【有笠山】はじめての奥壁:のっぺらぼう(Day1)

クライミング日:2025年4月12日(土)
今回のクライミング
4月第2週の週末。先週の土日は蓮華温泉スキーツアー(以下の記事参照)だったので、2週間ぶりの外岩だ。

当日土曜は快晴予報だが、相変わらず雨の日が多く、石灰岩は状態が悪そう。ということで、久しぶりに有笠山へ行くことに。
前回の有笠は2024年7月末。今回はまだいなかったけど、以下の記事にヒル対策についても書いているので、ぜひご参考に。

有笠山ではこれまで色々なエリアで登ってきたが、モトハシさんがのっぺらぼう(5.13a)をやりたいということで、初めての奥壁に行ってきた。
東口・西口分岐前の大きな駐車場でkjarと乗り合わせ。西口の駐車スペースに8時過ぎに到着。我々が一番乗りだったけど、すぐに続いて何台か上がってきた。新しいエリア「タワー」は人気のようだ。
エリア解説
今回ははじめての奥壁だったので、アプローチなどについて備忘録的にメモしておきたい。
アプローチ
駐車スペースはサンダンスやタワーと同じで、西口登山口前に車を止める。車で上がってきた林道を少し引き返してからトレイルに入ると、すぐに偏屈岩。

偏屈岩を過ぎると、見上げる先に奥壁が。木に葉っぱがある時期だと見えないかもしれない。

マイナーエリアなので、踏み跡は不明瞭だったが、所々ケルンが積んであった。

ケルンを追いかけながら沢筋を上がっていく。落ち葉が多くて歩きにくい。
クライマーズレフトの小さな尾根に乗り上げ、その先で右にトラバース。

最後の方はかなりの急登だが、やや危ないところはFIXロープが張られていて非常に助かる。

木のハシゴを登ったところが各ルートの取り付き。
駐車スペースから20分くらいだったかな。思ったより近かった。ずっと登りなので、帰りはもう少し早いと思う。
居心地

木のハシゴを登ったところに平らなスペースあり。他のパーティーと重なることは少ないかもしれないが、恐らく7~8人くらいなら問題なく、非常に快適。
方位としては西向きだろうか。午前中は日陰だが、午後はもろに陽が当たる。朝はダウンを着ていたのに、昼からはビレイ中も半袖で、それでも暑かった。人が入れるくらいの大きさの岩穴がいくつかあるので、休憩中は一応日差しから逃れられる。
城ヶ崎・シーサイドや二子山・二段岩壁のように、明らかに気温以上の暑さを感じた。

眺めも良し。反対側に見えるのは何て山なんだろう?岩肌が見えているので気になる。有笠は至るところに登れそうな壁があるし、このエリアのポテンシャルはすごい。
岩質とルートタイプ

有笠はエリアによって結構岩質が違うように感じるが、奥壁はパスファインダーなどがあるフェアリーロックに近い気がする。ガビガビしていて、指皮には悪い。
このエリアに来る人の多くは、のっぺらぼう目当てなのかもしれないが、5.11台も割と充実している。
ルートにもよるが、下部はどっ被り、上部は薄被りで細かいホールドのフェイスといった構成が多そうだ。
有笠山ではリボルトが進み、まだ済んでいないのはジ・アーチと奥壁だけとなった。ちょうどこの記事を書いている週の土日、4/19,20にジ・アーチのリボルトが予定されているので、奥壁は最後となる。
各ルートのボルトはややサビが見られるものもあるが、極端に腐食が進んでいる感じではなかった。
✅つり師(5.10c), FL
まずはこのエリア唯一の5.10台でアップ。
下部はガバのアプローチだが、上部はかなり傾斜を感じる。実質的な長さはあまりないのに、思いの外パンプする。左手スローパーから、右手でガバを取りにいくデッドムーヴが核心だろうか。
グレードはちょうど5.10cくらいだと思う。
❌のっぺらぼう(5.13a), 3go
ルート解説
関東の四つ星ルートというと、二子山の任侠道や、御前岩のアスリーツボディが思い浮かぶ。どちらも週末には順番待ちが絶えない人気ルートだ。
そもそも、四つ星ルートの数は非常に限られているのだが、のっぺらぼうも貴重な四つ星の内の一本。にも関わらず、マイナーエリアにあるためか、トライしたという話はあまり聞かない。

終了点を除いて8クリップ。3P目までガバのアプローチだが、ここから6P目までがとにかく圧倒的な傾斜。
3P目から先も一見ガバに見えるんだけど、実はスローピーなホールドが多く、めちゃくちゃパンプする。バランシーなクリップも含め、4~5P目の間が特に難しい。

6P目にクリップして一旦ガバレスト。ここのホールドは、染み出していることが多いようだ。しかも足位置の関係で、窮屈な体勢を強いられる。
ここから第一核心。右手、左手ともにホールディングが悩ましいポケットの処理。
7P目にクリップして再びレスト。ここもガバではあるものの、スタンスが悪くてそれほど休めない。
力を使う最終8P目のクリップをこなしてから第二核心。細かいカチと悪い足でのデッドムーヴ。百岩には「上部カンテは使ってかまわない」と書かれているが、使ったところで簡単になる訳ではない。

