【城ヶ崎】サンセットRP!シンデレラボーイ

クライミング日:2025年1月4日(土), 5日(日)
今回のクライミング
2025年の初登り。スキーシーズンがスタートし、年末は旭川BCスキーツアー(以下の記事参照)。

正月は実家で過ごし、登り込み不足は否めないが、自宅のフィンガーボードやプランクでスキマトレ。
この冬は相変わらず、近年あまりないほど冬らしい冷え込みが続いている。そうなると外岩の行き先は一つ。ポカポカの城ヶ崎だ。
昨シーズンの宿題、シンデレラボーイを狙う。
シンデレラボーイ:ルート解説
シンデレラボーイ(5.13a/b)は、サザンクロス(5.12b)とチリコンカーン(5.12b)を繋げたルートとトポには書かれている。まぁ確かに間違ってはいないんだけど、この説明には言いたいことが色々ある!

まずは、この2つの5.12bについて解説しておきたい。
サザンクロス(5.12b)
城ヶ崎にありがちだが、出だしは難しくはないものの、1P目がめっちゃ高い。ナチュプロを使った方が無難(#4くらいのナッツ+スリングが使われることが多い)。
1P目クリップ直後から、力を使うカチの連続。
核心前でレストは出来るものの、ここもホールドは相対的に良いというだけで、ガバという感じではない。
ルート名の由来となっていると思われるクロスムーヴで取りにいく縦カチは、向きもかかりも悪く、体を返すまで効いてこない。
さらにそこから、パンプに耐えながらスラブに乗り上げる必要がある。ようやくルートの半分くらいだが、実質ここまで。上半分はわかっていれば落ちない。
核心だけやっても決して簡単ではないが、下部からずっと高い強度が続く持久系ルート。
これが5.12bというのは辛過ぎだろう。体感としてはSolid 5.12c。
2024年3月3日にRP(計2d8go)。
チリコンカーン(5.12b)
3P目までは傾斜もなく簡単な上、ここで一旦完全レストできる。ルーフ部分のホールドは悪くないけど、かなり傾斜を感じる。
4P目にクリップしてもう一度シェイク。このレストもホールドは良いものの、足位置が奥になるので体幹を消耗する。
核心はいくつかムーヴが考えられるけど、いずれにしても悪いホールドでのトリッキーなムーヴ。核心だけやっても結構難しい。
ルーフ部分でやや消耗はするけど、持久要素はあまりなく、基本的には核心にグレードが付いているという感じ。
そうなるとグレーディングは悩ましそうだが、体感はHard 5.12b。それだけこのルートの核心は、5.12bとしては難しい。
2024年3月2日にRP(計2d4go)。
シンデレラボーイ(5.13a/b)
最初の「5.12bを2本繋げたルート」という説明で、「ずっと一定強度が続く」とか「5.13にしては簡単そう」と思われた方もいるかもしれない。
しかし、上で書いたそれぞれのルート解説で、ちょっと様子が違うと感じていただけたのではないだろうか。
加えて、シンデレラボーイには、2つのルートを結ぶオリジナルパートがある。庇のように岩がせり出した部分のトラバース。
ここはリーチ差が出やすく、小柄な女性などは足がつま先立ちのようになる。また、背が高い人は庇の上のスラブ面にあるホールドも使えるのだが、これは人によってはそもそも見えない。
トラバースの先にチリコンのレスト。チリコンでは下部でほとんどヨレないので、ここではそれほど休む必要はないのだが、シンデレラの場合は話が別。
シンデレラ完登のポイントは、チリコンのレストで回復できるかどうかだ。つまり、サザン+トラバースを、チリコンのレストで腕を戻せる程度のパンプで抜けてくる必要がある。
そこだけやっても難しいチリコンの核心が、サザン+トラバースから繋げることで、さらに難しくなる訳だ。「シンデレラは4級がずっと続く感じ」という話をどこかで聞いたが、それはさすがにイキリ過ぎだろう。笑
チリコンのレストはガバではあるものの、足位置の関係で体重が腕にかかり、思ったほど休めない。背が低い人の場合はなおさら。核心もムーヴはいくつか考えられるが、ホールド自体がかなり悪いので、極端に負荷が軽くなることはない。
誤魔化しが効かず、純粋な保持力と持久力が求められるルートだ。
サザンとチリコンをそれぞれRPした翌週の2023年3月9日,10日の2日間、計8便出したものの繋がらず。8便中3回くらいはチリコンのレストまで行けたんだけど、その時点でHP残りわずか。核心で惜しくもなくフォールしていた。
Day1(Saturday)
到着時点では曇りだったが、予報通りすぐに晴れてきた。気温はこの時期としても低め。自分にはちょっと寒かったけど、フリクションを考えると普通の人にはグッドコンディションだったかも。

