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【谷川岳】芝倉沢BCスキー:そこにパウダーはあるんか!?

きい

山行日:2025年3月8日(土)

今回のBCスキー

先週末の平標山・西ゼン(以下の記事参照)に続き、サクライさんと一緒にゆきりんを連れ回すツアー。

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ここに来て再び冬型の気圧配置となり、ラストパウダーの予感。

週前半も南岸低気圧で雪が降ったが、途中から雨に変わってしまい、水曜日の時点では生コンストップスノー。その後、木曜から急激に気温が下がり、金曜の午前中にかけて降雪。

ラストパウダーチャンスという事で、Powder Searchで血眼になってパウダーを探す

しかし、思っていたほど積もらず、オグナや宝台樹では10cmほど。今回の降雪は湯沢側でも多くなく、アイスバーンの上に薄パウという難しいコンディション。

そんな中、谷川岳・天神平は金曜朝の公式発表で25cm。その後もさらに増えたようだ。

とにかく底突きすると難しそうな下地なので、積雪量優先で谷川に決定!それでもあまりにスティープなところは難しそう。ということで、以前から行きたいと話していた芝倉沢に行ってみることに。

降雪中は強い北風が吹いていたようなので、特に稜線付近はパックされてそうだが、溜まっている場所はきっとあるはず…。

ハイクアップと滑走の様子

ロープウェイが8:30からということで、朝はややゆっくり目。3月に入って関越の車も減ると思い、自宅をのんびり5時過ぎに出発したら予想外の渋滞。

8時過ぎくらいに駐車場へ到着し、2Fに止める。相変わらず暗い。そして予想通り車は少なくガラガラ。焦る必要もなさそうなので、のんびりと準備。

しかし、チケット売場がある6Fでエレベーターのドアが開いた瞬間にビックリ!

チケット売場の長蛇の列

めっちゃ混んでるーーーーーーー!!!

みんなどこに車止めたの!?経営が星野リゾートに変わってから、天神平はガラガラのイメージだったので、完全に想定外。

Mt.Tby星野リゾート

2022年10月、星野リゾートが谷川岳ロープウェーを買収。その後、リフト代は値上げを繰り返し、1日券はこの記事を書いている2025年3月現在、なんと¥9,000。さらには、スキーやスノーボードなどの滑走道具を持っている場合、1日券のみの販売となる。

ラストパウダーを求め、パウダージャンキーが集結したのだろうか?曇り予報ではあるが、高気圧に覆われて天気が安定しそうなこともあってか、登山者の姿もかなり多い。

さらには、除雪作業のため、ロープウェーの運行開始が遅れるという。そこまで降ったっけ?

しばらく待っていると、先に登山者からチケットの販売を開始するとのこと(ちなみに滑走道具を持っていなければロープウェイ単体券を購入可能)。ロープウェイは間もなく動くが、リフトはまだ時間がかかるようだ。

我々はスキーヤー、スノーボーダー(大半はゲレンデ勢)の長蛇の列に並ぶ。そうこうしている内に、リフトも運行を開始。ロープウェイに乗り、天神平へ向かう。

リフトにも長い列が

ふと上に目をやると、すごい数の登山者で渋滞している。先頭はなかなかの深さのラッセルのようだ。

ゲレンデも底突きなしで、大きなスプレーが上がっている。ぐぬぬ…いや、我々はもっと良い斜面を滑りに行くのだ…。

リフトを下り、少し滑ったところからハイクアップ。なんだかんだで、歩き始めが10時を過ぎてしまった!

Mt.T

予想通り天気は高曇りといった感じだが、谷川岳としては珍しく、風も落ち着いている。尾根上は大名行列状態だが、我々はサクサク行かないと時間切れになりそうなので、シールの機動力でどんどん追い越す。

しかし、ゲレンデはあんなにバフバフだったのに、尾根上はカッチカチ。やはり降雪中は強風で、雪がすべて飛ばされてしまったらしい。

数え切れないほどの登山者の中、BC勢は少数派。しかも、大半は早々にドロップしていく。見える範囲では、1mmもスプレーは上がっていない。その代わり、カリカリというエッジが氷を削る音が響き渡っている。下は雪が柔らかいのだろうか…。

雪がそんな状況なので、ハイクアップも斜度が増してくると、すぐにシール登行が厳しくなる。

シール登行を諦めたサクライさん
シートラアイゼンに変更

スキークランポンは使わない(そもそも持ってないらしい)主義のサクライさんは、エクストリームシール登攀でキックターンを刻んでいくが、すぐに行き詰って板を担いでいる。

