も結構ある。ただし、星付きの人気ルートは5.12以上に多いので、中級者以上であればより楽しめると思う。
5.13台は、スラッシュグレードも含めると、5.13aが4本。5.13の中盤から後半はないが、5.14もあるので、上級者にとっても魅力的な岩場だ。
傾斜は垂壁から薄被りが中心。ホールドはポジティブで、5.12台に関しては基本的に繋げ核心。リードクライミングらしい好ルート多数。
ポケットもあるが、カチの保持力が問われる岩場だと思う。下引きできるカチが多いので、ムーヴは割とシンプル。このあたりは好みが分かれるところかもしれないが、バラシは早いので、個人的にはツアー向きの岩場だと思う。
手で使う水平カチが良いフットホールドになるので、現代ジムクライマーにとっては登り易く感じるかもしれない。
僕の得意系ではあったが、5.12台に関しては、概ね1~1.5グレードくらい標準より甘く感じた。5.11台はそれほど登ってないけど、こちらは標準かやや辛めかも。
隣のルートとボルトが近く、ライン取りに悩む場合がある。
主要ルートに関しては、基本新しそうなケミカルボルトで、プロテクションの面では安心感があった。
岩質
100岩には、砂岩(安山岩質)と書かれている。
長く登られている岩場なので、新たにホールドがどんどん剥がれるといったことはないが、浮石は少なくない。
ガバガバアプローチのルート下部など、ランナウトしている部分は基本簡単だけど、一応注意して登りたい。
カチが中心だけど、花崗岩に比べると指皮には優しいと思う。
ツアーの様子とルート紹介
Day 1
東京北西部にある僕の自宅で、お昼頃にかいてぃーと合流。中央道から首都高を経由し、成田に向かう。
予約しておいたUSAパーキングに駐車。5日間で¥4,950。成田は羽田より駐車料金が安いので、その点では助かる。

あっという間に旭川へ。レンタカーを借りて名寄に向かう。

空港から30分弱のところにある、橙ヤ(旭川本店)で最初の北海道グルメ。これが標準的な旭川ラーメンなのかはわからないけど、とりあえず美味しかった。笑
旭川から少し離れるだけで、一気に人気がなくなる。暗い中、北海道らしいほとんど信号のない真っ直ぐな道を北へ。

セイコーマートで買い出しを済まし、21時半頃にゲストハウス日進に到着。
車で5分ほどの場所に、「なよろ温泉サンピラー」というお風呂があるそうだが、残念ながら21時で受付終了とのこと。
宿でシャワーを浴びて就寝。
Day 2
いよいよクライミング初日!なのだが、昨晩からかなりの量の雨。名寄のアメダスによると、トータルで25mmほど降ったようだ。

