【白河不動岩】再訪!5.10~5.13まで色々触った(岩場詳細解説あり)
クライミング日:2024年11月9日(土), 10日(日)
今回のクライミング
先週末、小川山でちゃびんばをRPし(以下の記事参照)、晴れて花崗岩シーズンアウト。
そろそろ奥多摩周辺の石灰岩シーズンだけど、日曜の関東圏の天気がよろしくない。北の方に行けば晴れそうだったので、1泊2日で福島の白河不動岩へ。
初めて不動岩へ行ったのは、今年の3月31日で、今回は2回目。その時は前日に他の岩場で登り過ぎ、朝からヘロヘロだったこともあり、登れたのは看板ルートのマスター・ワン(5.12b)1本に留まっていた。
今回は体のコンディションもバッチリ。5.10~5.13まで色々触って遊んだ。
岩場解説
概要
ロクスノVol.103で発表され、一気に知名度が上がった岩場。発表直後の2024年GWは、かなりの数のクライマーで賑わったらしい。
白河というと、甲子園の優勝旗が越えるとか越えないとか言われていた場所。かなり遠いイメージだったけど、福島とはいえ栃木との県境なので、都内から日帰りも十分可能。
駐車場からのアプローチも近く、平らで快適な広場あり。様々なグレードのルートが揃っていて、初級者から上級者まで楽しめる。
そして何より、開拓者をはじめ、ローカルの方たちが他地域からのクライマーを快く受け入れてくれている印象。本当にありがたい。
車でのアクセスと駐車場
日の出IC付近のモトハシさん宅から、休憩を除いて2時間半強。距離はあるけど、東北道は空いていて、120km区間もあるので思ったより早い。
小川山+αといった感じ。日曜の帰りなどは、小仏トンネルの渋滞を考えると、不動岩の方が早いと思う。
ただし、ガソリン+高速代は結構高くなるので、できれば泊まり&3~4人で行けると良い。
「聖ヶ岩ふるさとの森 ビジターセンター」に近付くとやや道が細くなるけど、ずっと舗装路なので、車高の低い車でも問題なし。
キャンプ場の駐車場を利用可能。キャパがあるので、満車の心配はまずなさそう。
ビジターセンターの綺麗な水洗トイレを使わせていただいた。
アプローチ
尾根まで登ってまた下りて行く感じ。10分くらいの楽なアプローチ。
前回行った時に比べ、やや急なところはFIXロープで整備され、クライマーの数が増えたことで地面も踏み固められた印象。雨後はややぬかるみそうな感じ。
エリアはコンパクトに一箇所にまとまっている。
メインエリアの不動ハングの前に平らな広場があり、居心地は良い。
シーズン
南向きの岩場だけど、周辺を木々に囲まれていて、木陰は多い。基本的には春と秋の岩場だと思う。瑞牆・小川山よりは暖かいけど、御前岩よりは寒い。
朝一から陽が当たるルートが多いけど、14~15時くらいには太陽が隠れる。
ルート
15m前後のルートが多い。高グレードが並ぶメインエリアの不動ハングは結構被っているけど、垂壁やスラブもある。
それぞれのルートに個性があり、その質も高い。5.10以下から5.13台まで揃っているので、レベル差のあるメンバーで行っても楽しめる。
グレードは標準よりやや甘めかな。
トポはロクスノ103号か、ネットからPDFでダウンロードも可能。
岩質
甲府幕岩と同じ凝灰岩らしいけど、また少し違った印象。ガビガビしていて、細かいながらも掛かりが良いホールドが多いかな。
結構脆くて、新しい岩場ということもあり、まだホールドが欠けることは多々ある。クライマー・ビレイヤー共々要注意。
周辺情報
かなり田舎のため、白河IC付近でもコンビニや飲食店はそれほど多くない。ICからビジターセンターへの道中にセブンイレブンあり。
岩場も含め、携帯の電波が入りづらいところが多い。
宿泊
駐車場があるキャンプ場にテント泊可能。バンガローもある。
Day1(Saturday)
モトハシさんちに5:30集合。2回休憩&買い出しして、8:30に駐車場着。
✅サンダンス(5.12b), 3go(計2d6go)
まずは前回の宿題から。
最初はガバガバのアプローチで、そこからカチ中心の右トラバース。ホールド自体は悪くないんだけど、気付いたら左右の手が逆になっている。
カンテに出てからも、滑りそうな足とバランシーなムーヴ。
この日の1便目で、アップ兼ヌン掛けしつつムーヴ再確認。2便目はカンテでスリップ落ちしたけど、3便目でかなり余力を残してRP。
終盤までこれといったレストポイントがないストレニ系だけど、登れた便では不思議とほとんどパンプしなかった。ムーヴの5.12bといった感じ。
ルートの見栄えも良く、絶妙なライン取り。ムーヴ作りが楽しい好ルート。質の高いルートが多い不動岩の中でも、これまでトライした中では一番オススメ。
✅たたらの剣(5.12a), mOS
