【瑞牆】大雨翌日のカンマンボロン
クライミング日:2024年7月13日(土)
アプローチなど
今回のクライミング
メンバーはかいてぃーと僕の2人。
はじめてのカンマンボロンに向かう。国内屈指の高グレードエリアだが、まずは比較的手頃なスポートルートを狙いたい。
砂の塔(5.12a)、LIFE LINE(5.12a)あたりがターゲット。
アプローチ
チップの駐車場に車を止める。ここからパノラマコースという登山道?ハイキングコース?に入る。
このパノラマコースは瑞牆山頂に続いているらしい。登山者にとってメジャーなルートではないと思うが、カンマンボロンの梵字を見に行く人もいるようだ。
駐車場からカンマンボロンのクライミングエリアまでは40分弱くらい。帰りは30分もかからなかったと思う。
パノラマコースは木に巻いたリボンを追いかけて歩いていけばよく、とても明瞭。最後はやや急登だけど、非常に歩きやすい。
急登後に出てくるアルミ看板の少し先でパノラマコースを外れ、5分くらい登れば有名な「太陽の登り(全6ピッチ, 5.12b)」の取り付き。
かなり遠いイメージがあったけど、思っていた程ではなかった。少なくとも、小川山の屋根岩5峰などよりはずっと行きやすい。何よりトレイルが明瞭で歩きやすい。
天気とコンディション
北杜市にある大泉のアメダスによると、前日金曜はほぼ1日中強い雨で、18時頃まで降り続いていたようだ。金曜日のトータル降水量は約30mm。
先月、同じように前日が雨だった日、雷火(5.13a)や龍脈門(5.13a)がビショ濡れで撤退したことがあった。その帰り際、チップの駐車場でカンマンボロンに行くというクライマーさんに会った。
後日、そのクライマーさんと偶然にも再会したのだが、我々が撤退したその日にカンマンボロンは乾いていたというのだ。さらに、砂のエリアは上部にルーフがあり、当日の雨にも強いとのこと。
ということで、我々も大雨翌日のカンマンボロンに行ってみることに。この日は午後からまた雨が降る予報もあったのでちょうどいい。
瑞牆に向かう車道は結構濡れている。海の日の3連休初日だというのに、チップの駐車場はガラガラだ。
パノラマコースの落ち葉やボルダーもビショ濡れ。半信半疑でカンマンボロンに着くと、なんと本当に乾いている。
時期も時期なので、ホールドはやや湿気ってはいたが、ほぼ全ルートが問題なく登れる状態だった。おまけに午前中は晴れていて、午後からガスったものの、予報されていた雨もほとんど降らなかった。
エリア解説
カンマンボロンは、砂のエリア、風のエリア、太陽のエリアの3つに分かれている。各エリアの距離は近く、コルを中心にそれぞれ5分もかからず行き来できるが、アップダウンやFIXの上り下りがある。ちょっと面倒ではあるが、パートナーと違うエリアのルートをチョイスし、行き来することは十分可能だと思う。
砂のエリア
エリア内はとてもコンパクトにまとまっていて、各ルートの取り付きの距離がとても近くて便利。LOL(5.12d)だけ、FIXロープを上がったテラスが取り付き&ビレイポイントとなる。
広くはないけど、目の前がフラットな広場になっていてとても快適。
西向きのエリアで、午前中は陽が当たらない。
風のエリア
今回は行かなかったが、3つのエリアの中心に位置するコルから、塩ビ管を繋いで作られたハシゴを登ると行けるようだ。
また、砂のエリアのLOL(5.12d)の上にさらにFIXロープがあり、ここから行くことも出来るみたい。
ルートが引かれているのは、恐らく南向きだろうか。
太陽のエリア
太陽のエリアは横幅が広く、岩壁の前をトラバースするトレイルが続いていて、そのトレイル上が各ルートへの取り付き・ビレイポイントになっている。
トレイルは人が避けなくてもすれ違えるくらい幅があり、フラットな場所も多く、砂のエリアほどではないが快適だった。
今回トライしたLIFE LINE(5.12a)、NEXT LEVEL(5.11d)は南向きだったようで、陽が当たる時間が長かった。太陽の登のあたりはもう少し東寄りで、午後からは日陰になるかもしれない。
各ルート解説と成果
✅ボロンボロン(5.11c) 1d2go
ルート解説
この砂のエリア全体に言えることだと思うけど、特に下部は岩が脆い。スメアリングすると、それこそボロンボロンと岩表面のザラザラが落ちていく。
ルート内容としては、最終クリップまで基本的にガバで、最後に核心といった感じ。中盤以降にノーハンドに近いレストも出てくるので、あまり持久要素はない。
核心はややスローピーで細かいホールドを持ちつつ、レイバックやステミングで体を上げていく。足が滑りそうでめっちゃ怖い。
成果と進捗
砂の塔(5.12a)のmOSを狙うため、アップでボロンボロン。ライン取りで迷ってちょっとヨレたが、終了点前ラストのヌンチャクにクリップ。しかし、核心で惜しくもフォール。ロープ捌きもやや気をつかう感じで、とにかく怖かった。程良く腕も張ったので、ヌンチャクを残して一旦保留。
砂の塔RP後に再トライ。今度は余裕を持ってRP。核心のスメアリング気味のフットホールドも、踏めるとわかれば大丈夫。
✅砂の塔(5.12a) 1d2go
ルート解説