宿でモーニングコーヒーをいただいている内に、一旦雨は止んだので、ダメ元で岩場に向かってみる。
前日までは晴れの日が続いていたらしいが、昨晩からの雨で、さすがにこの日は偵察だけになると思っていた。
しかし岩場に着いてみると、なんと乾いている!
それも一部のルートだけ登れるとかではなく、ほぼ全ルート問題なし。
到着して間もなく、また雨が降り出したが、確かに雨粒は絶妙に壁には当たっていない。そこまで極端なオーバーハングではないので、なんだか不思議な感じだ。雨宿りしていても、少しでも岩から離れると雨が当たる。
つまりビレイヤーは濡れてしまうので、しばらく待ってからクライミング開始。
- ✅モグラの穴(5.11a), mOS
-
まずは、「現在見晴岩で最もポピュラーなルート」と100岩に書かれているルートでアップ。
モグラの穴 ルート名の由来になっている大穴は、取り付きからは確認できないが、となりの大きな岩の上に立つと見える。
下部は手のホールドは悪くないが、フットホールドが悪い。
一旦カンテの右側に出てしまったが、この面には「山田のタマル(5.11a)」という別ルートが引かれている。特に限定とかはないのかな?
レストしてから、モグラの穴を上手く使いつつ、再びカンテの左側へ。上部はホールドが細かく、保持力が要求される。
ライン取りが気になるのと、中間部で一旦ルートが途切れる感じだが、ややムーヴが単調になりがちな見晴岩の中では、ホールディングや動きの種類が豊富で確かに面白い。
体感グレードとしては、ちょうど5.11aくらい。
- ✅シェ・マリア(5.12b), 2go
-
まだ雨が降ったり止んだりなので、ビレイヤーもなるべく濡れにくそうなルートをチョイス。上部の大ハングが圧巻の迫力。
一番左がシェ・マリアのライン 下部はプチトマト(5.10a)を登る。ちゃんとムーヴを考えればガバオンリーで登れるが、テキトーに登ると悪いホールドを使うことになる。
シェ・マリアは、美しい垂壁に並んだ3本のうち、一番左側のルート。下の方で書いているが、真ん中と右の2本に関しては、ボルトラインが近くてどこを登るのが正解なのか悩ましい。一方、シェ・マリアは普通に登れば隣のルートは特に気にならない。
少なくとも僕のリーチでは、外岩では珍しいくらいに核心らしい核心がなく、真のエンデュランスルート。ただし、特に下部はホールドの距離が遠いので、背の低い人にとっては難しく感じるかもしれない。
掛かりは良いものの、それなりの薄さのカチが続く。ポケットも出てくるが、持ち感自体はそれほど悪くない。
上部は縦クラック。横引きのガバで、レストも出来るしたぶん落ちないが、バランシーで終了点まで適度な緊張感が続く。
プチトマトを登ってテラスに立ち、しっかりオブザベしてからオンサイトトライ。このフェイスはほとんど濡れることがないのだろう。チョーク跡はかなり明瞭だ。
かなり良いトライだったけど、縦クラックの少し手前でフォール。迷った挙句、かなり難しいムーヴとライン取りになってしまった。
ここはポケットを引く方向とスタンスがポイント。
2便目でRPしたが、似たようなカチが続くためか、思った以上にパンプした。それでも体感としては5.12a。
グレードはさておき、いきなり持久力勝負の好ルートが登れて嬉しくなった。
- ✅サンピラー(5.12b/c), 2go
-
続いても、よくトライされているらしい5.12b。
サンピラーのライン 終了点を除いて8クリップ。最初はアプローチだが、1P目が落ちちゃいけない高さなので安全に。
3P目にクリップ後、一旦両側を壁に挟まれたところで完全レスト。そこから6P目までも難しくない。再びしっかりレストして、6~7P間が核心。
僕は左手をピンチして、右手で遠いスローピーなポケットを取りにいった。リーチがない人は、繋ぎの悪いホールドを使う必要がありそう。スローパーを止めてから、7P目クリップまでの数手も悪い。
この核心で削られて、最後はガバカチが続く持久パート。ホールド自体は悪くないが、傾斜が増してきて、繋げると十分に落ちられる(かいてぃーは2便目で核心を抜けたものの、実際にここで落ちてた)。
終了点のクリップホールドは城ヶ崎を思わせるガバで、ヨレていると微妙に抜けそうで怖い。そこからさらにリップを止めて、マントルを返すこともできそうだった。
オンサイトトライは核心ムーヴが出ずにフォール。2便目でRPだったが、やはり思った以上にパンプ。体感グレードは5.12a。こちらはそれなりにしっかりとした核心がある分、シェ・マリアに比べるとオンサイトはややは難しめだと思う。
下部の岩がやや不安定なのが玉に瑕だが、見た目のインパクト抜群。100岩では二ツ星だが、十分に三ツ星クオリティ。
- ❌月の石(5.12d), 1go
-
このエリアのルートの中では珍しく、月の石は上部のクラックからの流れ込みで濡れていたが、午後になって太陽ガン当たり。おまけにここは風が抜けやすく、あっという間に乾いてしまった。
赤い線が月の石のライン 傾斜が強く、迫力のある前傾壁。その真ん中を登るラインで、この岩場を代表するルート。今ツアー最大の目標だ。
この日は時間的に1便のみ。翌日に向けて、ムーヴを確認しておきたい。
終了点を除いて9クリップ。4P目までは、ガバのクラックを登る。ここまでで、5.10+くらいで、一旦左に出てほぼ完全レスト。4-5P間を直上できればさらに良いラインなんだけど、そこだけチョーク跡もなく、僕にはブランクに見えた。
レスト後、6P目までは中強度。まずまずのレストを挟み、ここからビクトリーホールドまで、僕の場合10手ほどのエンデュランス。
最後は気持ちの良いウイニングランのあと、完全に立てるテラスに終了点。
それほど苦労せずバラせたが、結構無理やりなムーヴもあり、もうちょっと省エネしないと繋がらなそう。それでも、翌日に向けて感触は悪くない。
昨晩から朝までまとまった雨。岩場に着いてからも、お昼過ぎまで雨が降ったり止んだりを繰り返していたが、結局普通に登れてしまった。
初日としては成果も十分。どのルートも登り応えがあり、来て本当に良かったと、まだツアー序盤ながら嬉しくなった。
夕飯は、来る前から色々な人に「絶対行った方がいい!」と言われていたキングベア。