そこそこの人出だったけど、アプローチの懸垂渋滞もなし。僕は初めて来たのが昨年なのでわからないけど、以前ほどシーサイドは混まなくなったと聞く。
✅風に吹かれて(5.11a), Re
アップでよく登られてる感じのルート。5.10台クライマーの目標ルートでもある。
久しぶりに触る皿ホールド。相変わらず1P目が高いのに、それほどガバじゃなくて怖い。
ライン取りによってグレード感が大きく変わるルート。一番下で右にトラバースするのが楽なのかな。
昨シーズンはかなりパンプしながら登ってた記憶があるけど、それほど腕も張らず。グレードも辛く感じてたけど、この日はちゃんと5.11aに感じた。
❌シンデレラボーイ(5.13a/b), 5go(計3d13go)
昨シーズン、すでに一通りムーヴは作っていたので思い出し便。2便目までで一通り再現できた。
サザンとトラバースは以前より明らかに楽になっていて成長を感じる。一方、チリコンの核心は相変わらず悪い。これホントに繋がるの?
3便目から狙うも、サザンの出だしでフォール。ここも結構難しい。
4便目はトラバースでフォール。サザンのレストまでですでに結構ダメージがあり、リーチのある僕にとってはバラせばそれほど難しくないトラバースも、繋げると苦しい。
この日の最終5便目。今度はサザンのレストでかなり余裕があり、トラバースも問題なく抜けた。昨シーズン、チリコンのレストまでたどり着いた時に比べると、明らかに力が残っている。それでもチリコンの核心ができるまでは回復せず、敢えなくフォール。
いや~、これやっぱ相当難しいわ。
途中でK井プロのデモンストレーションを拝見。僕が少しでも早く先に進みたいパートでも、余裕でシェイクを入れている。まぁ、シンデレラ往復しちゃう方ですからね…。
まだ日が短い時期なので、夜はたっぷり時間がある。あまりムーヴに改善の余地があるようには思えなかったけど、宿でヒマだったので、youtubeでシンデレラの完登動画を見てみる。
チリコンの核心は、大体みんな似たようなムーヴだが、だいち君だけ他の人と違うムーヴをしている。これは彼の保持力がなせる業なのか、それともリーチによるものなのか。前者だとしたらアウトだ。笑
明日の1便目はとりあえず自分のムーヴでやってみて、落ちたら試すだけ試してみよう。
Day2(Sunday)
朝からよく晴れている。気温も昨日より高めで、昼間は休憩中もダウンを着ていられないくらい暑かった。


昨日より人は少なかったが、グレード調査官のTKDや、レッドリバーで5.13cオンサイトしたとーや君も来ていて楽しい岩場だった。
✅タイトボーイ(5.10d), FL
ロクスノ106号のテストピース企画で、5.10dの参考ルートに挙げられているタイトボーイ。ちょっと気になったのでやってみた。
前半はクラックが走った凹角を、ステミングで上手く体重を殺しながら登っていく。ホールドは結構悪いので、ムーヴがしっかり出来ていないと登れない。
中間部で完全レストを挟み、上部はかなりのオーバーハング。ホールドは基本ガバだが、やはり城ヶ崎のガバで若干スローピー。結構パンプした。
これは初心者なかなか登れないですよ。5.11aくらいに感じた。
それにしても、見た目も内容も良いルート。なんで今までやらなかったんだろう。笑
✅シンデレラボーイ(5.13a/b), 6go(計4d19go)
1便目から狙うも、やはりチリコンの核心でフォール。ポンピングで登り返し、早速だいち君ムーヴを試す。劇的に楽になる訳ではないが、ややこっちの方が楽そうだ。思い切ってムーヴ変更。結果的には、この判断が大きかったと思う。
元々のムーヴは、チリコンをRPした時のもの。レスト後、右足ヒールで右手を小スローパー、左足キョンで左手をクロスムーヴでカチへ。


ちなみに、この左手カチは5.12bで出てくるホールドとしては相当悪い。他にもいくつかカチがあり、コツコツと繋いでいる人もいるが、ホールドとしてはさらに悪くなる。
さて、だいち君のyoutubeで見たNewベータ。右足をヒールしていたところを左足で踏み変え、一旦小スローパーをマッチしてから左手カチ。ここからは同じで、右足を一つ上げ、大スローパーにデッド。



元々のムーヴでは、クロスでの左手カチ取りもキツかったのだが、そのあと体を返すのも大変だった。Newムーヴではまず左手カチ取りが楽になり、さらに大スローパーを取るムーヴにスムーズに繋げられる。
2便目。1便目よりも余力を残してチリコンのレストへ。しっかり休み、いざNewムーヴ発動。左手カチが止まる。そして、大スローパーも止まった!