とても見栄えの良い前傾壁。砂の塔終了点から、 大ハングのクラックを登る岩の殿堂(5.12c)は、さらにカッコいいけど。
20mくらいの長さがあるルートだけど、中間部の核心以外はガバガバで、 持久要素は低い。その代わり、核心はリーチーで強度がある。素直に下引きできるホールドが少なく、ムーヴに工夫が必要で、シーケンスを組み立てるのが楽しかった。
上部の大ハングが庇となり、雨が降っても登れそう。その証拠に、前日は大雨だったが、チョーク跡は全く取れていなかった。
成果と進捗
この日のメイン、砂の塔のオンサイトトライ。核心はどこか明白だし、得意系の薄被り。核心手前のレストポイントで、じっくりホールドを観察。かなり良いトライだったと思うけど、残念ながら核心部でフォール。
この時点では、すぐにムーヴは解決できると思っていたが、何度やっても核心部を抜けられない。仕方ないので、一旦下りてかいてぃーにバトンタッチ。かいてぃーも何度もフォールを繰り返していたが、何とか核心を突破。僕はどうやらキーホールドを見落としていたらしい。
1便目で核心部が解決していなかったので期待薄だが、かいてぃーにムーヴをしっかり聞き、一応RPを狙う。見落としていたホールドも、ティックマークを入れてもらった。ほぼイメージ通りにムーヴは繋がり、核心を突破。上部はオンサイト状態だったけど、ほぼビクトリーロードで終了点にクリップ。
✅LIFE LINE(5.12a) 1d2go
ルート解説
ほぼ面一90度で、ずどーんと長く伸びるルート。登りやすい5.12aと言われているみたいだけど、僕にとっては結構難しかった。
難しいパートが下部、中間部、上部にそれぞれあり、その間も決して気が抜けない。ルート長は25mくらい?で、最初から最後までしっかりクライミング。
ボルトは下部の小ハングを避けている箇所を除き、ほぼ真っ直ぐ打たれているけど、ライン取りも悩ましい。全体的にフットホールドが悪く、スメアリングの技術も要求される。
最後は傾斜が落ち、しっかりと立てる最高の終了点。
色々なところでノーハンドに近いレストができるので、持久要素は意外に高くないけど、とてもオススメのルート。レストがただ立って休めてしまう感じなので、これがもしテクニックを要求されるようなレストだったら、間違いなく三ツ星だと思う。
成果と進捗
トポには「登りやすい5.12a」「ラインを間違えなければムーブは難しくない」と書かれている。もちろんオンサイトを狙う。そしたらビックリ。なんと1P目のすぐ上で落ちた。全然簡単じゃないんですけど…。
特に上部は雨が降ると水が流れるのか、チョーク跡が皆無で、20回以上テンションしながら何とか終了点へ。持久要素はあまりないけど、落ちどころが多過ぎる。これは今日中に繋がるのだろうか…。
内容盛りだくさんで、1便目で作ったムーヴをちゃんと覚えられたか自信がないが、一応RPを狙う。
休めるところではしっかりと休みつつ、順調に高度を上げる。ミスらしいミスもなく、余力を残して終了点へ。意外にも登れてしまった。確かに、ライン取りやムーヴが決まれば登りやすいのかもしれない。それにしても素晴らしいルート、大充実のクライミングでした。
❌NEXT LEVEL(5.11d) 1d1go
ルート解説
LIFE LINE(5.12a)の左隣にあるルート。もともとあったRainbow(5.11c)というルートを延長したらしい。今でもRainbowの終了点は残されているので、ここまでで下りてヌンチャクを回収することもできる。
今回は時間の関係もあり、Rainbowの終了点まで。その先は見たところ傾斜は落ちるが、NEXT LEVEL終了点はまだかなり上のようだった。1グレードしか変わらないことを考えると、それほど難しくはないのかな?
RainbowはLIFE LINEに比べると、フットホールドはしっかり踏める感じで、その分フィンガリー。こういう方が得意(笑)。ただやはり、初見だとライン取りは簡単ではない。
それほど登られていないのか、左右から岩茸やコケが若干浸食しており、足が滑りそうで怖かった(というか実際に1回滑ったw)。
成果と進捗
2便出す時間はなかったので、オンサイトトライの1便のみ。もしRainbowの終了点まで繋がったら、そのままNEXT LEVELも登ろうと、ヌンチャクたくさんぶら下げてスタート。
残念ながら下部でライン取りを間違えてフォール。チョーク跡がない本物のオンサイトトライは難しいね(言い訳)。次回に向けてムーヴを確認し、Rainbowの終了点からヌンチャク回収。次は登れそうだ。
悪いルートではないんだけど、☆はついてないみたい。もっと登られて、岩茸やコケが取れるといいな。
総括
相変わらずオンサイト能力は低いけど、1便目で結構苦労したにも関わらず、それぞれ2撃できて良いクライミング。
- 雨に強いというのは本当だった!
- 近くはないものの、歩きやすくて明瞭なアプローチ
- 下地が良くて快適なエリア
- 長さがあって上質なルート
今回はトライしなかったけど、何より高グレードが目白押しなのだ。カンマンボロンに通い、自分の限界に挑戦するようなクライミングも悪くなさそう。
オールボルトのマルチも多い。マルチピッチの経験がないので、まずは最低限の技術を身に付けてからだけど、いつか挑戦してみたい。