宿のオーナーさんもオススメしていた。これは確かに絶品!
食事のあとは温泉。「なよろ温泉サンピラー」は、数年前にリニューアルしたようで、とても綺麗な施設。

日帰り入浴は¥500。ゲストハウス日進だと、¥100引きの¥400でチケットが購入できた。
露天風呂があるとさらに良いんだけどな。サウナはあり。お湯はちょっと熱めだった(日によってムラがある?)。
ちなみに、ゲストハウス日進までわずか5分くらいの帰り道で、道路を横切るキツネを3頭も見かけた。運転には気をつけて。
マッサージガンで体をほぐし、YouTubeで月の石のウェブザベして就寝。

Day 3
クライミング2日目。朝は曇っているが、この後は1日を通して快晴予報!


この日は土曜日で、さすがに誰か登りに来ている人がいると思ったが、あいにく駐車スペースには1番乗り。
昨日は舗装路で熊を見た。こんな森の中だと、もっといる可能性が高そうだ。
幸い、熊には出会うことなく、今日も誰もいない岩場に到着。
- ✅私が好きだ(5.11a), mOS
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昨日に続き、人気の5.11aでアップ。「ガバでグイグイ登る好ルート」と100岩には書かれているが、出だしのホールドは明らかにガバではない。悪くて一度クライムダウンしたけど、大きな棚に足が上がれば、手はそれほど持てなくてもOK。
有笠山を思わせる立体的な岩で、小ハングを越えていく。出だし以外は確かにガバ、あるいはガバカチだが、傾斜があるので結構パワフル。
一様に被っている訳ではないので、意外に休めて、持久要素はそれほどない。
体感グレードはちょうど5.11a。
- ✅月の石(5.12d), 2go(計2d3go)
-
午前中は陽が当たらないので、涼しくて快適。
まずは昨日YouTubeで見たライン取りとムーヴを試す。かなり省エネになり、これなら次で登れそうだ。
一応しっかり休んでから2便目(昨日から合わせて3便目)。前半はもはやアプローチ。中間部のレストは、座れそうで座れないが、そもそもヨレてないのでまぁ問題ない。
6P目にクリップ後、シェイクを入れていざエンデュランスパート。
7P目クリップホールドのポケットを取る一手 この左手ポケット取りは、普通のリーチだと、右手でポケットすぐ下の悪いカチを使うが、ビッグムーヴで解決。
遠い右手ガストン 昨日はパッと見、僕でも届かないと思った遠い右手のガストン。上の写真を見ると、むしろ腕余ってる。
ビクトリーホールドを取る一手 8P目のクリップは飛ばした。最後は両手とも薄いカチから、左手のガストン止めれば実質終わり。
ここは右回りと左回り、2通りのライン取りがあるようだ。上の写真の赤で囲ったガバを使うのが左回り。昨日は左回りをやったんだけど、右回りの方が僕にはやや登りやすかった。
割と余力を残してRP。昨日の探りが上手くいっていれば、十分2撃できたと思う。他の5.12-よりは難しいが、体感としては5.12c。僕のリーチだと、Soft 5.12c。
グレードはさておき、見た目といい、内容といい、この岩場を代表するルートであることは間違いない。
- ✅モモンガ(5.12b), 3go
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翔ちゃんがオススメしてくれたルート。前年のツアーで惜しくもRPならなかったそうで、いざ敵討ち。
