クライミング日記

【有笠山】NEWエリア「タワー」

きい

クライミング日:2024年7月28日(日)

アプローチなど

今回のクライミング

先月公開された有笠山の新エリア「タワー」。メインの開拓者であるマチダさんにジムでお会いした際、「さらに開拓しているエリアに、最近初登したルートがあるんだよね。グレードについて色々なリーチの人の意見を聞きたいから、きいくん登ってみない?」と嬉しいお声掛けが。

いつものメンバーの、モトハシさん、かいてぃーと一緒にお邪魔して来ました。現地でガクさんも合流。

天気とコンディション

8月が近付いてきて、真夏の暑さが続いている。この日も暑くて、滝汗クライミングを楽しんだ。

瑞牆や小川山に比べると、確かに暑い。しかし、有笠もそれなりに標高(山頂は873m、クライミングエリアは700m付近だろうか)があるので、奥多摩などに比べれば涼しいと思う。

タワーエリアは染み出しも全くなし。真夏でも十分登れる。

思い出の有笠山

有笠山は、僕がクライミングを知り、初めて本格的に通った岩場。2021年の夏シーズン、ほぼ毎週中之条に行っていた。春秋の短い時期しか登れないルート(フェアリーロックのロマンチック街道とか)も中にはあるが、とにかく雨に強い。日陰のエリアも多く、夏でも若干肌寒いくらいの日もある。

ヒル対策

上で書いた通り、有笠山は夏でも登れる貴重な岩場なのに、春秋の涼しい時期以外は空いている。なぜか?

ご存知の通り、ヒルが大量発生するからだ。クライマーの間では、有笠山=ヒルと言っても過言ではないかもしれない。

戦慄の有笠デビュー

2021年の5月末頃だっただろうか。初めて有笠山に行った時のこと。その時はヒルがいることを全く知らなかった。東口の駐車スペースに到着すると、たまたまその場にいたクライマーさんから、「ヒルめちゃくちゃいるので気を付けてくださいね」と。彼はそう言いつつ、自分の足にスプレーをかけると、颯爽と立ち去ってしまった。

丸腰の我々は途方に暮れてしまった。あのスプレー、貸してくれる訳じゃないんだ…。気を付けろと言われても、どう気を付ければいいのだろうか。

とはいえ、ヒル自体を見たことがなかったので、それほど気にすることなくアプローチ15分ほどの南国エリアへ。

南国エリアに到着すると、なんとなく足に違和感を感じ、パンツの裾を上げるとふくらはぎから下が血まみれ!

この時は自分を含めて3人パーティーだったが、計6本の足に20匹近くブヨブヨした生き物が吸い付いていた。こいつがヒルかっ!気持悪っ!

トラウマになってしまいそうな経験だが、逆にこの一件でヒル耐性が出来てしまったのだろうか。虫は苦手な僕だが、ヒルは手に乗せて遊べるくらい平気だ。

ヒルは血を吸うだけで、実害はそれほどないのかもしれないが、もちろん気分が良いものではない。

血を吸う時、血液の凝固を妨げる物質を出すらしく、全然出血が止まらない。この物質は同時に、吸血時の痛みをなくすらしく、血を吸われていてもなかなか気づかない。服や靴が汚れてしまうのは困る。確率は高くはないと思うが、細菌感染の可能性もなくはない。

「ヒルは木から落ちてくる」と思っている人が多いけど、これは迷信に近い(可能性はゼロではないけど)。ヒルは木から落ちてこないという本も出版されている。

ではどこにいるのかというと、地面でウネウネしている。つまり、基本的に奴らは靴から上がってくるのだ。

最初は何となく、ふくらはぎや腕などにヒル除けスプレーをかけていたけど、踝や靴下の中を何度かやられた。

最も効果的かつ絶対的なのは、靴そのものにスプレーすることだ。要は侵入口を塞いでしまえばいい。この事を覚えてからは、ヒルに血を吸われることはなくなった。

オススメのスプレーはサラテクトのミストタイプ。主に蚊に刺されないためのスプレーだと思っていたけど、効果・効能の欄に、しっかりヤマビルも入っている。これをアプローチシューズ(長靴を履いている人も多いけど、歩きにくいし蒸れるので、僕はいつもローカットシューズだ)の上から、全体が湿って色が変わるくらいにかける。僕はアプローチの時もいつも踝クライミングソックスだが、全く問題ない。有笠山はブヨもいるので、ついでに足首回りや腕にも吹きかけておこう。

「ヒル下がりのジョニー」など、ヒルに特化したものもあるが、概して値段高い。サラテクトなら3分の1くらいの値段なので、ガンガン使える。

万が一、ヒルが体の血を吸っているのを見つけた場合もスプレーが有効だ。ヒルに直接スプレーをかけると、勝手に離れていく。ライターを使ってもOK。引っ張って取るのは、傷口を損傷する可能性があるので避けた方が良いらしい。