シフトビンディング用スキークランポン
急斜面をスキークランポンで登るきい

ゆきりんと僕はスキークランポンを装着。最初は良かったんだけど、雪面が凸凹しているところでは刃が届かなかったりして、滑り落ちそうで怖い事この上ない。

スキークランポンが有効な場面は意外と限られていて、ザックの中でただの重りと化していることが多い気がする。なんだかんだ、板を担いだ方が手っ取り早い。

尾根上のハイクアップ
ここはシールよりスノーシューの方が楽かもしれない

結局ゆきりんと僕も、スキークランポンを早々に諦めて板を担ぐ。

ペツル-レオパード

今回はじめて、アルミの軽量アイゼンを使ってみた。以前は登山靴で昔使っていたクロモリを流用していたんだけど、なんといっても重い。BCツアーでアイゼンを使う場面て限定的だし、岩とのミックスでない限り、これで十分だと思う。

登山者の列に混じり、標高を上げていく。しかし、ゆきりんのアイゼンの調子が悪そうだ。

ゆきりんのアイゼンもレオパードなんだけど、「レオパード FL」という、コバのないハイキングブーツなどにも取り付けられるタイプ。

ペツル レオパードFL

これがスキーブーツとの相性が良くないらしく、すぐにズレてしまうらしい。

アイゼンとの格闘でお疲れのゆきりん
体が攣るゆきりんを嬉しそうに見守る男2人

なんとかトマノ耳に到着。時刻は13時前。時間的にはなんとか芝倉沢まで行けるが、ここからはアップダウンの繰り返し。ゆきりんのアイゼンの状態が心配だ。

肩の大斜面は見るからに雪がカッチカチで、死の滑り台の様相を呈している。マチガ沢は雪が柔らかそうに見えるが、やはりなかなかの急斜面。レインクラストの上に新雪が乗っているので、雪崩のリスクも低くない。

進むのも、ここから滑るのも大変な状況(芝倉沢も雪が良いとは限らないが…)。しかし、ダメ元でゆきりんのアイゼン紐の締め方を変えてみると、これが良い感じに。僕のレバーロックタイプに比べると、それでもガッチリ固定できている訳ではないが、ブーツから大きくズレることはなさそうだ。

トマノ耳から見たオキノ耳

ということで、予定通り芝倉沢へ向かうことに。時刻は13時過ぎ。すでにオキノ耳から引き返してくる登山者が多い。

一ノ倉岳へ続く稜線

オキノ耳から向こう側は、先ほどまでの喧騒がウソのように静か。というか、トレースすら一切ない。

稜線上を行く

雪は程良く締まっていて、アイゼンが効いて歩きやすい。踏み抜きもたまーにヒザくらいまでズボッと埋まるが、思っていたほどではない。

アップダウンはそれほどなく、ほぼほぼ水平移動といった感じ。先行者は誰もいないと思っていたが、茂倉岳付近に2人組の姿が。トレースは風で消えてしまったようだ。

稀にカニ歩きの方が楽なところも
雪庇にはあまり近寄らないように通過

ゆきりんのアイゼンはなんとか問題なさそうだが、なかなか一ノ倉岳が近づいてこない。オキノ耳と一ノ倉岳の間は、泣く子も黙る?一ノ倉沢。クライミングの対象であり、滑れる場所はない。ここまで来たら、なんとしても芝倉沢まで行く必要がある。

群馬側の雪庇の踏み抜きだけはシャレにならないが、新潟側の斜面はそれほど急ではなく、緊張を感じるような歩行ではない。基本的に体力勝負。

一ノ倉岳への登り

ようやく一ノ倉岳への登りに入る。なかなかの急登で、ザックに取り付けた板が重い。ちなみに、天神尾根で早々に板を担いでから、ここまでずっとシートラアイゼン。

シールで歩ける場所もあるんだけど、稜線上の雪はずっと硬く、モードチェンジがかなり頻繁になりそうだったので諦めた。

天気はやや下り坂。少しガスが湧き始めている。滑る場所は大オープンバーンなので、視界があるか心配だ。

歩いてきた稜線を振り返る
一ノ倉岳・山頂付近
一ノ倉岳・山頂付近
一ノ倉岳・山頂付近
一ノ倉岳・山頂付近

尾根が太くなってきた。なんとか一ノ倉岳に到着だ。トマノ耳から約2時間。長かった…。

ちなみに、ラストパウダー狙いということで、この日の僕の板はATOMIC BENT CHETLER 120。こんな長い距離で板を担ぐとは思ってなかった。笑

山頂付近の平らな場所でモードチェンジ。時刻は15時半前。ようやく滑走だ。光はないが、一応遠くまで視界はきいている。

尾根上を少し下ったところが一般的なドロップポイント。ここから滑る斜面は見えないが、太い尾根で雪庇もなく、プレッシャーを感じるようなドロップではない。

まずは僕から滑り込む。少なくとも稜線付近はアイスバーンを覚悟していたが、すでに雪は柔らかい。そして目の前に斜面が広がった瞬間、「でかーーー!なんじゃこりゃーーー!」