黄色線がモモンガのライン 月の石と同じ岩の、左カンテを登る。
月の石と長さはまったく同じだが、月の石がボルト9本なのに対し、モモンガは7本。ピン間隔が遠く、良いスパイスになっている。ただし、2~3P間のランナウトは結構緊張する。
分かれば下部は難しくなく、中間部の月の石でも使うレストポイントへ。これも特に限定とかはないのかな?
上部は各クリップ毎にシェイクはできるが、段々と傾斜が増してくる。最終中間支点の7P目の前後にやや悪いホールド。
オンサイトトライは、6P目のクリップ後にフォール。
その後サクっとバラシし、大してレストも入れずに2便目を出したら、なんと1便目より高度が下がった。笑
ちゃんと休んでから3便目。今度はかなり余裕を持ってRP。
最終クリップ後の核心 7P目クリップ後に小レストし、左手をやや甘いカチ、ハイステップから右手でガチャっとした小ガバを取る一手が繋げてくると落ちどころ。
月の石と違ってマントルがやや悪いが、ここはしっかり足を上げ、ガバに乗り込めばOK。
モモンガも前日に登った2本の5.12bと同じく、体感5.12a。
月の石の影に隠れがちなのかもしれないが、とても良いルート。サンピラーと見た目も構成も似ていて、クオリティも遜色ないと思う。
- ✅フェミニスト(5.11a/b), FL
-
翌日が雨予報ということもあり、最後に追い込みの1本。フェミニストがあるフェイスは、風はあまり通らないものの、午後の遅い時間は日陰になる。
最初の3Pはかなりのランナウト。落ちるところではないが、見た目よりホールドが外傾しているので慎重に。
上部の薄カチの数手がほぼ全て。綺麗な下引きで、握って引けるかどうか、ただそれだけ。持久要素もほとんどなくて、出来る人は一撃しやすく、出来ない人はそこだけやっても出来ない。
グレーディングが悩ましそう。スラッシュグレードは好きじゃないけど、そこだけなので5.11bはない気がするし、かといって5.11aとしてはわずか数手だが悪い。
グレード通りだと思います。
月の石やモモンガの周辺はかなり強い風が吹き(カメラの三脚が一度倒れてしまうほど)、日差しは強かったが、割と快適だった。
しかし、岩場はなんと一日中貸し切り。地元のクライマーさんも、夏はあまり来ないのかな?
無事にツアー最大の目標、月の石も登れ、今日も満足のクライミング。

夕飯は、ゲストハウス日進のオーナーがやっている韓国料理屋へ。宿の真横にある。
夜は予約のみなので、朝コーヒーをいただいた際、時間とオーダーを伝えておいた。
写真撮るの忘れたけど、メインディッシュとして僕は石焼ビビンバ、かいてぃーはプルコギ。あとサイドメニューでトッポギとチヂミを注文。さすが本場の味(オーナーは日本語ペラペラだが韓国の方)で、どれも美味しかった。
宿の洗濯機で服を洗ってから就寝。
Day 4
この日はほぼ1日を通して雨予報。初日の感じからすると、登ろうと思えば登れたんだろうけど、レストも兼ねて観光。
すでに成果も結構あるし、心に余裕がある。大人になったものだ。1年前の自分なら、たぶん登りに行ってたな。笑
コーヒーを飲みつつ、オーナーにプランを相談。1~10まで全部教えてくれた。
まずは下川町にある、桜ヶ丘公園(万里の長城公園)へ。