あと、ヒルは湿ったところを好むようだ。雨の次の日などは、濡れた落ち葉の周りにたくさん見かける。有笠山の場合、基本的にはオーバーハングしたエリアがほとんどなので、岩の前の地面は乾いていることが多い。そのため、各エリアに着いた後はヒルの心配はそれほどない。行き帰りのアプローチと、用を足しに行く時に気を付ければOKだ。サラテクトの効果は1日中続くようだが、岩場から駐車スペースに下りる前に再度靴にスプレーすると、より安心だと思う。

また、最初は脱いだ靴の中にヒルが入っていないか心配で、毎トライ後に靴の中をチェックしていたが、置いてある靴にヒルが入っていたことは一度もない。調べてみたところ、ヒルは二酸化炭素に反応して肌に寄ってくるらしい。

ちなみに、10年前くらいまで、有笠山にヒルはいなかったそうだ。ヒルは主に鹿の血を吸うそうで、鹿の生息域拡大に伴い、有笠にもやって来てしまったらしい。

アプローチ

有笠山の西口駐車スペース

今回は主に未公開エリアで登ったので、詳細な場所は割愛するが、タワーエリアに向かう場合は西口に車を止める。

駐車スペースから、先月公開されたタワー2・3峰までは15分くらいだろうか。サンダンスとそれほど変わらないと思う。

2022年に工事があり、東口への林道はほとんどの区間が舗装路になったが、西口は今もダートのままだ

嘘と七夕の願いごと(5.12b/c?), 2go, 第3登

マチダさんに案内いただき、開拓中のエリアに到着すると、一目見ただけで登ってみたくなる前傾壁。アプローチもそれほど遠くない場所に、こんな岩がまだ残されていたのか。有笠山のポテンシャルに改めてびっくり。

登らせてもらったルートはなかなか難しく、1便目でじっくりとムーヴを探り、2便目でRP。僕の体感では5.12b。リーチが活きる内容なので、小柄な人は5.12cくらいに感じるかも。

60mロープでビタビタ。登り応え抜群の素晴らしいルートでした。

マチダさんは事前に初登しており、この日モトハシさんが第2登、僕は第3登だった。その後、ガクさんも続いて第4登。

マチダさんは男性としては小柄、モトハシさんとガクさんは平均的なリーチだろうか。そしてリーチ族の僕。

リーチ以外でも、得意なムーヴなどによって体感グレードは変わってくる。「嘘と七夕の願いごと」も、それぞれ少しずつ体感グレードが違っていて面白かった。

初めてのFA

さらにマチダさんから、「ボルトは打ったんだけど、まだ登ってないルートがあって。登ってみる?」とのお言葉が。

図々しい僕は、せっかくなので登らせていただくことにw。全くチョーク跡のないルートを登るのは緊張感があり、不安定な岩に気を付けながらも、無事にmOS。

人生初のFA。貴重な機会をくださったマチダさんには本当に感謝。

グレードは5.10aくらい。恐れ多くも命名権を与えられてしまったので、これから考えたいと思います。

大いなる足跡①(5.11c), mOS

最後に公開済みのルートを1本。タワー3峰下部南面に移動。取り付き周辺が平らで居心地が良い。

マチダさんがオススメしてくれた、大いなる足跡①というルートにトライ。

タワーエリアを発見した際、既に4本のルートが引かれていたが、自然に還っていたらしい。それらをリボルトし、大いなる足跡①~④と名付けられたそう。

大いなる足跡①は、下から見ると一見簡単そうだが、登ってみると意外にホールドが限られていて難しい。ライン取りが絶妙で、マチダさんの言う通り、センスが光るボルト位置。

しっかり粘ってホールドを見極め、充実のmOS。

総括

有笠山は、僕がクライミングを知り、初めて本格的に通った岩場。開拓やリボルトについてのお話も聞くことができ、素晴らしい時間だった。

開拓中のエリアの公開が楽しみだ。

先月公開済みのエリアも、登ってみたくなるルートばかり。ヒル対策をして、皆さんもぜひ有笠へ。

おまけ(夕飯情報)

以前から有笠で登った後、よく立ち寄っているカントリーロード。渋川伊香保ICに向かう道沿いにある。この日もみんなで夕飯を食べに行った。

ボリュームのあるメニューが多く、ライスもお代わり自由

いつもダブルハンバーグ(トマトソースが美味!)を頼んでいたけど、この日はガクさんがお気に入りだというポークソテーにしてみた。

七つのソースから一つ選択できる。これもガクさんオススメのガーリック醤油をチョイス。ぶったまげるほど美味しかった。

今度からはポークソテーが自分の中での定番メニューになりそうだ。ガーリック醤油は間違いないが、ソース七種類を全部試してみたい願望もある。悩ましい…。

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ABOUT ME
きい
きい
登ったり滑ったりする人
1988年生まれ、愛媛県出身
東京の北西部に住み、週末は専らさらに北や西に出かける
仕事は電機メーカーのエンジニア
クライミング:2021年からリード&外岩を始めて本格的に
スキー:2017年からバックカントリーにハマる
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