が、わずかにスローパーを叩いた手が浅かった!

振られに耐えきれずにフォール。歓声が溜息に変わった瞬間。笑
せっかくなら決めたいトライだったが、やはりNewムーヴは良さそうだ。一気にRPが近づいた。
しかし、3・4便目はなんとサザンの出だしでフォール。5便目はなんとかチリコンのレストまで行くも、すでにドパンプ。核心で惜しくもなくフォール。
・・・・・・!?
これはあれだ。完全に体が終わってしまった。基本的には落ちたら探らず、そのまま下りてたんだけど、基本カチで同じ筋肉ばかり使うルート。傾斜が強く、体幹もかなり消耗する。
一方で、モトハシさんはこの日早々にRP。
1便目に大してムーヴも探らずトップアウトしたとーや君は、2便目もトラバースで行ったり来たり。ここだけで僕より10手くらい多く、さすがにチリコンレストでは戻らないだろうと思ったけど、あっさり核心を抜けてRP。これが5.13cオンサイトの実力か!
陽が沈みかかり、一気に寒くなってくる中、ほとんど可能性を感じない6便目。
サザンのレストまで、ほとんどパンプしていない。・・・・・・?
トラバースではシェイクを入れる余裕まであった。不思議な気持ちの中チリコンレスト。少し手が悴むので、首を触って温める。
核心の左手カチ取りも完璧。そして今度は足も切れずに大スローパーが止まった!
その後、クリップを挟んでからさらに次のクリップまでは落ちられる強度。繋げたらかなりキツイだろうなと想像していたけど、意外に余裕があった。核心に比べたらホールドは良いので、レストしなくても勝手に腕が戻る。最後は簡単だけど、でも簡単過ぎないウイニングラン。
出来てしまった…。さっきまであんなにヨレヨレだったのに、なんで登れたのか全く分からない。
ちょうど終了点に辿り着いたタイミングで陽が沈んでいく。忘れられないRPになった。
そしてなんと!このRPトライをかいてぃーがチェシャネコの終了点から撮影してくれた!
トラバースから核心にかけて徐々にカメラに近づいてくるアングルで、グレードには関係ない部分だけど、最後のウイニングランでは海が見えてくる。そして終了点越しに沈んでいく夕陽。自分で言うのもなんだが、映画のエンディングシーンのようではないか。笑
いつもの正面から撮ったバージョンはこちら。
シンデレラボーイ:グレード感
100岩では5.13a/bとなっているが、普通に5.13bでいいと思う。
ガメラ本には、「ムーヴそのものは5.12前半クラスなので5.13入門に取り組む人が多い」なんて書かれているが、最初の5.13でこれ登るのは相当大変ですよ…。
上で書いた通り、まずサザンが体感5.12c。そして、サザンをRPするよりトラバース後のチリコンレストに辿り着く方が難しい。僕のリーチだと半グレード差ぐらいかもしれないけど、普通の身長なら1グレード差あるんじゃないかな。
チリコンの核心は2級だろうか。少なくても4級ではないと思う。笑
つまり、5.12d→レスト→2級のルート。ザ・ワンテン地獄の構成。最後の2級で2グレードは上がるだろう。
最近登ったルートでいうと、城山のケレンジ(5.13a)よりは明らかに難しい。核心はケレンジの方が難しいけど、繋げる難しさが全然違う。
小川山のちゃびんば(5.13b)とちょうど同じくらいだと思う。
でも、持久力がある人からすると、チリコンレストで十分回復できてしまうのだろうか。
とにかく、リードクライミングらしい構成の持久ルート。オススメです。
ふりかえり
正月明け、今シーズン初登り・今シーズン初の城ヶ崎で、昨シーズンの宿題を無事回収。
やっぱりなんであの状態で登れたのか分からないが、過去にも1度だけ同じような経験がある。
2022年11月13日、二子山・弓状エリアのおいしいよー(5.12c)を登った時のこと。この日は連登2日目で、土日でそれぞれ4便ずつ。いつ登れてもおかしくない状態ではあったが、日曜の3便目ではヘロヘロで高度が下がったのに、なぜか最終便で登れた。
今回と同じように、終了点では狐につままれたような気分だった。
夕方になってSFTに入ってたとか、ダメ元で気楽な気持ちだったのがプラスに働いたのかもしれないが、どんな時でも諦めなければ可能性はあるということ。こういう完登があると、リードクライミングはますます楽しい。
2025年のクライミングライフ、素晴らしいスタートが切れた。