想像以上に広くて大きな沢だ。ずっと稜線上を歩いて来たこともあり、急な変化に距離感がおかしくなりそう。

雪はたまーにアイシーなところがあるが、期待以上のパウダー!斜度も気持ちよく滑れる範囲。途中、大きなクラックがあって肝を冷やした。落ちないよう慎重に通過。

沢のボトムに向かって滑って行くと、先ほど茂倉岳辺りに見えていた2人組のものと思われるシュプールが入っている。フラットライトのオープンバーンだったが、このシュプールのおかげで斜面が見やすくなって助かった。

ノドの付近まで長ーーーーく滑り、尾根の末端で一旦ストップ。2人に雪の状態や、クラックがあることを無線で伝える。

バックカントリーとトランシーバー

今回、ガイドツアー以外のBCで、はじめて無線機を導入してみた。「特定小電力」と呼ばれるもので、通信距離は長くないものの、免許・資格不要で使える。今回の滑走は割とロングピッチで、尾根挟んでお互いが見えない位置での会話もあったが、特に問題なかった。

概ね気持ちの良いパウダーなのだが、急にガリガリが現れるので、「気を付けて滑ってください」と。サクライさんから、「わっかりましたー!」と威勢の良い返答が返ってくる。

2番滑走のゆきりんは無難に下りて来て僕と合流。写真ではなかなか伝わらないが、圧倒的なスケールの大斜面。

真ん中にポツンと見えるのがスキーヤー

最後にサクライさんの滑走。「バックカントリーでは7割で滑る」というのが基本的な心構えだ。ゲレンデと違い、転んでケガをしてしまっても、すぐにレスキューが来てくれる訳ではない。

しかし、「山でも120%滑走」がモットーのサクライさんは、ドロップ直後からアクセル全開。急に雪が変わり、凍った部分でエッジが抜ける。

きい
きい

それ見たことか!てゆーか無線の意味ないじゃん!笑

幸い、クラックには落ちることなく無事合流。滑走順を入れ替え、次のピッチはサクライさんが先に滑る。

ノドの部分を滑るサクライさん
続いてゆきりん

沢ボトムも意外にパック気味ではあるが、十分楽しめる雪と斜度。

ノドを過ぎてもまだまだ気持ちの良い斜度が続く
なるべく安全なところでたまにリグループ
長いハイク後のご褒美に笑みがこぼれる

立て続けのロングピッチで、長いシートラで疲れた足が悲鳴を上げる。笑

心配していたデブリもそれほどではない。3月としては気温が低く、標高を下げてもしっかり雪は生きている。生コンストップだった先週の平標山・西ゼンとは大違いだ。笑

実質的な滑走はそろそろ終わりかなーと思い始めた頃、沢の本流から離れてトラバース。一番目に滑るサクライさんが、今日一の大きなスプレーを上げている。

最後に極上の雪と斜面

結果的にはここが一番良かった!吹き溜まったパウダーは、文句なしに柔らかい。シーズン屈指といっても大げさではない一本にフォー!

大満足の滑走だった

さて、しっかり楽しんだので頑張って帰りましょう。笑

地図にある巡視小屋?
湯檜曽川

もう斜度はほとんどないんだけど、雪が良いので板が走って割と快適。先行2人組のシュプールをありがたく使わせてもらった。

バックに一ノ倉沢

やがて右手に一ノ倉沢。圧倒的な迫力だ。稜線上で雪庇踏み抜いたらここに落ちます。笑

スノーシューで一ノ倉沢までハイキングする人も結構いるようだ。ここからはトレース多数。

湯檜曽川沿いを頑張って漕ぐ

地味なアップダウンが辛い。シールを貼るほどではなかったが、数カ所は板を脱いで歩いた方が楽だった。雪が多いため、渡渉は全く問題なし。

疲れた体に鞭を打って先に進む。あと少しで終わりという頃、緩い下りを滑っていると、スキーのトップが隠れていたデブリに刺さって強制急停止。体がくの字に曲がり、腹筋が攣って悶絶!

上で同じく腹筋が攣って苦しむゆきりんを見て笑っていたら、まさかの同じ災いが。笑

右手にベースプラザが見えてきて、もう少し進むと舗装路へ。ここからベースプラザまでの舗装路の登りが地味にキツかった…。

17時半頃、なんとか暗くなる前に駐車場に到着!やり切った!

除雪によってロープウェイとリフトの運行開始が遅れたこともあり、時間的にはギリギリだったけど、予定通り芝倉沢まで行って本当に良かったと思う。

芝倉沢は、「ハイク〇時間に対して滑走△分」といった物差しでは測れない価値があると思う。実際、谷川岳山頂から一ノ倉岳まではほとんど標高変わってないし。笑

少なくとも日帰りの場合、スキーの機動力がないと成り立たないルート。天神尾根の喧騒を離れ、静かな絶景の稜線歩き。

超が付くほどの急斜面も少なくない谷川岳の中で、ドロップポイントも含めてプレッシャーがそれほどかからない快適な斜面、北斜面がもたらす雪質、そして圧倒的なロケーション。

アプローチに時間はかかるけど、人気なのが納得のBCツアーコースだった。

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ABOUT ME
きい
きい
登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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