登りやすい5.12aという話を聞き、オンサイトを狙うため、絶不調だった前回はトライを見送っていた。
特別悪いホールドやムーヴはないけど、前半は傾斜が強くて腕が張る。
中間部のマントルが核心で、そこを越えれば一旦レストできるけど、後半もホールドの向きが悪く、終了点まで気が抜けない。
チョーク跡がしっかり残っていて、地面から上部のホールドも確認しやすいので、じっくりオブザベしてからトライ。
ポカポカだったサンダンスの裏側にあり、思いのほか岩が冷たかった。途中で手の感覚がなくなり、足も切れたりしてグダグダだったけど、なんとかオンサイト。
グレードは正直甘めだと思うけど、マスターで登れたのは嬉しい。
✅慈眼(5.12d), 2go
下部は非常にスタンスが悪い中で、サイドホールドへのダイナミックなムーヴ。途中で大レストできるけど、リーチがない人には終了点前が核心。
背が高い人は5.12cくらいに感じそうだが、ムーヴがあって面白い。
1便目はテンテンで、しかも下部に2カ所ほどブランクあり。とても2撃という感じではなかったけど、会心のトライでなぜか登れてしまった。
Day2(Sunday)
宿泊は岩場から30分ほど離れたペンションで。朝はコンビニ寄りつつ、7:45頃に駐車場着。
✅ドッペルゲンガー(5.10d), mFL
傾斜は垂直よりやや寝ている感じ。スタンスが悪く、チョーク跡もほとんど無くてライン取りも悩ましい。
壁が立体的で、段差を乗り越える部分が難しいかな。
朝から陽が当たり、特に上部は暖かいのでアップにおすすめ。
❌Upsilon(5.13b/c), 3go
小林由佳さん初登のルート。ロクスノ表紙の印象的なイプシロンムーヴがカッコいい。
左隣の大阿闍梨(5.13b/c)と並び、少なくとも現時点ではエリア最難だが、ルートのタイプは大きく異なるらしい。
ボルダリーで強度のある核心を持つ大阿闍梨に対し、Upsilonは繋げ核心。どちらが難しいと感じるかは、得意不得意によるとのこと。
ルート解説
さて、Upsilonのルート構成について。4P目までは難しくないけど、決してノーダメージではない。
5~6P目のあたりで件のイプシロンムーヴ。
この右手ガストンから7P目までは、大きく分けて2通りのライン取りがあるみたいだけど、いずれにしてもここが第一核心。
さらに傾斜が増した中で中強度が続き、8P目クリップ後にガバとは言い難いホールドでのレスト。
そこから左手カチを取り、距離のある右手ガストンデッドの第二核心。多くの人は、繋げて来てここでひたすら落とされるらしい。
その後も、終了点まで落ちられる難易度。
5.13b/cとして、特別悪いところはないけど、ワンテン地獄が容易に想定される。
トライ
第一核心を除き、1便目で一通り出来ないところはない。テンテンながらトップアウト。
しかし、2便目でも第一核心は解決せず、3便目でやっとそれらしいムーヴが作れた。
全体的にホールドの距離が遠く、特に第二核心はリーチが活きそう。ただし、第一核心の一般的なムーヴは窮屈で、僕はみんなが踏んでいるところより下の足を使ったら一応上手くいった。
とはいえ、繋げて第二核心ができるイメージは全くない。すでにヨレヨレで、とてもこの日RPできる感じではなかったので、3便目でヌンチャク回収。
ルートの内容は素晴らしいので、強くなってまた戻って来たい。
✅帰らざる波(5.11d), OS
ここからは追い込みモード。かいてぃーがヌンチャクを掛けていたルートにトライ。
下から見てすぐにわかる、上部核心ガツン系。
実際に登っても、終盤までガバガバ。最後にどんな核心が待っているのか不安になるが、意外にムーヴはシンプルで、カチが持てればそれほど難しくない。
登りやすい5.11dだと思う。最後のスラブが結構怖いけど。
✅栄冠は君に輝く(5.11c), 1go(計2d3go)
サンダンスと同じく、前回の宿題。
要所要所にガバはありつつも、出だしから結構細かいホールドを繋いでいく。中盤で強度のある核心。
上部はやや易しくなるが、下から繋げると落ちられる。終了点前のライン取りも、初見だと悩ましい。
前回のわずかな記憶を頼りにマスターでトライ。2連登の最終便でヨレていたのもあるけど、かなりギリギリだった。
この岩場では珍しく、グレードはやや辛めだと思うけど、内容が濃くてこちらもオススメ。
ふりかえり
2回目の不動岩。1回目は絶不調でよく分からなかったけど、全体的に僕の得意系だった。そしてやはり良い岩場。
今回は十分な成果だと思うけど、嬉しさ7割、悔しさ3割といった感じ。来年以降になりそうだが、Upsilonは必ず再挑戦したい。大阿闍梨もやってみたいなぁ。
まだプロジェクトのルートもあり、5.13台はさらに増えそう。コンパクトな岩場だが、とてもポテンシャルが高い。まだまだ今後も楽しめそうだ。