通り道なら寄ってもいいが、まぁ5分も居られれば良い方かな。笑
次は興部町(おこっぺちょう)にある、ノースプレインファームという乳業メーカーがやっているレストラン「ミルクホール」でランチ。


ここのハンバーグが激うま。あと牛乳は牛乳を超越した味なので、ぜひ飲んでみて欲しい。
かなり辺鄙な場所にあるが、なかなか賑わっていた。

ランチのあとは温泉。オホーツク海に面する雄武町にある、ホテル日の出岬。日帰り入浴は¥750。超オーシャンビューで、特に露天風呂が最高。
帰り道にまたミルクホールに寄り、今度はソフトクリーム。食べても太らない体質なので、思うがままに。

名寄に戻ってきて、宿のすぐ近くにある、サンピラーパークへ。ちょうど「なよろひまわりまつり」の最終日だったので、見に行ってみることに。


ヒマワリはだいぶ下を向いてしまっていたが、これは最盛期の晴れた日に来たら、相当綺麗だと思う。
夜はこれまたオーナーオススメの、「廻転すし きらら」に行く予定だったんだけど、まさかの臨時休業(お盆休み?)。ジンギスカンがうまいと聞いた、名寄駅近くの「サブちゃん」も日曜で定休日。
他の焼肉屋に行ってみたが、残念ながら求めていた味には出会えず。
名寄で過ごす夜は、この日が最後。グルメツアーとしては、宿題が残ってしまった…。
Day 5
あっという間にツアー最終日。この日は再び晴れ予報。休息はたっぷりなので、朝少し早めに岩場へ向かう。


この日はお盆休み明けの月曜日。しかし、初めて駐車スペースに先客が。ただクライマーではなくハイカーだった。見晴山(413m)に登ったのかな?
- ✅デスモスチルス(5.11a), FL
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最終日も5.11aから。このグレードの星付きルートが多い。
傾斜があるのに、ホールドは結構悪い。休みどころもあまりなくて、かなり腕が張った。
しかも下からだとホールドが分かりづらく、オンサイトトライだったら危なかったと思う。
他の5.11aに比べると1グレード悪く感じた。体感5.11b。
- ✅おおかみの桃(5.11d/12a), 2go
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初日にやったシェ・マリア(5.12b)の隣のライン。
黄色がおおかみの桃のライン 一番右の、夏の忘れ物(5.11b)とボルトラインがかなり近く、オンサイトトライはライン取りに迷っている内に、気付いたら落ちてしまっていた。うーん…。
100岩には、「中間のレッジからの数手がポイント」と書かれているが、このレッジがプチトマト終了点のレッジを指すのか、上部の中間部を指すのか分からない。バラした結果、ただのガバカチの持久系になった。リーチの問題?
2便目で大してパンプもせずにRP。体感5.11b。デスモスチルス(5.11a)の方が難しいかも。かいてぃーは夏の忘れ物(5.11b)も登ったが、そっちの方が難しそうだった。。。
特に地方は岩資源が限られているため、隣のボルトとの間隔は、どうしても近くなりがちなのかもしれない。
何か限定があるのかもしれないが、せっかく綺麗なフェイスなので、この壁はシェ・マリアともう1本の2ルートにして、右側が5.11bというのがしっくりくる気がします。
- ✅ニューサマーオレンジ(5.12a), 4go
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これまで登った5.12と異なり、短めのルートだが、100岩では二つ星が付いている。
ニューサマーオレンジのライン シェ・マリアなどがあるフェイスの下部に位置する。
終了点を除いて4クリップ。ガバガバの凹角に1P目があり、一度テラスに立つので、実質3Pのルート。
普通のリーチの場合、テラスから2P目のヌンチャクが掛けられず、マスターは地獄。背が低いと、ヌンチャクが掛かっていても地獄。
1便目はなんと、出だしのムーヴが解決できず。このツアーで初めての事態だ。ここに来てまさかの宿題!?
2便目でなんとか解決。ホールドは他の5.12に比べてかなり細かいが、下部はやや凹角なので、ステミング気味にできれば負荷が減る。
3P目あたりで、左手ガストンから、右手がややスローピーなサイドアンダー。この岩場では珍しいムーヴ。
3便目は上部でスリップ落ち。時刻は12時前。この日はフライトがあるので、14時頃には岩場を出なければならない。まだ時間はあるが、ツアーならではの緊張感だ。
思い切って長めのレストを入れようかと思ったが、もしそれで次の便でも落ちると、後がなくなる。
あまり間隔を空けずに4便目。今度は完璧で、しっかり決めることが出来た。
長さはないが、ずっと適度な緊張感が続く良いルート。この岩場の5.12としては珍しく、少し辛めだと思う。5.12bくらいかも。
この日は晴れてあまり風もなく、さすがに結構暑かった。
もう1本くらい登る時間はあったが、なるべく宿題は残したくない。少し早いが、フライト前に美味しいものでも食べようかということで、13時ごろ岩場をあとに。
この日まで「廻転すし きらら」は休みだっため、旭川に行き、北海道では超有名なトリトンへ。

