【二子山】弓状エリア:岩場紹介

きい
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弓状での思い出

僕が初めて弓状エリアに行ったのは、本格的にクライミングを始めてから約半年後の2021年11月。

他の岩場で5.12前半がようやく何本か登れた頃だったが、ノースマウンテンに大苦戦。そんな中、弓状の強者たちがアップでノースマウンテンを登っているのを、憧れの眼差しで見ていた。

朝一だけ混んでいて、みんなのアップが終わってノースマウンテンが空いてきた頃を見計らい、いそいそとワーキングを開始したものだw。

2021年12月1日 ノースマウンテン

それから3シーズン、シーズン中は基本的に毎週弓状に通った。最初はパートナー探しに苦労することもあったが、通っている内に徐々に知り合いが増えた。ありがたいことに、「明日いますか?」と連絡すると、誰かしらビレイしてくれる人が見つかるようになった。

楽に登れたルートは一つもなく、20~30便、あるいはもっと苦労して登ったルートばかりだ(それでも弓状の中では少ない部類かもしれないが)。当時は弓状以外の岩場をあまり知らなかったし、クライミングってそういうものだと思っていた。

次第に僕も少しは実力がついてきて、アップでノース組の一員(久しぶりにやるとたまに落ちるけどw)になれたのも、弓状で登って弓状で強くなったからに他ならない。

僕の実力で(それほど無理なく)登れるルートは、ある程度登ってしまった感もあり、今は色々な岩場に行くようになった。ツアーで様々なルートを触る楽しさも覚え、最近は限界グレードに挑戦するよりも、ワンデイや長くても数日以内で狙えるルートを登ることが増えた。

しかし、それなりに色々な岩場で登った今でも、弓状は国内最高のスポートエリアだと思っている。

もっと実力をつけて、また弓状で高難度ルートに打ち込みたいという思いはあるが、このブログを始める前に登った弓状のルートについて、せっかくなのでまとめておきたいと思う。

弓状のルート

リードクライミングにおいて「良いルート」とは、どういうルートだろうか?

見た目、岩質、ムーヴの多彩さ、長さなど、色々な要素があると思うし、人によっても答えは違うだろう。

僕にとっての良いルートの第一条件は、「繋げることに難しさがある」ことだ。

たとえ30mの長さがあっても、終了点直前までの28mが5.10aくらいで、さらに岩棚にただ立って無限に休めるレストがあり、そこから初段の一手!というルートでは、繋げる難しさはほぼ皆無だ。実質2mのルートになってしまい、核心までの28mの重要性は極めて低い。

一方、同じ30mのルートでも、終了点直前までが5.11a、そこからあまり休めない(あるいは休むにも技術が必要)まま3級の核心だったらどうだろうか?バラシならすぐに核心を抜けられても、繋げトライで核心で落ち続けるワンテン地獄が容易に想定される。繋げて出来る核心ムーヴを作ることも重要だが、核心までの簡単な部分をいかに楽に登れるかが完登への鍵となる。

ザ・ワンテン地獄?の任侠道(2022年12月10日 ゆっきーさん撮影)

例えば、瑞牆のナイト・ディジィ・ダンス(NDD)、太刀岡山のカリスマ、城ケ崎のシンデレラボーイなどは、いずれも「繋げることに難しさがあるルート」だと思う。こういったルートは、それぞれの岩場を代表するようなルートである場合が多い。

弓状の素晴らしいところは、ほとんどのルートで繋げることに難しさがある、ということだ。「弓状」という名前の通り、岩の下部は傾斜が強いのだが、ここはガバ主体であることが多い。一方、傾斜が緩くなるルート上部でホールドが細かくなり、繋げると下部での消耗によって落とされてしまう。

石灰岩らしくコルネが発達していて、立体的なムーヴが楽しめる。立体的な岩の形状を利用し、ニーバーやステミングができるポイントも多いが、こういったレストには技術が必要だ。たとえノーハンドになれても、それと引き換えに体幹を消耗するので、いつまでも休める訳ではない。

弓状に通うクライマー

「激強クライマーしかいない岩場」というイメージを持っている人も多いかもしれない。確かに強いクライマーはたくさんいるが、全員が5.13, 5.14クライマーという訳でもないので安心して欲しい。

ただし、メインのルートは5.12以上が中心なので、RPグレードが5.10台だと、登れるルートは正直限られてしまう。

一方、「はじめての5.12はノースマウンテン」という人もいるので、5.11中盤~後半のRP経験があれば十分楽しめると思う。グレードに関わらず、一生懸命登っていれば、みんな応援してくれる。

サバージュ(2024年1月4日 ゆっきーさん撮影)

弓状クライマーの最大の特徴は、「登れるまで1つのルートに何度でもトライする」ことだ。何年もかけて限界グレードに挑戦し、1つのルートに100便以上というのも、ここではそれほど珍しくない。トライ日数が5日くらいは、「まだ始めたばかり」の部類だ。