最後は背中側から近づいてくる壁との凹角に入れるが、終了点まで気が抜けない。
ムーヴの組み立てが難しい下部のどっ被りから、上部は花崗岩のような細かいフェイス。ちなみに上部も下部に比べると傾斜はないが、しっかり終了点まで被っている。
核心とレストポイントのメリハリが効いていて、ムーヴも非常に多彩。構成としてはフェアリーロックの予感と似ているかもしれない。
百岩には「日本のどこに出してもはずかしくないルート」と書かれているが、これは決して大げさではなく、とても内容が濃い。ムーヴ作りが楽しいルート。
二つの核心はそこだけやっても決して簡単ではないものの、5.13で出てくるホールドやムーヴとして、特別悪くはないと思う。
基本的には繋げることに難しさがあるルートと言っていいだろう。
トライ
時間はかかったが、1便目で上まで抜けられた。テンテンではあるものの、一応出来ないパートはない。しかし、3P目までのアプローチを除き、核心以外でもどこでも落ちられる難しさ。
とてもワンデイできる感じではないので、この日はワーキングに終始した。しかし、2便目で早くもヨレを感じる。特に下部は傾斜が強く、あっという間に体幹を消耗する。このパートはホールドが乏しい上部とは対照的に、ムーヴの選択肢は多いので、最適化が必要だ。
上部はホールドが細かく、純粋な保持力が求められる。細かいスタンスでのハイステップもあり、一概にリーチがあった方が有利という訳でもなさそうだ。
3便目はすでに体が終わっていて、消化試合に近かった。下部のどっ被りは一日中日陰なんだけど、上部は午後から陽が当たって暑い。コンディションの見極めも難しそうだ。2つのレスト体勢を確認してこの日は終了。
グレード感については登れた時に書きたいと思うけど、初日の感触としては5.13aというより5.13bくらいに感じた。それくらい繋げるのがキツそうだ。
3人の中で唯一この日がDay2のモトハシさんは、惜しくも第二核心でフォール。「こんなにパンプしたの久しぶり!」と言っていた。
kjarは僕と同じでこの日が初めてだったけど、すでに繋げトライができるくらいの仕上がり。最近ますます強くなっている。
✅おじゃま虫(5.11c), 2go
ヨレ過ぎて、これ以上のっぺらぼうやっても印象が悪くなりそうだったので、お土産ゲットを目指しつつ追い込み。
のっぺらぼうを除き、唯一このエリアで星(二つ星)が入っているこのルートにトライ。
下部はアップでやったつり師と共通。中間部でつり師と分かれて右にトラバース。その先で一旦完全レストとなり、レスト後の2クリップが実質すべて。
下からのオブザベではどこが持てるのかよくわからず、オンサイト狙ったけど現場着いてもよくわからずフォール。
その後、バラシでやってもできない。なんとブランクパートを残したままトップアウト。
続いてモトハシさんがトライするもフォール。苦労していたが、ようやくムーヴを見つけた。
モトハシさんムーヴを使ってkjarがフラッシュ。その後、僕とモトハシさんも全く同じムーヴで2便目にRP。
百岩には「2本指ポケットでおもしろい」と書かれていて、確かにその通りなんだけど、難しさとしては2本指ポケットを取るまでが勝負だ。
ムーヴの構築が難しく、オンサイトの難易度は高め。それなりに悪いホールドの保持もあるので、わかれば簡単という感じでもなく、5.11cとしては難し目だと思う。
「クリップに注意」と書かれているが、わかればそれほど悪いクリップはなかった。つり師と分かれるところで水平クリップすると、かなりロープドラッグすると思うので、そのことなのかな?
ふりかえり
はじめての奥壁。肌寒かった午前中から一転、午後は暑さに強い僕でもキツかったが、眺めも素敵で良いエリアだった。
のっぺらぼうはたった3便でヘロヘロになってしまったけど、そのクオリティーはさすが四つ星。
最近、5.12台はそれなりにRPしつつも、5.13は色々と触り散らかしている。どれも今のところ1日ずつだが、のっぺらぼうは通ってRPしたいモチベーションがある。エリア的に、パートナーには苦労しそうだが…。
おじゃま虫はまさかの敗退かと焦ったけど、なんとか最低限のお土産ゲットできて良かった。
帰りはいつも通り、カントリーロードフロム1。米の価格高騰を受けてか、ライスお代わり無料ではなくなっていたけど、相変わらずの高コスパ。有笠で登っていたクライマーも大集合だった。笑
スキーシーズンも終盤に入り、帰りの関越は空いていて快適。もうすでに花崗岩触っているクライマーもいるけど、今から瑞牆・小川山行ってると夏遊ぶところがなくなりそうなので、しばらく有笠も悪くないかな。