16時頃に着いたので、さすがに入れると思ったら、まさかの27組待ち。これではフライトに間に合わない。平日のこの時間でこれは予想外。
2日続けて寿司は敗退。仕方なく、近くのはま寿司へ。まぁ普通に美味しいんだけどね。
ドロドロになったレンタカーを返却し、旭川空港へ。帰りもフライトはあっという間。
ただし、成田からの帰り道が意外に混んでいた。深夜の首都高は工事が多く、思いのほか時間がかかる。
23時半頃、東京都北西部の自宅に到着して解散。4泊5日、一緒に登って遊んでくれたかいてぃーに感謝。
ふりかえり
天気の関係もあり、クライミングは実質2.5日ほどだったが、合計で10RP。その内、5.12台が6本。
この夏は、マルチやトラッドを始め、久しぶりに山登りなんかもしていたので、登り込み不足がやや心配だった。それを考えると、成果としては十分。
見晴岩は思った以上に素晴らしい岩場で、5.12台は長さがあり、持久要素の高い好ルート多数。
他の気になるルートとしては、三ツ星のアンジェラ(5.11c)。今回は登らなかったエリア左奥には、星付きの5.12cが何本かある。下見だけ行ったが、また壁の雰囲気が少し違っていて(カチよりポケット多め?)、こちらも気になるところ。
そして何より、ビューティ・アンド・ブリリアント(5.13a/b)とパジャンカ(5.13a)。特にB&Bは見た目抜群(ランナウト具合も抜群)。グレード感が5.12台と同じなら、どちらも次のツアーで狙いたい。
暑くなかったと言えば嘘になるけど、お盆時期でも道北エリアはそれなりに涼しく、岩場は風が抜けて思ったより快適。結果的に他のクライマーさんとは会うことなく、ずっと貸し切りだった(熊対策の面では喜べなかったけど)。
ベースとした名寄市は、想像していたよりは何でも揃っていて、特に不自由はなかった。北海道には美味しいものがたくさんあり、温泉も最高で、レスト日も楽しめた。
泊まっていたゲストハウス日進では、色々な情報を教えてもらい、とてもお世話になった。次もここに泊まりたい。
ただ心配していた熊は実際に見ちゃったので、次回は鈴とホイッスルに加え、撃退スプレーも要検討。