また、以前は僕もそうだったが、シーズン中(一部の猛者は一年中…)は弓状しか行かないというクライマーも多い。

ボルダー要素が低く、持久ルートが多いためか、他の岩場に比べると女性クライマーの割合が高い気がする。

冬は寒さが厳しい二子山。そんな中でも弓状に通い続けるクライマーは「越冬組」と呼ばれる。実際のところ、1・2月のRP数は減るのだが、冬に頑張ったクライマーが春に花を咲かせる。

弓状の文化

これは賛否両論あるかもしれないが、弓状ではヌンチャクの残置が一般的に認められている。事実、シーズン中はずっとヌンチャク掛かりっ放しのルートが多い。

また、これも人それぞれではあるが、その日に居合わせた人同士でビレイすることもしばしば。シーズン中は毎週弓状に通うという人も多いので、自然と仲良くなる。1人でフラッと来て、「今日よろしく」というのもよく見かける。

弓状のイワヒバリは人懐っこい

いずれにしても、こういった文化が限界グレードにチャレンジしやすい環境を作っていることは間違いない。

弓状は国内ではかなり大きなエリアだが、端から端まで登っているクライマーを見渡すことができる。エリア全体から「ガンバ!」の声が飛び交い、誰かが長期間打ち込んでいるルートを登った時は拍手の嵐で、感動的な空気に包まれる。

一方、自分の限界に対して低いグレードをサクッと登るクライマーは「お茶濁しクライマー」と揶揄され、風当たりは厳しいw。

弓状のシーズン

その年やルートによっても変わるが、秋だと10~11月、春だと3~4月が一般的にはベストシーズンだろうか。

標高が1,000m近くあるにも関わらず、真冬でもそれなりに登れるのは、岩場がほぼ真南で日当たり抜群だから。このエリアの冬の晴天率は高いが、曇って風が吹くと極寒。

冬に都内で雨が降った日などは、二子だと雪になることが多い。駐車スペースへ続く林道は除雪されないため、四駆スタッドレスでなければ厳しいこともある。

弓状エリアは大きいといっても、幅数百メートル程度だと思うが、ルートによってかなり体感気温に差がある。ペトルーシュカの辺りは陽が当たり始める時間が遅く、また谷から吹き上げる風でかなり寒い。一方、二段岸壁は太陽光の反射?によるものなのか、かなり暖かい。ペトは登っていても寒いのに、二段岸壁ではビレイヤーもTシャツなんてこともある。

2021年11月6日 おいしいよー

僕はあまり5~6月に行ったことはないのだが、この時期は太陽の位置が高く、意外に日陰になる時間帯が長いらしい。例年、春に染み出しが多くなるタイミングがあるが、その後はまた梅雨入りまで登れる。

「ふりかえるな」は一番早く染み出しが始まる(撮影:2023年4月1日)

夏は全面染み出しになり、それがどのタイミングで乾くかは、その年の降水量によって大きく異なる。一旦シーズンに入ると、少々の雨ではすぐには染み出さない。

当日の雨には滅法強く、壁の強い傾斜に助けられ、クライマーだけでなくビレイヤーも濡れない。一日を通して本降りの雨の日でも、ずっと登れたという経験が何度もある。

一方、まとまった雨のあと、いつ染み出しが出てくるのかは非常に読みづらい。翌日の場合もあれば、1週間後の場合もある。土日両方晴れの週末で、土曜は岩が乾いていたのに、日曜行ったら濡れていたという場合もある。このあたりは弓状に限ったことではなく、石灰岩の岩場全般に言えることで、気温などにも左右される。染み出しのメカニズムは非常に複雑だ。

弓状のグレード

もともと二子山は、グレードが辛いことで知られている。弓状エリアでいうと、「おいしいよー」などが特に悪名高い?ようだ。

二子山のルートが収録されているトポとしては、100岩と関東周辺の岩場(ガメラ本)がある。この2つはいずれもデシマルグレードだが、一部ルートについては小鹿野クライミング協会から、フレンチグレードが提案されている。

弓状のフレンチグレード

ROCK & SNOW 093で、フレンチグレードにおけるスタンダードとして、悪魔のエチュード(6b)、ノースマウンテン(7b)、任侠道(8a)の3本が設定されている。また、二段岸壁でのリボルト・再整備に際し、各ルートの紹介文がフレンチグレード付きで記載されている。

僕は3回(2026年10月時点)スペインへの遠征を経験していて、ロデジャーなどの岩場で登ったことがあるけど、弓状のフレンチグレードとかなり近いと感じている。

御前岩や、同じ二子山の西岳(祠エリアなど)のルートも、フレンチでリグレードされている。御前岩や西岳は、弓状に比べると傾斜がないため、持久要素は低い。その分、ボルダー力が要求されるルートが多い。

ルートタイプが違うので、単純な比較は難しいが、特に持久力よりボルダー力に自信がある人にとっては、御前岩や西岳のフレンチグレードは甘く感じると思う。

小鹿野クライミング協会について

以下の記事で協会の活動などについて書いているので、よかったらぜひ読んでください。

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きい
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登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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